• 会員限定
  • 2015/10/30 掲載

デジタルコンバージェンスとは何か? MITメディアラボ創設者が提唱、LINEが体現

ビジネスモデル解説:デジタルコンバージェンス

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
LINEの登録ユーザー数は世界で5億人、日本では5800万人(2015年7月時点)を超え、生活のインフラとして日常的に利用されるアプリに成長してきました。チャット・通話・音楽・映像・Eコマース・ゲーム・ニュースなど多岐にわたるLINEのビジネスモデルは、異なる技術が一つのメディアに収斂する「デジタルコンバージェンス」の代表例とも呼ばれています。特に、広告とコンテンツを融合した点が他のソーシャルメディアとは一線を画す革新的なビジネスモデルなのです。

執筆:在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

執筆:在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うとともに、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」を運営。

photo

LINEが体現するデジタルコンバージェンスの世界とは?

 「LINEがあれば何もいらない」そんな声が聞こえるほど、LINEのサービスはあらゆる消費生活をカバーするようになりました。チャット機能に始まった通信機能は、音声通話・ビデオ通話も含みます。写真や動画の編集機能もあるので、自分で撮影したコンテンツを共有・発信することも可能です。

 2015年6月に開始された定額制音楽配信サービスの「LINE MUSIC」やライブ映像配信サービス「LINE LIVE CAST」によって娯楽コンテンツが充実され、スマートフォンにおける新たな視聴スタイルを提供するようになりました。ユーザーが自由に売り買いできる「LINE MALL」や決済サービス「LINE Pay」の導入により、個人間でEコマースも可能になりました。

画像
LINEのビジネスモデル
(作成:高橋 博伸)


 リアルタイムで消費者とつながることができるLINEは、個人だけでなく企業にとっても魅力が高く、消費者へ情報発信できる「LINE@」は、マーケティングの要となってきました。他にもゲームやニュースアプリなど、消費者生活を豊かにするサービスは枚挙に暇がありません。

 このように通信・CGM(コンシューマー・ジェネレイテッド・メディア)・音楽・映像・Eコマース・ゲーム・広告といったあらゆる業界に進出するLINEですが、その本質的な価値はどこにあるのでしょうか。その答えはインターネットやスマートフォンの発展により生まれた「デジタルコンバージェンス」の波にあります。

LINEはデジタルコンバージェンスの申し子?

 1995年、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ 創設者 ニコラス・ネグロポンテ教授が「デジタル技術や通信技術の発達により、放送・通信・出版など異なるメディアが一つに統合・収斂される」とデジタルコンバージェンスの考えを説きました。

 従来、情報の種類によって媒体は分けられており、音声はラジオ、映像はテレビで通信されるものでした。それが、インターネット配信技術の進展によって情報がデータとしてやり取りできるようになり、コンピュータ一つあれば、音声も映像も全て取り扱うことができるようになったのです。いまや、ラジオ・テレビ・電話といった専用機器を用意する必然性がなくなってしまったのです。

 また、ソーシャルメディアの時代では、プロが作成したコンテンツと一般の消費者が作成したコンテンツも、一つのメディアに収斂(コンバージェンス)していきました。これまではテレビまたはCD/DVDによる配信が主だった映像は、動画共有サイトで配信されるようになっています。「YouTube」においては、プロが作成したテレビ・コマーシャルも、YouTuberに代表されるような一般消費者が作成した映像も、同等に扱われ、同じように人気を集めています。

 さらに、スマートフォンの普及がデジタルコンバージェンスに拍車をかけました。電話・カメラ・動画再生・GPS(位置情報システム)利用などがスマートフォン一つで行えるため、全ての情報がスマートフォンに集まるのが自然な流れとなったのです。消費者にとっては、デジタルコンバージェンスの実現によって、利用したい時にはいつでも通信や娯楽の機能を利用できるため利便性が高まったという利点があります。同時に、企業側にとっては、消費者のより詳細な購買行動情報をもとに正確な広告宣伝が行えることがメリットと言えるでしょう。通信・娯楽に加えて広告をスマートフォンに収斂させたLINEは、デジタルコンバージェンスの申し子というべき存在なのです。

【次ページ】業界の垣根を取り払ったLINE、真の競合は?

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

アップデートに振り回されない 今やるべきSEO

今回は、累計約2,000社とのSEO取り組み実績のあるSpeeeが、アルゴリズムアップデートに強くなるためのSEOというテーマでセミナーを開催します。 24年3月に約4ヶ月ぶりとなるコアアルゴリズムアップデートが実施されました。 また同時に new spam policies の発表を行い、スパムアップデートも実施しています。 複数のシステムを調整しており通常のコアアップデートより複雑で、完了まで1ヶ月(通常は1?2週間)におよぶことが想定される、と公表されています。 アルゴリズムアップデートは、様々な業界やコンテンツの広範囲に影響を与えておりますが、Googleは上記以外にも大小様々なアップデートを実施しております。 Googleがアップデートを行う背景には、「より良い検索体験を提供する」という使命を実現する、というのがございます。 その使命の実現のため、時代の潮流を踏まえた新たな概念を取り入れたり、またAIなどの最新技術を用いたりしながら、日々バージョンアップを図っております。 今回のセミナーではまず、直近実施されたアルゴリズムアップデートを中心に、Googleが近年実施したアップデートの変化の傾向、及びGoogle自身やその関係者の発信内容を読み解きます。 それらを踏まえて、Googleがどのようなサイトを評価するのか、自社サイトでどのような方針のもとSEOを進めていくべきなのかを解説します。 ご参加いただいた方には、特典としてSEOヘルスチェックシートをご用意していますので、ぜひご参加ください。

オンライン

SEOはインハウス?外注? - 両方のやり方の比較やSEOのポイントを徹底解説

今回のセミナーは、昨年好評をいただいた『インハウスSEO』がテーマです。 「SEOに注力しており、より本格化するためにやり方や体制を見直したい」 「まずは内製でSEOには取り組みたいが、何からすればいいのかわからない」 「本当に内製でSEOの成果は出せるのか」 など様々な理由から、『SEOにインハウスで取り組むべきか』お悩みの方は多いかと思います。 今回のセミナーでは、インハウスSEOと外注のそれぞれやり方を比較し、そのメリット・デメリットなどを、詳しく解説します。 弊社においても、近年「インハウスSEOに取り組みたい」というご相談をいただくことが増えております。 ただし、SEOは中長期を見据えて取り組むことが前提となる施策であることから、短期的な視点で「自社でプロジェクトを回せるようになりたい」といった意向のみでなく、 コストや運用の負荷など様々な観点を比較し、売上やコンバージョンを最大化させるために、自社に見合う方法を合理的に決める必要がございます。 セミナー本編においては、まずSEOプロジェクトの基本的な進め方や実施する施策のイメージを皆様に持っていただきます。 その上で、インハウスSEOと外注での実施方法についてメリット・デメリットを比較し、それぞれどのような事業者様に向いているのか、わかりやすく説明します。 ご参加いただいた方には、特典としてコンテンツのユーザーインテントをチェックできる「サイトヘルスチェックシート」をご用意していますので、ぜひご参加ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます