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  • 2018/07/27

オープンソースソフトウェア(OSS)ライセンスの比較・まとめ、GPLやMITは何が違うのか

いま最も利用されているライセンスは?

現在のITシステムは、もはやオープンソースソフトウェア(以下、OSS)抜きでは構築できません。それはすなわち、OSSの動向をキャッチアップせずに、システム構築はできないといっても過言ではないのです。本連載では「OSSと上手に付き合っていくコツ」を軸に、OSSにまつわるさまざまな情報を提供していきます。今回はOSS活用でもっとも重要な「OSSのライセンス」に焦点を当てます。

日立ソリューションズ 技術革新本部 研究開発部 主管技師 吉田 行男

日立ソリューションズ 技術革新本部 研究開発部 主管技師 吉田 行男

日立ソリューションズ 技術革新本部 研究開発部 主管技師。 2000年頃より、Linuxビジネスの企画を始め、その後、オープンソース全体の盛り上がりにより、 Linuxだけではなく、オープンソース全般の活用を目指したビジネスを推進している。現在の関心領域は、OpenStackを始めとするクラウド基盤、ビッグデータの処理基盤であるHadoop周辺及びエンタープライズでのオープンソースの活用方法など。

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OSSライセンスをわかりやすく解説する
(© dizain - Fotolia)


そもそもOSSとは何か?なぜライセンスを理解すべきか

 そもそもオープンソースソフトウェア(OSS)とは、ソースコードが無償で公開されており、だれでも複製・配布・改良できるソフトウェアのこと。誤解のないように先に伝えておくと、複製・配布・改良の範囲は「OSSライセンス」によって制限されています。

 対義語にはプロプライエタリ・ソフトウェア(私有または独占的なソフトウェア)があります。有名なマイクロソフトのWindowsやOffice、あるいはアドビのPhotoshopなどはソースコードが公開されておらず、複製・配布・改良は禁止されています。また、よくOSSと誤解されるものとして、フリーウェアがありますが、これはプロプライエタリ・ソフトウェアのうち、無償で提供されるソフトウェアのことを指します。

 企業において、独自のアプリケーションを開発したり、さらにそれを外販、あるいはサービス提供するというケースが増えてくる中で、もっとも代表的なLinuxをはじめ、OSSの品質は劇的に向上しており、OSSなくして効率的なソフトウェア開発は行うことができない状況になりました。

 そしてOSSについて紹介する際、必ず話題になるのが「ライセンス」です。OSSはその名の通り、ソースコードが開示されているため、比較的柔軟に利用することができます。

 その一方で、指定されたライセンスのもとで正しく利用しなければ、知らない間に著作権に違反していたり、重大なコンプライアンスの問題につながり、ソフトウェア開発における大きなリスクになりかねません。

 しかも、OSSは非常に数多くあり、そのライセンスも多岐にわたるため、その「違い」を理解するのは容易ではありません。OSSの果実を得るためにはライセンスへの理解が必須となるのです。

OSSライセンスの出発点「コピーレフト」とは?

 ではさっそくOSSライセンスについて見ていきましょう。まず、OSSライセンスは、「コピーレフト」(※一般的な商用ライセンスであるコピーライトの対義語として用いられます)と呼ばれる概念への適用状況に応じて、大きく3つのカテゴリ(類型)に分類できます。

1. コピーレフト型ライセンス
2. 準コピーレフト型ライセンス
3. 非コピーレフト型ライセンス


 「コピーレフト」とは、「著作者が著作物に対する権利(著作権)を保有したまま著作物の配布条件として、利用者に著作物を複写・改変・再配布する自由を与える」という考え方です。

 一方、複写・改変・再配布された派生物(二次的著作物)の配布者に対しても、まったく同じ条件で派生物を配布することを義務付けています。

 つまり、「コピーレフト」は、著作物が配布され続けるかぎり、制限なく適用され続ける特徴があります。 なお、ライセンスを分類する際の基準は以下の2つです。

1. ソフトウェア利用者(ライセンシー)に対して利用者がソースコードを改変した際に、改変部分のソースの開示までを義務づけるか
2. ライセンシーがソースコードを他のソフトウェアのソースコードと組み合わせた際に、他のソースコードの開示までを義務づけるか

 ちなみに、 ソフトウェア利用者を「ライセンシ」と呼ぶのに対し、ソフトウェア開発者は「ライセンサ」と呼びます。これに従って分類すると、下の表のようになります。

類型複製・再頒布可能改変可能改変部分のソース公開要他のコードと組み合わせた場合他のコードのソース公開要
コピーレフト型
準コピーレフト型×
非コピーレフト型××

各カテゴリのライセンスの意味

 では、それぞれのカテゴリライセンスについて、もう少し具体的に説明しましょう。

1. コピーレフト型ライセンス…コピーレフト型ライセンスでもっとも有名なのは、Free Software Foundation(FSF)によって作成されたGNU General Public License(GPL)です。GPLの特徴は下記の2点です。

・ライセンシの派生物にまで同じライセンスの適用を要求する。
・ライセンサが配布するOSSをライセンシが他のソフトウェアと組み合わせた場合、 ライセンサはライセンシに組み合わせ先のソフトウェアにまで同じライセンスの適用を要求する。

 先の表でも示したように、この類型のライセンスはいずれも非常に強い伝播性を持っている点が特徴です。GPLはほかのソフトウェアを組み合わせて派生物を作成した場合、その派生物にまでGPLを適用しなければいけないということです。一般的に「GPL汚染」として物議を醸すのはこの特徴です。

2. 準コピーレフト型ライセンス…準コピーレフト型ライセンスで代表的なのは、Mozilla Foundationによって作成された Mozilla Public License(MPL)です。MPLの特徴は下記の2点です。

・ライセンサに派生物にまで同じライセンスの適用を要求する。
・ライセンサが配布するOSSを、ライセンシが他のソフトウェアと組み合わせた場合、ライセンサはライセンシに組み合わせ先のソフトウェアまでは、同じライセンスの適用を要求しない。

 このように、準コピーレフト型ライセンスは“コピーレフト”性を有しながらも、コピーレフト型ライセンスと比較して、伝搬性が弱いことから「Weak Copyleft」型ライセンスとも呼ばれています。

3. 非コピーレフト型ライセンス…非コピーレフト型ライセンスで有名なのは、University of California, Berkele(UC Berkeley)が作成したBSD Licenseです。BSD Licenseの特徴は下記の2点です。

・ライセンシに派生物にまで同じライセンスの適用を要求しない。
・ライセンサが配布するOSSを、ライセンシが他のソフトウェアと組み合わせた場合でも、ライセンサはライセンシに組み合わせ先のソフトウェアにまでは同じライセンスの適用を要求しない。

 また、そのほかにもよく使用されているこの類型ライセンスについて、ご紹介したいと思います。
・MIT License
上記のBSD Licenseに類似したライセンスですが、ザブライセンスや著作権者の許諾に関する内容が細かく記載されている点が異なります。

・Apache License
最新のバージョンは、Apache License v2.0ですが、Apache Software License v1.1も多数存在しています。v1.1では、ドキュメントへの謝辞の記載義務がありましたが、v2.0では、記載義務が削除され、開発者による著作権や特許権の許諾が明確になりました。

最も使われているOSSラインセンスは何か

 上記からもわかるように、非コピーレフト型ライセンスの最も大きな特徴は、ライセンシが派生物を配布する際にソースコードを非開示にできることです。

 ライセンシが、非コピーレフト型ライセンスにもとづくOSSをベースに新たなソフトウェアを開発した場合でも、開発したソフトウェアのソースコードを開示する必要はなく、それを自身のプロプライエタリなソフトウェアとして配布できます。

 以下はそれぞれの類型で著名なOSSライセンスです。

■コピーレフト型
 GNU GPL
 GNU AGPL
 EUPL
 Q Public License15

■準コピーレフト型
 GNU LGPL
 MPL (Mozilla Public License)
 SUN Public License
 Apple Public License
 CPL (Common Public License)
 IBM Public License
 Artistic License (Perl License)

■非コピーレフト型
 BSD License
 FreeBSD Copyright
 MIT License
 X11 License
 ZPL (Zope Public License)
 Apache License

 では、現在どのライセンスが多く使われているのでしょうか。米国Blackduck社の調査によると、下記のようになっています (2018/07/23現在)。

ISC License
順位ライセンス名利用割合
1MIT License38%
2GNU General Public License (GPL 2.0)14%
3Apache License 2.013%
4ISC License10%
5GNU General Public License (GNU) 3.06%
6BSD License 2.0 (3-clause, New or Revised) License5%
7Artistic License (Perl)3%
8GNU Lesser General Public License (LGPL) 2.1(バージョン)3%
9GNU Lesser General Public License (LGPL) 3.0バージョン)1%
10Eclipse Public License (EPL)1%
11Microsoft Public License1%
12Simplified BSD License (BSD)1%
13Code Project Open License 1.021%
14Mozilla Public License (MPL) 1.1< 1%
15GNU Affero General Public License v3 or later< 1%
16Common Development and Distribution License (CDDL)< 1%
17DO WHAT THE FUCK YOU WANT TO PUBLIC LICENSE< 1%
18Microsoft Reciprocal License< 1%
19Sun GPL with Classpath Exception v2.0< 1%
20zlib/libpng License< 1%

 GitHubでも同様の調査結果を発表していますが、やはり「MIT License」が多いようです。このように「コピーレフト」に対する警戒心からか、「GPL」離れがあるように思います。

 次回は、一般財団法人ソフトウェア情報センター(SOFTIC)が発行している、企業の法務や技術部門の担当者を対象にした『IoT 時代におけるOSSの利用と法的諸問題に関するQ&A集』に基づいて、「ライセンス」にまつわるさまざまな事柄について紹介します。

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