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  • 2018/12/18

日本生命のRPA活用術、AIやBPMNでどう効果を最大化させようとしたのか (2/2)

BPMN+BPMSの活用で標準化や現場化も可能に

 また標準化について、同社ではBPMSツールのintra-martを利用して事務の流れをオーケストレーションすることを実証実験中だ。

「まず事務フローの各工程に、安価で簡易な新技術を適用することで各々の標準化を図る。具体的には電子サインやAI-OCR、ルールエンジン、RPA、AIなどだ。これらをBPMSと連携し、事務プロセスをオーケストレーション、すなわちコントロールすることで、最終的に事務プロセス全体の標準化を目指したいと考えている」

 さらに現場化については現在、事務現場の人間が自分たちでBPMNを描き、それをBPMSに登録し、さらに入力ロボや点検ルールエンジンなどの部品も自分たちで作ってワークフローに設定する、というやり方に移行している最中だという。これによってシステム開発の効率化も目指す。

「2017年度には、RPA化する事務フローについてはすべて例外なく、事務現場に書いてもらった。苦労はする。しかし描ける。そして描いた業務フローをintra-martに登録する。いわばワークフローを開発するイメージだ」

 そしてintra-martに登録した1つ1つの業務フロー、点検や入力などの各フローに部品を配置していく。

「こうした作業はSE経験が無くても、その仕組みが分かれば、自分たちで十分に行うことができる」

 それでは各フローに配置する部品まで、現場で作ることができるのか。

「これは各部品の機能によって決まってくる。たとえば外部ファイルをBPMSへ取り込む部品は、現場の人間がマニュアルを見ながら作ることができるが、取り込んだファイルを読み込む部品の作成は、SE経験がなければ難しいといったことだ。SEの助けも必要だし、基幹システムとの連携は当然SEでなければできない。しかし事務現場でも、一定レベルのツール開発はできるというのが我々の結論だ」

 そして宮本氏は、「事務現場に事務改革経験者とSE経験者を配置し、現場主体の開発体制を作ってしまおうと考えている」と続ける。

「来年から実証実験を開始する。自分たちでこうした部品も作る前提で、そばにはSE経験者がいて随時相談できるという体制を構築し、スモールスタートで始めてノウハウを貯めていきたい」

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システム設計は、SEから事務の現場へ

RPAの開発・運用を全社的に統括する体制

 次にRPAの活用についてだが、日本生命では2014年度からRPAの導入を開始し、2018年9月までに窓口販売部門・企業保険部門の2部門でRPAツールのBizRobo!を利用し、合計54業務でロボを実装した。2018年度からはUiPathやWinActorも導入して、全社展開を図っている。

「日本生命もようやく全社的にRPAを入れるというフェーズに入った。今年度末には100以上のロボットが“入社”している状態になる予定だ」

 RPAの開発・運用体制としては、昨年まではユーザー部門が開発・運用ルールの策定からロボ化業務の選定、開発、保守運用、機器管理、RPAベンダーの管理まですべて担っていたが、今年から事務企画統括部にRPAラボを設置し、各ユーザー部門のそうした事務局機能を移管していく。またシステム企画統括部が、RPAの開発標準や運用ルールを作り、RPAエンジニアを養成して、RPAラボに派遣していく。

「そしてユーザー部門は、ロボ化候補業務の提示や要件定義・設計、事務構築を担当する。今後はこうした形で、RPAの開発・運用を全社的に統括していくことを考えている」

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RPA開発・運用体制

AIやBPMNとの連携でRPA活躍の幅は広がる

 RPAの開発・運用体制を全社レベルで整備した日本生命だが、しかし宮本氏は「RPAだけでは大幅な効率化が難しい」と強調する。

「RPAで代替できる事務領域は入力業務や検索業務が中心で、事務量全体の3~4割程度だ。しかし先にも述べた費用対効果の問題もあるので、結局RPAを適用して効率化できる範囲は、事務量全体の1~2割に過ぎない。そこでRPAを、BPMNやAIと組み合わせて活用することを考えていく必要がある」

 まずRPAとAIの連携について、宮本氏は当初、時期尚早だと思っていたという。

「今の事務の現場では、AIに学習させるためのデータ量が少ないこと、また現在のAIは“6歳児”ぐらいだと言われていることから、AIの活用はまだ難しいと考えていた。しかし事務業務の中身を具体的に見ていくと、6歳児相当のAIをおだてながらロボと協業させれば、結構効率化できることが分かってきた」

 事務現場には、高度な専門知識やスキルは必要ないものの、判断業務に分類されている業務が多々ある。たとえば“大量の文章を読んで、そこから非定型な情報を抽出する”といったプロセスだ。

「定型的な情報ならRPAで抽出することできるが、非定型な情報は難しい。そこでまずはAIが非定型情報を抽出し、その後、RPAがシステムに登録する。こうしたことが6歳児のAIでもできそうだというのが、現在進めている実証実験の中で見えてきた。今後AIとの連携が、ロボの活躍できるフィールドをさらに広げてくれるのではないかと非常に期待している」

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RPA×AIの連携
 そしてBPMSとRPAについては、各々に適した異なる役割を担わせることができる。

「先にも触れたが、BPMSには業務プロセス全体のオーケストレーション、RPAには個人のルーティン作業や定型的な作業を代行してもらう。こうした各レイヤーで、両者はうまく棲み分けることができる」

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デジタルプロセス化におけるBPMSとRPA

事務現場にRPAを定着させたのは、5人の“RPA女子”

 そして最後に宮本氏は、同氏が所属する企業保険契約部の事務現場にロボを定着させた主役として、5人の“RPA女子”に言及した。

「5人の中には、他社で営業を経験してきた人やSE経験者、あるいはExcelの先生をしていた人、事務改革のプロだという人も混じっている。こうした精鋭たちが集結してチームとして動いていくとうまくいく。この5人が今、私がいる1000名の部署を牛耳っている」

 たとえば、ロボとは何かを事務の現場に理解してもらうことが、まず非常に難しいという。

「現場はロボをシステムだと考えるので、信用してくれない。ある時、現場のスタッフから“ロボが出力した結果のリストをプリントアウトしてください”と言われたことがある。何をするのか聞くと“間違っていないかどうかを点検します”と答えた。それをしなくてもいいというのだが、なかなか理解されない」

 やはり事務の現場では、何かミスを起こせば自分たちの責任になる、間違ったらどうしようという視点に立ってしまう。

「その時のRPA女子の取り組みとしては、ロボの入社式をしたり、ロボのキャラクターを作ったりして、事務現場が“新しい仲間”を迎え入れる時と同様の演出をした。また簡単なヒアリングで事務作業を代替するロボをパッと作って、目の前で実際に動かして見せる。事務の現場には女性が多いため、こうしたソフトなやり方が非常にマッチした」

 さらにはロボットの設計も、“新しい仲間が入ってきたら何をしてもらうか、自分たちで考える、だからロボの設計も皆さんがする”という言い方で浸透させたという。

「今後はRPAだけでなく、事務現場におけるBPMNを使った事務プロセスのフローチャート化も、5人のチームに推し進めてもらう考えだ」

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