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  • 2019/01/21 掲載

あなたが知らない10のモビリティ・スタートアップ、「CASE」時代の最先端技術とは?

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IoT、AI、自動運転技術、ビッグデータ活用といったテクノロジーの波が押し寄せ、大きな変化が起きているのがモビリティ産業だ。自動車に「CASE」(Connected、Autonomous、Shared、Electric)の波が押し寄せ、いよいよ「移動」にも革命が起こりつつある。本稿では、数あるモビリティ・スタートアップの中から、J-Startup選定企業およびデロイト トーマツ イノベーションサミット参加企業などをもとに注目すべきスタートアップを10社ピックアップし、その事業内容や創業者の経歴などとともに紹介する。

ライター 森本進也

ライター 森本進也

ライターとして海外のスタートアップやECサイトの戦略を分析する記事を多数執筆。企業サイトのコピーライティングやIオウンドメディアの記事の企画・執筆も行っている。

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自動運転技術に密接に関わる技術を始めとする、「移動」に関わるテクノロジーを紹介する
(©metamorworks - Fotolia)

Artisense Corp.

 GPSに頼らない自動運転用の認識技術を開発している企業。15年にわたり自動車業界で働いてきたAndrej Kulikov氏とコンピュータービジョン研究者であるDaniel Cremers氏とが共同で、自動運転に必須の認識技術を開発すべく設立した。

 自動運転にはGPSや正確な地図情報が必要となるが、都市部においては高層建築物が障害となり電波が届きづらく、GPSが正確に機能しないケースもある。自動運転の精度をより一段と高めるためにはGPSに依存しない認識技術が求められる。

 Artisenseは車に搭載したステレオカメラ、ヴィジュアル・オドメトリ(動画や画像から撮影者の動きを推定する技術)、IMU(慣性計測装置)などを組み合わせた認識技術によって、GPSに頼らない現在地の認識、移動距離の測定を可能にする。

 同社は2018年、世界中からスタートアップが集まるピッチコンテストのSLUSH TOKYOにおいて、80社のスタートアップの中で最も有望なスタートアップとして選出された。

https://www.artisense.ai/

EVR Motors ltd.

 自動車産業向けの安価で軽量、高効率な電気モーターを開発している企業。

 創業者のOphir Shoham氏をはじめ豊富なエンジニアリングの経験を積んできた電気系エンジニアが集まり、2008年ごろより電気モーターの試作を繰り返して、現在のEVR Motorsの主力製品となる電気モーターを開発・発展。2012年にその電気モーターを商用化すべくEVR Motorsが設立した。

 現在の自動車業界においてパフォーマンス、安全性、持続性などに優れた電気モーターへのニーズはかつてなく増大している。それでいて安価であることも求められている。

 EVR Motorsの電気モーターは非常に高効率かつ高性能なモーターである。従来に比べて40~50%軽量であり(出力/重力比は5.0kW/kg)、20~40%も製造コストが低い。またコイルは直接冷却されるので焼けて破損するリスクも少なくなっている。48Vで最高出力100kWを超える大電流電気モーターも製品ポートフォリオには含まれている。パリモーターショーにおけるテクノロジースタートアップ・ピッチコンテスト「モンディアル・テック」において、ファイナリストに選出された。

https://www.evr-motors.com/



NAVYA

 自動運転シャトルバス「AUTONOM SHUTTLE」を開発・提供している企業。

 創業者のChristophe Sapet氏はシリアル・アントレプレナー(連続起業家)。1983年にビデオゲーム会社、1995年にはインターネットアクセスプロバイダー会社を設立している。

 デジタルと自動車に強い思い入れを持っていたChristophe氏はその2つのパッションを統合した事業として、自動運転シャトルバス「AUTONOM SHUTTLE」の開発に取り組むことに。「AUTONOM SHUTTLE」はリアルタイムキネマティックGPS、LiDAR(レーザーレーダー)センサー、IMU、カメラやセンサーで周囲の環境情報を収集しディープラーニングで処理。設定されたルートを自動運転で走行し、15人の乗客を最高時速45㎞で輸送可能だ。なお、障害物や通行人を検出すると緊急停止する。

 これまで「AUTONOM SHUTTLE」は100車両以上が生産され、米国、フランス、ドイツ、シンガポール、日本、ニュージーランド、オーストラリア含む17か国に納入済み。フランスのパリやリヨン、スイスのシオン、オーストラリアのパースにおいてはすでに公道で乗客を輸送している。また、ニュージーランド・クライストチャーチ空港、オーストラリア・カーティン大学等の私有地等でも「AUTONOM SHUTTLE」の運用が始まっている。これまでに6,410万ユーロの資金調達を実施している。

https://navya.tech/



SafeRide Technologies Ltd

 コネクテッドカーや自動運転車向けのサイバーセキュリティソリューション「vSentry」を提供している企業。

 同社CEOであるYossi Vardi氏ふくむ共同創業メンバーにはAI、サイバーセキュリティーの専門家らが集まっている。彼らがお互いの知識や経験を活かして2016年に設立したのがサイバーセキュリティーソリューション企業「SafeRide」だ。

 コネクテッドカーや自動運転などネットワークと常に接続するようになるのが当たり前になった時代において、サイバーセキュリティはより一層重要になる。特に大きな懸念事項となるのが、外部からの車両のハッキングリスクである。

 サイバーセキュリティソリューション「vSentry」では車両から収集した情報をAIが分析し、ハッキングリスクを検出。不測の事態が引き起こされると推測した場合には警告が車両管理者に通達される。たとえば車両がハッキングされてコントロールを失って、スピンしたり加速したりといった危険な事態を避けられる。この警告は直接ドライバーには届かず、通達を受けた車両管理者がその内容がハイリスクであると判断した場合にドライバーに連絡する。

https://saferide.io/



Springworks

 コネクテッドカープラットフォーム「SPARK」を運営している企業。通信事業企業と共同で、自動車のドライバーにコネクテッドカーサービスを提供している。

 創業者のErik Ramberg氏はVolvoにおいてアプリケーションの開発に携わってきた。「Volvo On Call」という車両取り扱い説明アプリケーションだ。その後、自動車向けIoTソリューションのコンサルティング企業としてSpringworksを設立。当初はコンサルティング事業だったものの、ネットワーク効果が期待できるコネクテッドカープラットフォーム事業に移行していくことになった。その中で生まれたのがプラットフォーム「SPARK」だ。

 ドライバーは「SPARK」を活用することで車内Wi-Fi、周辺の駐車場スペースの確認、バッテリーの状況確認、車両の点検期間の確認と予約、車両修理の店舗・オファーなどの情報を確認・予約が可能。また、ドライバーは車両の使用状況の情報を提供することで、割安価格で自動車保険の契約を結ぶことができる。

 現状、Springworksはスウェーデンの通信事業者Teila社と提携し、コネクテッドカーサービスを提供している。これまでに2800万スウェーデン・クローナ(約3億3622万円)の資金調達を実施している。

https://www.springworks.se/

【次ページ】路面状態認識や駐車場検索、「車椅子の革新」となる技術も

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