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  • 2014/08/29

広島市で発生した土砂災害にも有用か、GIS活用の被災者生活再建支援システムの事例

2014年8月20日未明、広島市で局地的な豪雨による甚大な土砂災害が発生した。広島県では、21日午前に住宅の被害程度に応じて被災世帯が支援金を受け取れる「被災者生活再建支援法」の適用検討するなどの対策をとっている。こうした災害対策は、発生時の対応のみが注目されがちだが、実際は生活再建支援を含む多様かつ膨大、しかも長期に及ぶ取り組みが必要だ。これら業務を効率化し、被災者への速やかな支援を提供するため開発されたのが、ESRIジャパンの「被災者生活再建支援システム」だ。去る5月29日に開かれた「第10回 GISコミュニティフォーラム」では、開発の背景や災害時の活用事例、地図情報の役割などが紹介されていた。

谷崎朋子

谷崎朋子

企業向けIT専門誌の編集記者を経て、フリーランスのライター兼翻訳家(英日)。ソフトバンク ビジネス+ITでは主に戦略やイノベーションなど経営施策に関連するIT関係の記事執筆を担当している。

広島市で発生した甚大な土砂災害

 2014年8月20日未明、広島市で局地的な豪雨による甚大な土砂災害が発生した。同日午前6時時点では、安佐南区と安佐北区の計6万8813世帯、のべ16万4108人に避難勧告や避難指示が出され、442世帯1071人が避難している。

 こうした災害発生時の対応は、被災者に対する生活再建支援の始まりに過ぎない。災害が沈下した後は、現場での被災状況の判定、被災者台帳の作成、被害の度合いを証明する罹災証明書の発給、仮設住宅の入退去など、市町村が取り組まなければならない業務は、多様かつ長期に渡って発生するのだ。

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京都大学
防災研究所 教授
林 春男氏
 「災害対策基本法の改正に対応した京大式被災者台帳を活用した被災者生活再建支援システムの実際」と題した講演で、最初に登壇した京都大学防災研究の林春男教授は、「2007年の新潟県中越沖地震で最も被害の大きかった柏崎市では、罹災証明書を発給してから支援が完了するまで、約2年かかった」と明かす。

 被災者と家屋、被害を紐づけて、生活再建に係るすべての行政サービスを関係者間で履歴管理する仕組みが、被災者台帳だ。被災者生活再建支援システムは、この台帳をベースに構築される。

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長期・多岐にわたる生活再建支援

被災者に対する生活再建支援のために生まれた台帳

 台帳の出発点は、1995年の阪神・淡路大震災だ。神戸市は5年間で仮設住宅を解消するために、仮設住宅居住者台帳を作成した。その際の被災者との話し合いの内容や回答を履歴に残し、職員は情報共有しながら対話を進めた。結果的に全員の退出は完了したが、罹災証明書を発給する被災者台帳のようなものがあれば、生活再建支援はもっと改善できるのではないかという発想が生まれた。

 罹災証明書が初めて発給されたのは、2004年の新潟中越地震だった。最も被害が大きかった小千谷市では、1ヶ月間にわたって建物被害調査と罹災証明書の発給が行われた。ただし、当時は各課で同時並行的に対策を進めており、被災者台帳を作成しようと声がけしたときには、さらなる業務負荷などもあり、至らなかった。

 そして2007年、新潟県中越沖地震が発生した。甚大な被害を受けた柏崎市へ調査に赴いた林氏は、被災者台帳についての相談を受ける。こうして、被災者生活再建支援に向けた被災者台帳の本格的な構築がスタートした。

【次ページ】被災者台帳の構成要素

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