ノークリサーチでは年商5億円以上~50億円未満を「中小企業」、年商50億円以上~500億円未満を「中堅企業」、それ以上を「大企業」と定義している。だが、これらの企業をすべて足したとしても、その数は約20万社で、日本企業全体の420万社のわずか5%に過ぎない。これら小規模・零細企業が日本経済を支えているわけだが、これらの企業は人的、物的、資金的にも経営資源が限られているため、IT活用に課題を抱えているのも事実だ。
小規模企業がIT投資を減らす理由は経済環境の悪化だけではない
以下のグラフは年商500億円未満の国内企業1000社に対し、2010年11月~2011年1月と2011年2月以降を比べた場合にIT投資額を増やすのか、それとも減らすのかを尋ねた結果である。年商別に見ると、年商5億円未満の小規模企業において「10%以上削減」が特に多いことがわかる。
この理由としてすぐに思い浮かべやすいのは長引く景気の低迷だ。企業体力が必ずしも強くない小規模企業にとって、経済環境の悪化は大きく影響してくる。その結果、IT投資に回すだけの資金余力がなくなっていると考える方も多いだろう。しかし、次のグラフを見ていただきたい。これは上記のグラフにて「IT投資を減らす」と回答した企業に対して、その理由を尋ねたものである。
この結果を見ると、「IT投資の必要性は感じているが、それだけの資金余力がない」という回答は小規模企業の方がむしろ少ないことがわかる。その代わり「現状を維持する以外、特にITに対して投資をする必要がない」という回答が半数を超えている。このことから小規模企業がIT投資を削減する理由は経済環境の悪化だけでなく、むしろ「IT投資の必要性を感じていない」ことが大きな要因になっていることがわかる。
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