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  • 2013/03/01 掲載

標的型攻撃が1000件超え、やりとり型など7つの具体事例を紹介

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警察庁の警備企画課・情報技術解析課は28日、2012年中のサイバー攻撃の情勢についての調査結果を発表した。発表によれば、警察では2012年中に合計1009件の標的型メールが民間事業者等に送付されていたことを把握したという。
 警察が把握した標的型メールの件数は、2011年下半期が509件、2012年上半期が552件、2012年下半期が457件で、増減を繰り返した。

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標的型メール攻撃の件数と不正プログラムの接続先

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 標的型メール攻撃に使用された不正プログラムなどによる通信の接続先は、約26%が米国、約21%が中国、約20%が日本だった。

 さらに、最初から標的型メールを送付するのではなく、不正行為に関する告発や採用希望を装うなどして、業務との関連を装った通常のメールのやりとりを何通か行い、より自然な状況を装ったあとに、標的型メールを送付する「やりとり型」の手口もあったという。

 また、政権交代や尖閣諸島などの国内外の情勢を捉えた標的型メールが複数の民間業者などに対して送付されたという。

 警察庁では標的型メール攻撃の実例として、以下のようなパターンを挙げている。

「やりとり型」の標的型メール攻撃事案その1

 最初から標的型メールを送付するのではなく、11月、まずは不正行為に関する告発を装ってウェブサイトに公開されているメールアドレスに問い合わせを行い、これに回答した担当者のメールアドレスに対し、同日、告発に関する文書の送付を装って標的型メールを送付してきた。

 不正プログラムを仕込んだファイルは圧縮されてパスワードロックされており、展開(解凍)して生成される画像ファイルはRLO機能を利用してWordファイルに偽装されていた。RLO機能とは、アラビア語等に対応するため、ファイル名を右読みから左読みに変える機能で、たとえばファイル名「fdp.exe」は、RLO機能により「exe.pdf」と表示されるため、実行ファイルをPDFファイルに偽装することができる。

 攻撃者は、架空の日本人名でフリーメールに登録し、当該メールアドレスを利用して、一連のメールを送付していたが、当該メールアドレスから他の重要インフラ事業者等にも標的型メールが送付されていたことから、当該事業者等に注意喚起を行った。

「やりとり型」の標的型メール攻撃事案その2

 最初から標的型メールを送付するのではなく、11月、まずは採用希望者を装ってウェブサイトから問い合わせを行い、これに回答した採用担当者のメールアドレスに対し、履歴書等の送付を装って標的型メールを送付してきたもの。

 不正プログラムを仕込んだファイルは圧縮されてパスワードロックされており、当初、パスワードが分からなかった採用担当者が送信者にパスワードを尋ねるメールを送付したところ、パスワードを教示するメールが返信されて来るなど、複数回のやりとりが行われていた。

 採用希望者を装って標的型メールを送付する事例は他にも見られ、添付ファイルを開くと、実際の履歴書を装った文書が表示される一方で、コンピュータが不正プログラムに感染する事例も把握。

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深刻化する病院サイバー攻撃に、「ランサムウェア交渉人」はアリかナシか?

 どうにも、この記事を書いたライターは映画やドラマ、漫画やアニメ由来のフィクションの知識で述べているようだ。バグバウンティ制度というものはあくまで開発ベンダやセキュリティベンダが任意で実施しているものであって、ベンダによってはバグバウンティ制度を取り入れていないところもある。危険性や重要度に応じて支払う報奨金というものは決まっている。そのため危険性や重要度の低いバグに対しては報奨金の金額は安くなる。支払われる報奨金というのは価格帯が既に定められているので交渉したからといって大きく変わるわけではない。交渉人が出てくる余地がないし、交渉人が仲介手数料なんて取ろうものならば原価割れしてしまうわけだ。そして、バグバウンティ制度を実施していない企業に交渉人が脆弱性情報の買取を持ちかけようものならば、恐喝罪で訴えられる可能性さえある。
「通常は、発見した脆弱性や攻撃手法を自分で利用する(犯罪を犯す)より、相手に高く買ってもらったほうがよいと考える。」と記事では書いてあるが、それも違う。仮に悪意を持ったハッカーが危険な脆弱性を発見した場合、自分でその脆弱性を利用した攻撃をして犯罪を犯すと警察に逮捕されるリスクがある。自分で犯罪さえ行わなければ警察に逮捕されるリスクはゼロだ。だから自分では犯罪は行わない。脆弱性情報を買い取ってくれる企業があればお金で売って利益を得る。ただそれだけなのだ。実際にサイバー犯罪に関わって犯罪収益を得ている反社会組織でも、脆弱性情報の多くは悪意を持ったハッカーではなくセキュリティ会社(=ホワイトハッカー)から買っている。サイバー攻撃自体は自身は行わずに買い取った脆弱性情報をもとに作成した攻撃ツールの販売やクラウド上に攻撃用プラットフォームを構築して時間貸ししてクラウドサービスとして収益を上げている。現代では脆弱性を発見する人、発見者から脆弱性情報を買って収集して販売する人、攻撃ツールを作る人、攻撃ツールを売る人、攻撃ツールを使って攻撃する人といったように各々関係のない人や組織が分業している。
 身代金支払いの是非に関して述べると、現行法では身代金の支払い自体を直接罰する法律はない。それならば身代金を払ってしまえばよい、とはならない。例えば、ランサムウェアならば様々な要素を考慮した上での経営判断が必要となる。以下の理由で正当化が出来るか、ということは最低限考える必要がある。
 1. 復旧コストより身代金の方が安価
 2. 大量の個人情報など機微性の高い情報漏えいのおそれ
 3. 重要インフラサービスの停止のおそれ
 4. 人の生命・身体が害されるおそれ
1.と2.に関しては紛れもなくその場しのぎでしかないのでまともな知性のある経営者であれば経営判断としての身代金払はしない。
3.に関しては微妙な問題なので、細かい分析をした上で社会への影響を考慮した上での経営判断となる。
4.に関しては仕方がない。払うしかない。
 ここで意識していただきたいことは、ランサムウェアの身代金の支払いに対する対応は経営者が判断すべき経営問題そのものである。現場のエンジニアや担当部署の責任者が判断するのではなく、その企業の経営方針として経営者が判断を下すべき経営問題ということだ。
 この記事の2ページ目でしきりに「交渉人」の必要性をしきりにアピールしているが、いい年した大人が妄想と現実を混同するのをいい加減にするべきだ。きっと、この記事を書いたライターの人は交渉人をモデルにした映画かドラマでも見た影響でも受けたのだろう。
 交渉人というのは本質的には犯人の脅迫行為を容認することだけではない。そもそも、犯人側にとって身代金事件の成功の鍵は交渉人が握っている。身代金支払いにより犯人側が犯罪収益を得るための功労者であることから共同正犯(刑法60条)が成立してしまう。つまり、刑法上は身代金を要求してきた犯人グループの一員とみなされてしまうわけだ。
 記事では「ランサムウェア交渉人を運用するためには、警察に犯人を特定、摘発できるくらいのサイバー捜査能力が必須となる。」と書いてあるが、犯人を特定、摘発できるのであれば犯人逮捕とともに暗号鍵も押収できるからから身代金を支払う必要がないではないか。この記事を書いたライターは自身の書いた言葉の意味を理解してこの記事を書いているのだろうか。犯罪を正当なビジネスにしてしまうこと自体が非現実的だし、あまりにも考えが幼稚で虚構と現実を取り違えたような記事を書いている暇があれば、もっと社会の勉強をし直した方が佳いだろう。もし、このライターがジャーナリストの肩書を今後も掲げるつもりならば、この記事のような妄言を書き連ねる前にはよく調査と考察を重ねて自身の考えを遂行する必要がある。今回は半田病院の事件を起点としているので、デジタルフォレンジック研究会の医療分科会が公開している資料の『医療機関向けランサムウェア対応検討ガイダンス』(https://digitalforensic.jp/wp-content/uploads/2021/11/medi-18-gl02_compressed.pdf)を一読して勉強して出直してくることをおすすめする。

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