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- 2020/07/29 掲載
エピック・ゲームズとはいかなる企業か?ソニーも出資「フォートナイト」開発社の可能性
ユーザー数3億5000万人の大ヒットゲーム「フォートナイト」
フォートナイトは多人数が同時に参加するシューティングゲームで、無料でも十分に楽しめるのが特徴だ。また、パソコン、スマホ、ゲームコンソール(Xbox、PlayStation、Nintendo Switch)のいずれの機器同士でも同時に接続して利用できるマルチプラットフォームのため、利用者を大きく増やしてきた。
基本のゲームは、1回の戦闘に100人のユーザーが参加し、最後まで生き残った人が勝者となるバトルロワイヤル形式。ゲームの会場となる仮想空間を探索して戦闘を有利に進めるアイテムを集めたり、チームを組成して団体戦を行ったりする要素もある。
楽しみ方は多様であり、戦闘を行わずに友人と時間を過ごす「パーティロイヤル」や仮想空間内に自由に建物を建築する「クリエイティブ」といった遊び方もある。また、eスポーツとして競い合う大会が開催されたり、フォートナイトをプレーする様子を配信したりと、さまざまなコミュニティを形成しながら大きな盛り上がりを見せている。
フォートナイトは、本格的にゲームを攻略する層(ガチ勢)、無料でゲームを楽しむ層、普段ゲームはしないが友人とともに時間を過ごしたい層(エンジョイ勢)のいずれもが楽しめるように進化を遂げてきた。マルチプラットフォームで、かつ音声通話も組み込まれているので、コミュニケーションも容易だ。
ゲームの優劣に関係なく7割が課金するのはなぜか?
フォートナイトで課金するのは、仮想空間に現れるキャラクターの衣装やエモート(ダンス)と呼ばれる動きが対象だ。課金したからといって戦闘が有利に働くわけではなく、戦闘自体は常にプレイヤーの実力と運次第だ。にも関わらず、ニールセンのゲーム市場調査ユニットであるSuperDataの行った調査によれば、2019年のフォートナイトの売り上げは18億ドルだった。Business of Appsの調査では、ユーザーの7割はアプリ内課金をしており、平均して85ドルを費やしていると報告された。ゲームを有利に進められず、見栄えを変えるだけなのに、なぜ人は課金するのかと疑問に思うかもしれない。
このフォートナイトの人気を説明する一つの説として、ソーシャルメディアを代替しているという指摘がある。「インスタ映え」する写真を投稿してフォロワーから「いいね!」をもらうように、フォートナイトで面白い恰好や建築、シューティングの成果を上げ、ユーザー同士で承認しあう仕組みがあるということだ。リアルな世界でファッションや体験を楽しむように、仮想空間でもシェアしたくなるような体験に対し、アプリ内課金が行われているのだ。
コロナ禍によって世界的に外出が制限され、仮想空間での過ごし方に影響を与えたのは間違いないだろう。外で友人と時間を過ごす代わりに仮想空間で待ち合わせをしたり、自己を表現する機会を得たりするようになった。
ゲムトレ社が2020年5月に発表した調査では、小学生が一番遊んでいるゲームタイトルは「フォートナイト」「マインクラフト」「あつまれ どうぶつの森」で、上位3タイトルのすべてがゲーム内で他人と時間を共有できるゲームとなっている。
中でもマインクラフトは仮想空間内で建築などを行って生活していくゲームで、子供の創造性を刺激するものとしてプログラミング教育にも活用されている。マインクラフトの建築要素はフォートナイトへ影響を与えたとも言われている。
あつまれ どうぶつの森も仮想空間で施設を建てたり、島を開発したりして楽しむゲームで、世界中で大ヒットとなっている。 これらのゲームは、自分で仮想空間をデザインして創造性を発揮したり、友人とコミュニケーションをとったりできる点が共通している。
あたかもリアルの世界と同じように、オンラインの仮想世界で経済活動やコミュニティ形成を行う考え方は「メタバース」と呼ばれ、2000年代初頭に流行した「セカンドライフ」のように、いくつかの事例が見られた。コロナ禍がメタバースの可能性を改めて示したと言えるだろう。
【次ページ】エピック・ゲームズの業績を裏で支えるのは?
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