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  • 2018/05/22

Windows ServerのLTSCとSAC、何が違うのか? 適材適所を理解する

連載:山市良のマイクロソフトEYE

前回まではWindows 10の半期チャネル(SAC)について説明してきましたが、今回はWindows 10と同様のSACによるサービス提供が、サーバOSのWindows Serverでも昨年から始まっていることについて説明します。Windows ServerにおけるSACとLTSCの考え方は、Windows 10のそれとは少し異なります。

フリーライター 山市 良

フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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Windows ServerでもSACが始まり、従来のLTSCも残る中、どちらが何に適しているのか?
(©vectorfusionart - Fotolia)

サーバOSのWindows ServerでもSACが始まった

 前回までに説明したように、クライアントOSのWindows 10は「Semi-Annual Channel(SAC、半期チャネル)」という半年ごと(3月頃と9月頃)のリリースサイクルで新バージョンが提供され、モダンライフサイクルポリシーに基づいて各リリースは18カ月間、品質更新プログラムが提供されます。その後も品質更新プログラムの提供を受けるためには、サポート対象のより新しいバージョン(ビルド)に機能更新プログラムまたはその他の方法でアップグレードする必要があります。

 このWindows 10の半期チャネルと同じサービス提供形態が、2017年10月よりサーバOSのWindows Serverでも始まりました。それは、Windows Serverのソフトウェアアシュアランス(SA)契約者が選択可能なWindows ServerのSKU(製品単位)である、Windows Server Semi-Annual Channelです。

 Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709、OSビルド16299.x)と同じビルドをベースとした「Windows Server, version 1709」が、Windows Server SACとして初めてのリリースになります。Windows ServerのSACリリースはWindows 10と同様に18カ月の品質更新プログラムのサポートが提供されます。2018年5月7日(米国時間)には、SACリリースの最新バージョン「Windows Server, version 1803」の提供が始まりました。

従来の提供形態もLTSCとして残り、後継はWindows Server 2019

 Windows Server SACの提供が始まった一方で、従来の固定ライフサイクルポリシーに基づいた、最低10年(メインストリーム5年+延長サポート5年)の長期サポートが提供されるWindows Serverの扱いは、今後も変わることはありません。こちらはWindows Server SACの開始にあわせて、「Long Term Servicing Channel(LTSC)」と呼ばれるようになりました。つまり、Windows Server LTSCリリースの最新バージョンは「Windows Server 2016」であり、Windows Server, version 1709やversion 1803はWindows Server 2016の後継バージョンというわけではありません。

 Windows Server 2016の後継バージョンは、「Windows Server 2019」という名称で、2018年後半リリースが予定されています。図1に、Windows ServerのLTSCとSACのリリースサイクルを図示しました。また、表1に、サポート期限などをまとめました。図1から想像できるように、Windows Server SACは、同時期にリリースされるWindows 10と同じビルドベースです。また、Windows Server 2019は、Windows 10バージョン1809やWindows Server, version 1809と同じビルドベースになる予定です。

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図1 Windows Server LTSCとSACのリリースサイクル
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表1 Windows Server LTSCとSACのサポートポリシーとサポート期限

LTSCとSACの機能差は

 Windows Server LTSCはコアベースのサーバライセンス(永続ライセンス)であり、Windows Server SACはサーバライセンスに加えてソフトウェアアシュアランス(SA)契約を必要とします。

 Windows Server LTSCとSACで最も大きな機能的な違いは、インストールオプションでしょう。Windows Server LTSCは「デスクトップエクスペリエンス」(Windows Server 2012/2012 R2ではGUI使用サーバと呼ばれていたもの)と、GUI機能を削除した「Server Core」の2つのオプションがあります。一方、Windows Server SACは「Server Core」のみになります(画面1)。そのため、複数のデスクトップユーザーをサポートするリモートデスクトップサービス(RDS)の役割は含まれません。

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画面1 インストールオプションの違い。左がLTSC(Windows Server 2019 Insider Preview)、右がSAC

 Windows Server 2016にはもう1つ「Nano Server」というインストールオプションがあり、物理サーバや仮想マシン環境にインストールすることができましたが(ただし、LTSCではなく、SAに基づいて提供されます。現在のSAC相当の位置付け)、これは廃止されました。Windows Server SACでは、Windows コンテナのベースOSイメージとしてのみNano Serverイメージ(microsoft/nanoserver:latestまたはsac2016、microsoft/nanoserver:1709、microsoft/nanoserver:1803...)が提供されるようになりました(画面2)。

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画面2 Windows Server, version 1709のDocker環境で動作するWindows Server, version 1709ベース(10.0.16299.x)のNano Serverコンテナと、Windows Server 2016ベース(10.0.14393.x)のNano Serverコンテナ

 このほか、Windows Server SACリリースには、Hyper-Vなどのコア機能の機能強化や、「Windows Subsystem for Linux(WSL)」やWindows Server上のDockerでのLinuxコンテナのサポート(現在、プレビュー)といった新機能の追加などがあります。SACに先行的に提供されるこれらの機能強化や新機能は、その後のLTSCリリースにも搭載されることになるでしょう。一方で、主にコンテナーやアプリケーションに注力したSACは、ソフトウェア定義のデータセンターの機能(記憶域スペースダイレクト、ソフトウェア定義ネットワーク、シールドされた仮想マシン)を含みません。これらの機能はLTSCリリースのDatacenterエディションが提供することになります。

 なお、現在、プレビュー提供中のWindows Server 2019 Insider Previewは、リモートデスクトップサービスの仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)ベースの展開のための機能のみを備えており、セッションベースの役割(リモートデスクトップセッションホスト)が搭載されていません。セッションベースのリモートデスクトップサービスが今後、どのようなものになるのかは、現時点では不透明です。

【次ページ】 LTSCとSAC、どちらが何に適しているのか

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