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  • 2015/01/16

豚骨ラーメンの一蘭 吉冨学 社長のブランド戦略、商売の秘訣は「究極に絞り込むこと」

「赤い秘伝のたれ」や「味集中カウンター」などのユニークな取り組みで知られる豚骨ラーメンの専門店「一蘭」は、1993年に1号店を開店してから着実に業績を伸ばし続け、今では年商100億を達成する一大チェーンへと成長した。この急成長の背後にあるのが、一蘭の吉冨学 社長が提唱する「一寸法師戦略」だ。吉富社長は「絶対的な商売の秘訣は、究極に絞り込んだブランドづくりにある」と強調する。

豚骨ラーメン一本に絞り込むからこそ、本物を追求できる

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ラーメンとだけ向き合うための「味集中カウンター」は特許も取得している
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今や他店の追随するようになった、ラーメンの中央に浮かべる唐辛子の赤い「秘伝のたれ」
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独自のオーダーシステム
 「一蘭」というラーメン店をご存知だろうか。日本全国は言うに及ばず、今や世界にまで熱烈なファンを拡大し続けている豚骨ラーメン専門店である。ここでいう“専門店”は伊達ではない。豚骨ラーメン専門店を語りながらも、実際にはしょうゆラーメンやチャーハン、ギョーザなど色々なメニューを揃えている店が多い中、一蘭はあくまでも豚骨ラーメンのみである。

 豚骨ラーメン一本に絞り込むからこそ、味をより深く極め、本物を追求できるのだという。今では他店も追随するようになった唐辛子の赤い「秘伝のたれ」をラーメンの中央に浮かべ提供するという手法も、元祖は一蘭だ。

 実際、その豚骨ラーメンの味は絶品で、一度食べると病みつきになる。あのホリエモン(堀江貴文氏)もブログで、「あの独特な味。普通の豚骨ラーメンとは一味ちがう。私は好きすぎてマイ丼まで持っている」と絶賛するほどだ。

 一蘭が追求してきたのは味だけではない。

 「すべてのお客さまに、とにかく何も気にすることなく無心でラーメンを味わっていただきたい」そんな思いを抱いていた同社 代表取締役社長の吉冨学氏は、多くの女性に共通した意見があることに気付いた。「麺をすする口元を見られるのが恥ずかしい」「一人でラーメン店に入りにくい」というものだ。

 女性でも一人で気軽に入って、人目を気にすることなくラーメンを食べられるようにするにはどうしたらいいのか――。そこから考えされたのが、一人ひとりに間仕切りが設けられた「味集中カウンター」なのである。

 ほかにも専用の用紙に記入することで、麺のかたさや味の濃さ、こってり度などを好みにあわせて注文できる「オーダーシステム」、替玉を頼むとチャルメラが鳴る「替玉システム」など、試行錯誤の上にさまざまなアイデアが具現化されてきた。

 このように豚骨ラーメンに徹底してこだわり、年商100億円を達成する一大チェーンへと一蘭を発展させてきた吉冨社長が、cybozu.com カンファレンス2014に登壇。弱者が強者に勝つための商売の秘訣として、同社が実践してきた「一寸法師戦略」を明かした。

人々の記憶に“粘りつく”イメージを作ることで商売の“シード権”を獲得できる。

 一般的なイメージとしては、豚骨ラーメン専門店とITはあまり結びつかないかもしれないが、実際には吉冨社長ほど“デジタル”を重視している経営者は珍しい。

 現在のビジネスの世界やコンシューマーの間で流通している情報量は15年前に比べて3,000倍になっている時代の潮流をとらえ、「経営者は決してデジタルが苦手という意識をもってはならない」と説くのである。

「ITを使えば、調べたいこと、知りたいことが瞬時にわかる。何年も修行を積まなければ学べなかったことを、データや統計として入手することができる。速いスピードで流れていく世の中で、未来を予見しないと生き残ることはできない」

 IT活用こそが一蘭の急成長の原動力になっているわけだ。実際、全国店舗に広がる220人の社員間のコミュニケーションはサイボウズOfficeを用いて、売上報告はもちろん、ワークフローでの決済、新アイデアの募集などを積極的に行っているという。

 こうしたITが支援する形で取り組んできたのが、吉富社長の掲げる「一寸法師戦略」で、一蘭が具体的にどんなことを追求してきたのかというと、あらゆる思いや施策が「ブランドづくり」に集約されている。「価値あるブランドをつくることが、絶対的な商売の秘訣」と吉冨社長は言い切る。

 同氏のいうブランドとは、「その名前を聞いた時に、人々の頭の中で連想される」もの。これをどんどん研ぎ澄ませていくことで、あらゆる事象を商品やサービスに関連付けていくことができる。多様かつ大勢の顧客に同じものを連想してもらえるようになることが、何よりも重要なのだ。

 「たとえば、『銀座』と聞けば、ほとんどの人が『高級』と連想する。クラブのママであれば、銀座出身というだけで価値が上がる。地方に店を出しても、皆から『行ってみたい』と思ってもらえる」(吉冨社長)

 さらに、そうした連想をより広い領域で起こしてもらえるようにすることで、ブランドの価値はますます上がっていく。「豚骨といえば一蘭」→「ラーメンといえば一蘭」→「麺類といえば一蘭」→「ランチといえば一蘭」→「B級グルメといえば一蘭」→「食事といえば一蘭」と領域を広げていくことに、吉冨社長は全力を挙げてきた。

 実際、これによる効果は絶大であり、「人々の記憶に“粘りつく”イメージを作ることができれば、その価値の大きさはゴールデンタイムに永遠に無料でCMを流し続けることに相当する。口コミで広がり、マスコミにも取り上げられるようになり、人々の頭の中に“シード権”を獲得することができる」と吉冨社長は語る。

 先の堀江氏のブログをあらためて引用すると、そこには次のように評されている。

できればそのラーメン屋にストーリーがあったほうが受けるのだ。でもその話は口コミでしか伝わらない。しかし一蘭の場合、ほぼ全員が半強制的にそのストーリーを覚えるので口コミが伝わりやすいのである。選ばれる第一の要素を完全に満たしている。

 そして結論づける「この会社の社長は只者ではない」と。

【次ページ】「究極に絞り込んでいく」ことの大切さ

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