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  • 2014/10/08 掲載

情シス視点でみた、Windows Server 2012 R2移行の12個のメリット

【連載】Windows Server 2003サポート終了対策(最終回)

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本連載では、Windows Server 2003を使い続ける「リスク」に着目して移行の必要性を解説してきたが、最終回ではWindows Server 2012 R2へ移行する「メリット」に着目して連載を締めくくりたいと思う。Windows Server 2003と比較すると、Windows Server 2012 R2には数多くの機能が追加されており、何がどう良くなったのかわかりにくいかもしれない。そこで企業の情報システム部門に所属する筆者の視点から、特に注目したい12の機能をピックアップして紹介しよう。

村嶋 修一

村嶋 修一

1962年山口県生まれ。1995年頃から雑誌記事を書くチャンスに恵まれ、1997年に書籍デビュー。実務視線の「実践」を軸にした書籍雑誌ライティングとサラリーマンの二足のわらじを履く。2006年に「Microsoft MVP for Windows Server -Networking」を受賞し、2013年に「Microsoft MVP for Virtual Machine」でMVP Award連続受賞。Windows 2.1から業務としてWindowsコンピューティングと関わり現在に至る。著書に『Windows Server 2008 実践ガイド』(技術評論社)、『ベテランが丁寧に教えてくれる ネットワークの知識と実務』(翔泳社)などがある。

Windows Server 2012 R2のエディション

 最初にWindows Server 2012 R2のエディションをおさらいしておこう。Windows Serverには従来、「Standard」と「Enterprise」、「Datacenter」と いう3つのエディションがあった。両者には意図的な機能差があり、Standardで導入したものの、証明書自動配布ができないなど、その機能差に悔しい思いをした読者も多いだろう。

 しかし、Windows Server 2012では、主に「Standard」と「Datacenter」の2エディションにまとめられた。StandardとDatacenterには機能差はなく、Windows Serverが持つすべての機能をフルに使えるようになっている。StandardとDatacenterの違いは、ライセンス周りの違いだけだ。

 さらに「Essentials」と「Foundation」という廉価版エディションも用意されている。いずれもHyper-Vは利用できないが、最大ユーザー数と最大CPUソケット数に違いがある。

 そのほか、仮想化機能に特化した「Microsoft Hyper-V Server 2012 R2」やストレージ向けの「Windows Storage Server 2012 R2」などもある。

DatacenterStandardEssentialsFoundation
最大ユーザー数ライセンスベースライセンスベース2515
最大SMB接続16,777,21616,777,21616,777,21630
最大RRAS接続無制限無制限5050
最大64ビットCPUソケット数646421
最大RAM4TB4TB64GB32GB
ドメイン参加マイグレーションのみマイグレーションのみ
Hyper-V××
Active Directory Certificate Services
重複排除××
フェイルオーバークラスタリング××


ライブマイグレーションとレプリケーションがOS標準で実現できる「Hyper-V」

1.ポータビリティとしてのHyper-V

 Windows Server 2012 R2に移行する最大のメリットだと筆者が感じるのは、Hyper-Vによる「仮想化」だ。Hyper-Vは、Windows Server 2008から備わったため、当然Windows Server 2003には存在していない。また、Windows Server 2008のHyper-Vで発表された当時は機能も未熟だったが、Windows Server 2012 R2ではすでに第4世代を迎えており、劇的に使い勝手はよくなっている。

 さて、仮想化というと、余ったCPUパワーを生かしたサーバの集積とそれによるコスト削減がよく言われているが、筆者は一番の良さを「動作環境のポータビリティ」だと感じている。Windows ServerをHyper-Vで仮想化すると、仮想化されたWindows Serverは物理的なハードウェアの制限がなくなり、仮想化されたWidnows Serverは他のサーバが提供しているHyper-V上に容易に移動することができる。

 たとえば、かつてCPUパワー不足の対策のためにサーバを再構築するのは一大イベントだったが、仮想化した環境であればハイパワーなマシンに構築したHyper-V上に仮想マシンを引っ越すだけで対策が完了する。物理マシン上に構築した環境を移行するよりはるかに少ない手間で移行することが可能だ。

 このポータビリティを得るために、追加ライセンスや追加製品購入などの追加投資は必要なく、OSの標準機能だけで実現できるのもWindows Serverの良さだろう。

2.MSFC不要の「ライブマイグレーション」

 また、従来Windows Serverの機能を物理的に別のサーバに移動するには、フェールオーバークラスター(MSFC)を構築するのが必須となっていた。このMSFCの構築は、SANなどでCSV(Cluster Shared Volumes)を作る必要があり、技術的にも費用的にとてもハードルが高い環境であった。

 しかし、Windows Server 2012 R2では、MSFCを使用せずに仮想マシンを別のHyper-Vへ仮想マシンを稼働したまま移動する「ライブマイグレーション」がサポートされている。そのため、パワー不足などの理由で環境移行する場合であっても、サービスを稼働させたままハイパワーマシンへの移行が可能だ。

3.物理マシンに引けを取らない仮想マシン

 仮想環境で大幅にパフォーマンスダウンするようでは、仮想化のメリットがほとんど無くなってしまうが、Windows Server 2012 R2では物理マシンに引けを取らないリソース割り当てをすることが可能だ。いかに強化されているのかは2008 R2のHyper-Vと比較するとわかりやすい。

画像
Hyper-Vの強化

 仮想マシンで割り当てたリソースはフルに扱うことができるので、物理マシンに匹敵するパフォーマンスを発揮する。また、仮想マシンが使用する仮想HDDも物理HDDに引けを取らないI/Oをたたき出すようになっている。

4.標準機能で災害対策ができる「Hyper-Vレプリカ」

 重要サービスを提供しているサーバは、災害復旧用(DR)サイトを運用するのが常套だ。DRサイト運用は、サービスサイトで稼働しているサーバのバックアップを取得し、DRサイトにバックアップを搬送し、DRサイトにあるバックアップサーバにリストアする運用をしていることが多い。

 その点、Windows Server 2012 R2 Hyper-Vには、仮想マシンを定期的にバックアップサーバにコピーする「Hyper-V レプリカ」が標準機能として提供されている。レプリカサーバをDRサイト(待機系)に設置し、 WAN経由でのレプリカ設定をすれば、Windows Server 2012 R2の標準機能だけで災害復旧用サイトへのレプリケーションができる。

photo
Hyper-Vレプリカの機能イメージ

 また、Windows Serverのバックアップを、パブリッククラウドサービスのMicrosoft Azure上へ回避する「Azure Backup」を使えば、物理サーバなしでバックアップサイトが構築できる。

【次ページ】専用製品に迫る標準ストレージ機能

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