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  • 2013/04/12 掲載

オラクル ラリー・エリソンCEOxソフトバンク 孫正義氏対談:クラウドはビジネスをどう変えるのか

ソフトバンクの3つのビッグデータ活用事例も

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今やクラウドは、ビジネスになくてはならない存在になった。4月9日に開催された「Oracle CloudWorld 2013」では、米オラクルCEOのラリー・エリソン氏がライブビューで登場。エリソンCEOは、ERPの分野では、今やSAPではなくセールスフォースが、インフラではIBMではなくアマゾンが、同社の競合になったと言及。さらにソフトバンクの孫正義氏とクラウド時代のビジネスのあり方について対談するとともに、孫氏はソフトバンクグループでの3つのビッグデータ活用事例を紹介した。そのうちの1つは、本イベントで初めて公開されたものとなった。
 ではまず、エリソンCEOの講演から紹介する。

競合はSAPではなくセールスフォース、IBMではなくアマゾン

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オラクル・コーポレーション
CEO
ラリー・エリソン氏
 クラウドによって、ITは今やユーティリティ(公共インフラ)のようになった。複雑さはユーザーには隠ぺいされ、さながら電気や水道のようなものになりつつある。

 ソフトウェアやサーバ、ストレージを購入するのは、サービスプロバイダによって行われるようになるだろう。つまり、利用している企業ではなく、クラウドを構築する企業が行うことになる。将来のアプリケーションはクラウドから展開され、それをiPhoneやiPad、Androidといったスマートフォン、タブレットなどすべての端末からアクセスできる。

 お客さまは、自分たちの設備を使わなくてもよく、月額制、すなわち従量課金制になるだろう。追加の容量が必要であれば、ネットを通じて提供されるオンデマンドベースになる。

 オラクルクラウドは、SaaS・PaaS・IaaSを含めた完全に包括的なクラウド提供を提供する。SaaS上には、人事管理やERP、CRMも提供している。ミドルウェアにはJavaベースのFusion Middlewareを単なる1アプリケーションではなく、1つのサービスとして利用できる。それは、クラウド上でも、自社のサーバやストレージ、VM上で動作させることも可能だ。

 クラウドを展開する中で、まったく新しい競争が幕を開けた。これまでの主な競合他社は、ERPの分野ではSAPだったが、今やセールスフォース・ドットコムということになる。サーバやストレージの分野ではIBMだったが、クラウド事業ではアマゾン・ドットコムや、あるいはラックスペースということになるだろう。

業界標準であること

 こうした変化は、新しい選択肢が生まれたということ。SaaSの分野でオラクルはもっとも包括的なものを展開している。人事管理、人材管理など通算100以上のアプリケーションを提供している。今日、クラウドからこれだけのサービスを提供している企業はないだろう。

 これらのオラクルアプリケーションの特徴として、業界の標準に対応していることが挙げられる。業界標準のミドルウェア、DBを使っている。世の中のクラウドの大半が、Javaのような業界標準の言語を使用していない。同様の理由で、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を使っている。

 なぜSOAか、それは標準であるということ、アプリをつなげるインテグレーションを簡易化していくということ。クラウドでは相互接続しなくていいというわけではない。すべてがクラウドになるわけではなく、そうした他のアプリケーションとの連携を簡素化していかなければならない。

 我々が提供しているアプリケーションは、PCブラウザ、モバイルブラウザなどあらゆる環境で利用できる。また、我々の提供するすべてのアプリが、ソーシャルプラットフォームが取り込まれている。

 さらにバックでBIが取り込まれている。これにより、たとえば購買システムを利用してもらう場合でも、単なる取引用にとどまらない。Aを購入したお客さまに、Bという商品をリコメンドするといったことが可能になる。また、サービスプロバイダーのロードマップではなく、利用企業のロードマップに合わせてアップグレードしていく。SOAを採用しているため、たとえば拡張して帳票を使いたい、となった場合はそれも可能になる。共通のインフラがあり、そのうえに強力なアプリがある。それらもすべてクラウドの中で行うことができる。

 とにかく我々は標準を重要視している。皆さまのデータセンターと々のデータセンターの中、両方のリカバリのための機能を提供できる。データセンターとクラウドとを透過的に利用できる唯一のベンダーだ。

 Exadata、Exalogicで10倍、20倍に高速化できる。非常に高速なマシンなので、従来10社で利用していたものでも200社で使えるので、コスト効果が得られる。より低い料金という恩恵を受けることができる。さらに従量課金制で、必要なリソースをセルフサービスで利用できる。

パブリックとプライベートの透過性

 もう1つ提供しているのはプライベートクラウドだ。オラクルは世界各地にデータセンターをもっている。そこに、皆さまのデータを格納することができる。皆さまのF/Wの中でシステムを構築することができる。さらにそれを従量課金制で払ってもらう形でもよい。

 自社のFWの中でとどめてほしい、サーバを調達してもらいたい、データセンターの中で、F/Wの中で展開する。パブリックとプライベートを組み合わせて、いろいろな選択肢で利用してもらいたいと思っている。

 まとめるとオラクルクラウドがほかのサービスと違う点はいくつかある。まず、SaaS、PaaS、IaaSの3タイプすべてを包括したサービスであるということ。アマゾンは1タイプ、セールスフォースはCRMとForce.comのみ。特にセールスフォースのプラットフォームは独自なもので、独自の言語しか使えない。オラクルはJava、SQL、Linux、OpenStack。標準技術を使わないと、1箇所でしか拡張、購入できないことになるだろう。

 また、パブリックとプライベートをいったりきたりできるのも重要だ。セキュリティについても、Oracle Cloud Securityは、F/W内のプライベートクラウドにまで範囲がおよぶ。信頼性も高い。プラチナサポートであれば、15分のうちに対応する。もちろん故障はあるが、ユーザーが意識することがない。どうしても対応が必要だった場合に備えて15分間という対応時間を設定している。

クラウド向けマルチテナント・データベース

 オラクルはもともとデータベースから出発した。RDBMSから非構造化データの取り込みなど、DBの次なる技術は何かを常に模索し、近代化につとめてきた。

 最近発表したOracle Database 12cについて話そう。30日以内に提供可能になる。12cのcはもちろんクラウドのcだ。最新版では、複数のアプリ、複数のお客さまのデータを、非常に効率的に管理できるようになった。

 15年前のクラウドは、アプリケーション層でマルチテナントを実現していた。しかし、それではセキュリティに問題があった。複数の会社のデータを同じDBはまずいのではないか、そこでOSでデータを切り分けるか、VMでデータを切り分けるべきか、いろいろ考えてきた。

 その中でたどり着いたのが、データベース層でマルチテナントを実現することだ。独立したプラカブル・データベース、データベースレベルで高いセキュリティを実現している。またアプリケーションに変更を加える必要はなく、これまでのアプリケーションがそのまま動く。

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 これによりHWを1/6にできる。つまり、安くていいというお客さまはセキュアになる。マルチテナントデータベース。これにより簡単に管理できるようになる。

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 この後、強力なパートナーを紹介したい。ソフトバンクの孫正義氏だ。

【次ページ】ラリー・エリソンCEOと孫正義氏が対談
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