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  • 2017/02/16 掲載

会議を意味あるものにする「唯一かつ最大の方法」

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会議とは面倒なもので、無意味なもので、時間のムダであると考える人は多い。「案件管理」にしろ「進行管理」にしろ、とかく管理というものは働く人たちにとって嫌われるものである。無意味な報告や、効率化の人々は飽き飽きしている。もちろん、そうしたものがなければ目の前の仕事もないという事実もある。では、こうした状況からどのように脱すれば良いのか。「会議の技術」を磨くことにこそ、その活路はある。会議を意味あるものにする「唯一かつ最大の方法」を紹介しよう。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

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会議を制する者は「組織」を制す
(© whim_dachs – Fotolia)



「会議」には何の意味があるのだろうか

 会議というものは、とかくイメージが悪い。

 「最新の調査によれば、人は業務時間の60%を業務管理のために使っているそうだ」なんていう話が、まことしやかに語られることがある。Facebookのタイムラインにおいては、この手の話題はたいへん人気がある。

 また、現場で活躍した名プレイヤーが、昇進したのはいいけれど、会議に次ぐ会議の毎日で元気をなくしてしまった、なんていう話もしばしば耳にする。

 プログラマーであろうとプランナーであろうとセールスであろうと、ビジネスパーソンは業務「管理」ではなくて、実際に仕事をしたいのである。

 近年、長時間労働問題もまた問題とされるキーワードとなっているが、実際のところ高いパフォーマンスを上げるビジネスパーソンの多くは、仕事そのものが嫌いなわけではなく、むしろ好んで仕事に取り組むものだ。

 しかし、それに付随する結果の記録や報告、スケジュール調整といったものは別だ。仕事をつまらなくしているものはこのような間接業務であり、会議とは、その親玉、権化のようなものである。

組織である以上、絶対に会議はなくならない

 とはいえ、なんの管理もなく生産性の高い実務だけをする、ということはやはり不可能な話である。大きな「ヒト・モノ・カネ」を動かす以上、そこには計画、説明責任、監督というものがついてまわるのは当然の話だ。

 その中心にあるのが「会議」なわけだが、これを実施するにあたって、専門的なスキルが必要なものだと言われることはない。人々が集まり、レジュメを配り、そこで意見交換をしさえすれば「会議」に見えるからだ。

 しかし、本来は、会議を真に生産性の高いものとするためには、高度な技術が必要なのである。そして、効果的な会議のファシリテーションは、時に一つの会社を救うこともある。

 実は筆者は、会議が大好きな、(おそらく少々変わり者の)一派の一人である。

 各セクションの代表者が集まり、ああだこうだと意見を戦わせる。そこには利害関係があり、駆け引きがあり、思惑がある。その場にいる人々の意識が統合されて団結につながるのか、無力感と当事者意識の欠如に敗北してしまうのか。

 当然、組織としては前者の展開を目指すべきだが、どうにもこれが難しい。しかし、徹頭徹尾、裏方に徹することで、ファシリテートすることでこれが実現することもまれにある。そうした会議が実現できると、このうえなく幸福を感じるのである。

会議を意味あるものにする、唯一かつ最大の方法

 ただ、あらゆる技術がそうであるように、会議においても、特殊な技術や魔法のようなテクニックがあるわけではない。あくまで基本に忠実であること、その基本を実現することに最大限の集中をすることが肝要である。

 その本質を一文で表すとすると、こうなる。

会議とは「参加者の現状認識を揃え、次に何を狙いとして、どのようなアクションを取るかの合意をする場である」と心得よ

 会議が無意味なものになる理由のほとんどは、参加者が会議をそのような場だととらえていない、ということによる。このように書くと当たり前のようだが、会議とは人にとって様々なイメージ、先入観でとらえられているものである。

 会議とは「社長の演説を、頭を垂れて聞き続ける会」だと、とらえる人もいる。

 またある人にとっては、「自分のポジションを確保するためのマウンティング闘争の場」と考える人もいる。場合によっては、「なんだか知らないが、呼ばれたからには座っていなければならないもの」なんてことも珍しくない。

 その場で語られているものに対して、人々が違う切り口で見てしまうと、表面上会話が成立しているように見えても、実は肝心の意思疎通はできていない、ということになってしまう。

 会議に対して「なんだか知らないが、呼ばれたからには座っていなければならないもの」というモードでいる人間に対して、「発言しない参加者はいないにも等しい」となじったところで、その人は「だったら呼ばないでくれ」としか言いようがない。

 そこに上下関係があり、内心反発と怒りが生まれようものなら、その末路が最悪なものとなるのは明らかだ。特に、会議には怒りは禁物である。

 参加者がみな「参加者の現状認識を揃え、次に何を狙いとして、どのようなアクションを取るかの合意をする場である」というモードで臨むことは、会議が会議であるための最大にして唯一の方法である。

【次ページ】正しい段取りをすることで、会議の前に勝利が決まる

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