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  • 2016/11/07 掲載

経営者と管理職が知らないと恥ずかしいLGBT基礎知識

work with Pride(ワークウィズプライド) 2016 レポート

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「LGBT」とは「Lesbian」(レズビアン)、「Gay」(ゲイ)、「Bisexual」(バイセクシャル)、「Transgender」(トランスジェンダー)の頭文字をとった略語で「性的少数者」を指す。LGBTの割合は全体の5~8%といわれており、「少数」といえど多いことが分かる。LGBTが自分らしく働けるよう、企業が率先して職場づくりを進めることは、いまやグローバルスタンダートだ。しかし、日本企業の間では、まだLGBT支援や対応に着手できていないところも多い。そこで、経営者と管理職が知らないと恥ずかしいLGBT基礎知識をわかりやすく解説する。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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任意団体work with Pride (ワークウィズプライド)が主宰する「work with Pride 2016 セミナー」の模様。今年で5回目を迎える。参加者は毎年増え、今年は600名以上。マイクロソフトや日本アイ・ビー・エムなどグローバル企業の参加も多い。

「LGBT」とはどういう人たちなのか

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NPO法人 グッド・エイジング・エールズ 渡辺勇教氏
 「実はまだLGBTであることをカミングアウトしていないだけで、職場にLGBTの方がいることは多いのです。LGBTは左利きやAB型の人と同じことだと思っています」と語るのは、NPO法人 グッド・エイジング・エールズの渡辺勇教氏だ。

 LGBTのを説明する際に、セクシャリティ(性)の観点から見ると「カラダの性」「ココロの性」「スキになる性」という3つの掛け合わせから説明できるという。

 まず「カラダの性」×「ココロの性」(性自認)だ。たとえばカラダが男でココロが男。カラダが女性でココロが女性。これは標準的な例だろう。しかし、カラダが男でココロが女性、あるいはカラダが女性でココロが男性という人もおり、総称して「トランスジェンダー」と呼ばれることが多い。つまりカラダとココロが不一致の場合の「性別越境者」を指す。

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LGBTは「カラダの性」「ココロの性」「スキになる性」という3つの掛け合わせから説明できるが、そのなかで括れないケースもあり、多様性に富んでいる。

 次に「ココロの性」(性自認)×「スキになる性」(性的指向)という掛け合わせで見ると、合計12パターンがあることが分かる(上図を参照)。

 ゲイと呼ばれる人はカラダの性も、ココロの性も、スキになる性も男性ということになる。一方、レズビアンの場合は、カラダの性も、ココロの性も、スキになる性も女性だ。

 しかし、これ以外にもゲイとレズビアンのケースがある。たとえばカラダの性が女性、ココロの性が男性、スキになる性が男性だと、ゲイということになる。前者との違いは、カラダが男性として生まれたか、女性として生まれたかということだ。ココロが男性で、スキになる性が男性ならば、ゲイということだ。

 同様のことは、レズビアンについてもいえる。カラダの性が男性、ココロの性が女性、スキになる性が女性だと、レズビアンとなる。こういったケースは見た目から容易には判断できず、分かりづらい。さらに、それぞれのケースにおいて、スキになる性が両性、つまりバイセクシャルのケースもある。

「LGBTという言葉がメジャーになる中、いま説明した括りでは収まらない方もいます。たとえばカラダの性が男性とも女性ともいいきれない方や、ココロの性も日によって変わったり、年代によって性的指向が変化するケースもあります。そういう意味では非常に多様性に富んでいるのです」(渡辺氏)

LGBT基本方針を設けている企業は何社ある?

 さらにLGBTに関して、具体的に性を考える切り口には、出生届・戸籍などで決められた「性別」や、自分の性別をどう認識するかという「性自認」(Gender Identity)、好きになる相手の性別を示す「性的指向」(Sexual Orientation)、服装・しぐさ・言葉遣いなどの「性表現」(Gender Expression)からの観点もある。性は男/女の2つだけでなく、多様なものなのだ。

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NPO法人 虹色ダイバーシティ
五十嵐ゆり氏
 NPO法人 虹色ダイバーシティの五十嵐ゆり氏は、「たとえばレズビアンの場合、男になりたいのですか? と言われることがあっても、性自認として女性であることを認めていることも多いのです。厳密には、性自認・性的指向・性表現は、どこからどこまでが男性・女性というように線を引いて決められません。つまり誰がLGBTかということを判別するのではなく、そのマイノリティの困難について注目して欲しい」と強調する。

 そんな状況の中で、最近ではLGBTに取り組む日本企業も増加してきた。東洋経済の第11回CSR調査によれば、LGBTの基本方針がある企業は2016年時点で173社。この中には、日本アイ・ビー・エム、明治安田生命保険、マルハニチロ、アステラス製薬などが含まれている。LGBTのに関する具体的な取り組みがある企業は146社に上るという。2年前に比べて1.5倍以上になった。渋谷区のパートナーシップ証明書発行など、各自治体の政策の影響も大きくなってきた。

【次ページ】企業がLGBT対応に取り組む2つの理由

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