中に人が入ることでぬいぐるみはインタラクティブになる
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ディズニーリサーチ ピッツバーグ研究所では、ディズニーランドや未来のテーマパーク、リゾート地で活用できる先端テクノロジーの研究/開発に取り組んでいる。その中の1つの技術が、物理世界と仮想世界を完全に融合させる「フィジカル・コンピューティング」だ。同研究所でインタラクティブ技術部門を指揮するウォルト・ディズニー・カンパニー ディズニーリサーチ ピッツバーグ研究所 主任研究員 イワン・プピレフ氏が、バーチャルリアリティの未来とそれを実現するテクノロジーについて語った。
現実と対比することで仮想世界はよりエキサイティングになる
3D&バーチャル リアリティ展で登壇したプピレフ氏は、「私は過去15年間、バーチャルリアリティの未来はどうなるのかを研究してきた。そしてそれが現実の世界とどう繋がり合うのかをずっと考えてきた」と話を始めた。
バーチャルリアリティ(以下VR)は、現実感を置き換えるものなのか、またキラーデバイスが登場してより身近なものになるのか、さらにそれらはウェアラブルになるのか、あるいは人に埋め込まれてしまうのか。
「未来は予測不可能だ。我々は敢えて予測しようとするができない。だからこそエクサイティングだ。」
さらにプピレフ氏は、仮想現実感と現実世界の関係性について言及。1900年にトーマス・エジソンが作ったという実験動画を会場に流した。絵として描かれた人物とキャンバスの前に立っている実際の人間が、絵の中の帽子やワインなどをやり取りする場面を映像として収めたものだ。
「100年以上も前から色んな人がバーチャルイメージを作り、それを現実と繋げようとしていた。つまり現実と対比するからこそ、そこにマジックが生まれる。」
現実の中にバーチャルオブジェクトを埋め込むことによって、あるいは現実世界に仮想現実が存在することによって、現実はよりバーチャルになり、エキサイティングになる。
「VRは現実を補うか、あるいは対照され、現実を引き立たせて初めて意味を持つ。現実とVRは協力し合うもので、バラバラのものではない。」
またプピレフ氏は、現実の中に埋め込まれた没入型のVRは、現実の一部、もしくは現実感のもう一つの形として捉えることができると指摘する。
たとえば、手のひらサイズのモバイルプロジェクターが、現実世界における新しいエンタテイメントを生み出す。2012年のピッツバーグ研究所におけるプロジェクトの1つで、“Side by Side”と呼ばれるものだ。
簡単に紹介すると、複数のモバイルプロジェクター(ここでは2台)から、各々オスのウサギとメスのウサギの映像を同じスペースに投影する。そしてメスのウサギがオスのウサギに近づくと、オスのウサギが花束を差し出す、というものだ。あるいはメスのウサギの映像を動かすと、それをオスのウサギの目が追いかける。
プロジェクタの本体上部に装着されたカメラには“バーチャルマーカー”という仕組みが実装されており、これで空間、つまり投影された各映像の位置を認識する。インターネットに接続する必要もない。
「手のひらサイズのプロジェクタから映像を投射し、バーチャルキャラクターを現実の世界の中で動かした。それによって現実世界がもっと楽しいものになる。」
また、モバイルプロジェクタ以外、追加の装置やネットワークへの接続がなくても、この仕組みを実現できることが大事なポイントだとプピレフ氏は強調する。
「VRは、現実世界と関係性を持って初めて存在する。現実と共存あるいは連結され、対照される時のみ、意味を持つということだ。現実の世界がなければ、VRもあり得ない。」
【次ページ】現実世界や人間もVRの開発対象となる
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