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  • 2016/06/20

テンセントとはいかなる企業か? 時価22兆円、ゲーム世界一、WeChat11億人の脅威 (2/2)

ソフトバンク子会社を買収へ

テンセントから日本企業が学ぶべきこととは?

 6月9日のブルームバーグによると、ソフトバンクグループが株式の大半を所有するフィンランドのゲーム会社スーパーセル(Supercell)について、テンセントが90億ドル(約9,600億円)で買収する計画があると報道しています。上記のテンセントの状況を踏まえれば、テンセントの“賑わい”を活かして、スーパーセルのゲーム資産を最大化すれば、買収金額は正当化できるというのがテンセントのマネジメントの考え方でしょう。

 冒頭でテンセントと任天堂の比較しましたが、両社が同じようにゲームを開発・提供していながらも、売上、時価総額の面でテンセントが圧倒的に上回る理由は明確です。

 任天堂の場合、やはりゲームありきのビジネスです。一方で、テンセントの場合はQQ、QZone、WeChatを中国有数のコミュニケーションプラットフォームに育て、その“賑わっている”空間にゲーム・コンテンツを提供することでマネタイズを図っています。

 これはひとえに、テンセントのマネジメントの巧妙さにあり、大いに日本企業も学ぶべきポイントであると筆者は考えます。

テンセントの成長戦略、今後はFinTech企業に?

 QQ、QZone、WeChatのコミュニケーションプラットフォームを軸に、付加価値サービスとしてゲーム・コンテンツを提供する、これが今のテンセントの基本的な戦略です。今後の成長戦略でもこの方針は大きく変わりませんが、テンセントのアニュアルレポートにおいて、馬CEOは次のように指摘しています。

Enriching products and services available within our platforms. For example, we introduced personal micro-loan products and municipal services, such as visa applications, to Mobile QQ and Weixin.
(我々のプラットフォーム内のプロダクト・サービスを強化する。たとえば、モバイルQQやWeixin上での新しいマイクロローンプロダクト、あるいはビザアプリケーションなどの公共サービスの展開があります)

 ゲーム・コンテンツ以外にテンセントの“賑わい”をどう活用するか? それがここでいうマイクロローンなどのFinTechと呼ばれる決済・融資の分野なのです。そのFinTechの分野で、同社傘下のTenPayが手がけるのが決済サービス「WeChat Payment」です。

 WeChatユーザーは銀行からおカネをWeChat Paymentに入金し、それを映画代金、ゲームのポイント、クレジットカードの支払、ECサイトの支払いへと使うことができます。中国では、EC大手のアリババが提供するAlipay(アリペイ)について2番目のポジションです。

 Alipayは、中国最大のECモールであるタオバオの決済手段として広く普及している一方、WeChat Paymentではテンセントが15%出資する中国第2のECモール「京東商城(JD.com)」での導入にくわえて、モバイル決済が基本です。

 驚くべきはその使い勝手です。たとえば飲食店で割り勘をするときは、相手先と金額を指定するだけで簡単に支払いが完了します。交通機関でも利用でき、日本でいうSuicaやWAONよりも圧倒的に対応できる場所が多いという印象です。

 こうした決済において手数料を徴収し、将来的にはマイクロローンなどの融資の機能も追加することによって、ゲーム・コンテンツに加えて、金融まであわせて提供することができます。冒頭で触れた経営者は、「早晩、Alipayを上回るのではないか」と語っていました。実際、6月16日の株価では、テンセントの時価総額22兆円に対して、アリババは21兆円(210.3億ドル×1ドル106円)と時価総額ではテンセントが上回っており、このプラットフォームの価値が認められているといえそうです。

時価総額22兆円はバブルなのか

 QQ、QZone、WeChatで着実にMAUを増やし、賑わいの場を作り、そして、そこに自社開発・他社ライセンスのゲーム、あるいは、NBAなどのコンテンツを提供。加えて、今後は決済・融資のFinTechまでテンセントのプラットフォームで完結することが考えられます。

 そうした点において、時価総額22兆円というのは、単なるバブルとは片付けられないと筆者は考えます。

 では、テンセントに死角はないのかというと、やはり常に“賑わう”場を作りつづけられるかどうかということでしょう。そして、まったく別の“賑わう”場を他社に奪われる、そうしたリスクは今後もありうるところで、こうしたリスクをどう避けるか、それがテンセントのマネジメントの腕の見せ所とも言えるのではないでしょうか。

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