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  • 2015/08/21 掲載

ネットショッピングの「困った」に挑む新しい宅配ビジネス

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ネット購入した商品を24時間いつでも受け取ることが可能という新しい物流サービス「Scatch!(スキャッチ)」が、この6月から東京との一部地域を対象にスタートしている。同サービスは、ソフトバンクグループが実施する新規事業提案制度「ソフトバンクイノベンチャー」から生まれたものだ。Scatch! の提案者であり、現在はその推進責任者である武藤 雄太 氏に、事業の概要と今後の展望について話をうかがった。物流という業界において同氏は、いかなる課題に着目し、いかなるビジネスチャンスを見出しているのだろうか。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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SBイノベンチャー
武藤 雄太 氏

ビジネス創生は実体験の「困った」から

 国土交通省によると、宅配便の取り扱い実績の推移は上昇を続けており、最近5年間の2009年~2014年度で見ると12.2%の増加だ(図1)。

 これには、2014年現在で約12.8兆円(経済産業省発表による)と成長著しいEコマース市場の存在(図2)が大きく影響しているものと言われている。

 ところが、そのように需要が拡大する一方で、運送業界の宅配網は将来的にパンクするのではないかというリスクも指摘されている。ドライバーの人手不足、賃金上昇、高齢化といった事情があるからだ。

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図1 宅配便取扱個数の推移
(出典:国土交通省 報道発表資料「平成26年度宅配便取扱実績関係資料」)
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図2 日本のBtoC-EC市場規模の推移
(出典:経済産業省 ニュースリリース「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」)

 また社会的背景から見ると、単身世帯や共働き世帯の増加という世帯構造の変化があり、日中に宅配を受け取れない人も広がっている。不在、再配達という状況が幾度も発生し、物流の非効率が顕在化してきた。荷物の受け手にとって、商品がなかなか手元に届かず、再配達の連絡をするにも手間がかかり、少なからぬストレスの要因となっている。

 このような問題を解消すべく、早朝・深夜・24時間ジャストタイムの宅配を可能にする新しい流通サービス「Scatch!(スキャッチ)」を立ち上げたのが武藤 雄太 氏だ。同氏は、Scatch! をスタートさせた経緯について次のように語る。

「サービスを思いついたのは、自身の実体験からです。私は、これまでネットショッピングを頻繁に利用していましたが、平日は夜遅く帰宅するため、荷物を受け取れないという経験が何度もありました。週初めに購入した荷物がすぐ家の近くまで来ているのに、週末まで受け取れないのです。何とかできないものか、という思いがありました」(武藤氏)

 自由な時間に自宅まで荷物を届けてもらえるサービスがあれば、便利なのだが。そこで同氏は、ソフトバンクグループの社内ベンチャー制度「ソフトバンクイノベンチャー」を活用し、アイデアの実現を進めた。
ソフトバンクイノベンチャー:ソフトバンクグループ内の全社員を対象とした、新規事業提案制度。経営理念の「情報革命で人々を幸せに」を軸に、自由なテーマでアイデアを募り、複数の審査を経て、事業化の検討案件を決定。事業化が決定した案件は、提案者が主体となり推進する。2014年度は、約1200件の応募のうち10件が審査を通過した。

【次ページ】 ITで物流に「細やかさ」をもたらす

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