2013年は、復興需要が本格化しているが、欧州経済の減速、新興国の企業による競争激化などの影響によって輸出は不透明な状況が続いている。また、大手製造業の生産拠点の海外移転も加速していることから、依然として多くの地域で経済回復が遅れている。
加えて2012年にPCなどハードウェアの更新需要が拡大したため、2013年はその反動もあり、多くの中堅中小企業でIT支出は抑制傾向となっていることから、IDC Japanでは2013年の国内中堅中小企業IT市場はマイナス成長を予測しているという。本格的な回復は2015年以降になるとしている。
ただし、製品別では中堅企業(従業員規模:500~999人)を中心にソフトウェア、ITサービスで2013年以降プラス成長を予測する。
産業分野別では、2012年に金融、その他(建設/土木など)を除いてプラス成長に回復したが、2013年は情報サービス業を除いた各産業でマイナス成長を予測した。情報サービス業は、インターネットサービス事業を中心として積極的なIT支出を継続していることから、堅調な拡大を見込んだ。なお、その他の産業では、2014年までマイナス成長が継続するとみる。
地域別においても、2013年は多くの地域でマイナス成長を予測しているが、北海道/東北地方、関東地方ではプラス成長を予測している。特に北海道/東北地方は、復興需要の拡大、大手企業の拠点設置などによって中堅中小企業においてもIT支出の拡大が見込まれるという。また、関東地方では、特に情報サービス業が集積していることから、これらの企業が関東地方のIT支出をけん引するしている。
国内中堅中小企業IT市場では、地域経済の回復が遅れていることから、多くの中堅中小企業でIT支出の抑制傾向が継続している。しかし、今後の消費税増税、2012年12月に成立した新政権による経済政策、および新
たな中堅中小企業向け支援施策によってユーザー企業を取り巻く環境が変わりつつあるという。
「ITベンダーは、消費税増税など環境の変化が中堅中小企業に与える影響を注視し、この変化を機会と捉えて、業務システム改修、刷新の他、求められるソリューションを迅速に提供することが、今後のビジネス拡大に重要である。」(IDC Japan ITスペンディング シニアマーケットアナリスト 市村 仁氏)
今回の発表はIDCが発行したレポート「国内中堅中小企業IT市場 2012年の推定と 2013年~2016年の予測」(J13110101)にその詳細が報告されている。