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  • 2019/06/21

リーガルテック(法律×IT)をわかりやすく解説 企業一覧、課題、市場規模は?

さまざまな業界でテクノロジーの普及が進み、「フィンテック」「医療テック」「不動産テック」などのサービスが続々出てきています。それは、長らく「紙」文化だった法曹界も例外ではありません。2018年10月から最高裁判所(最高裁)は民事裁判のIT化を推進しており、2020年2月には全国の9裁判所でWeb会議システムを利用して争点整理を行うことが報じられています。紙を必要とせず、オンラインで完結する、将来の裁判の姿が徐々に見えてきたのです。本稿では、リーガルテック(法律×テクノロジー)をテーマに、その背景や国内外のサービス、そして今後の課題や見通しについてLegalTech協会 代表理事である伊澤文平氏が解説します。

執筆:LegalTech協会 代表理事 伊澤文平、構成:編集部 渡邉聡一郎

執筆:LegalTech協会 代表理事 伊澤文平、構成:編集部 渡邉聡一郎

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これから日本で普及していく「リーガルテック」を、LegalTech協会理事が説明する
(Photo/Getty Images)


リーガルテックとは何か

 「リーガルテック」という言葉を一言で言えば「法律×IT」のことです。

 「旧態依然とした法律という業界に対して、広く法律という領域に対して、ITというテクノロジーの力でアップデートする取り組みや領域のこと」と私は捉えています。もちろん、ワープロやFAXもテクノロジーには含まれますが、“現時点における最新技術”を法律領域に適用する、という点で考えるとわかりやすいかと思います。

 弁護士などの士業、企業の法務部に特に関係するテクノロジーです。電子契約などHRテック(人事×IT)領域との境界線があいまいになる部分はありますが、そこにこだわる意味はあまりありません。

リーガルテックの歴史と市場規模

 リーガルテックはアメリカから始まりました。アメリカでは民事訴訟における証拠開示で、電子情報も開示の対象にします。この電子証拠開示(電子証拠開示)へ対応する必要性から日本よりもリーガルテックのニーズが高く、2010年ごろから大手企業も参入、一気に盛り上がりました。

 一方の日本は後れをとりましたが、2014年ごろから徐々にベンチャー企業を中心に活動が広がってきていき、2015年を皮切りにリーガルテックベンチャーが次々に生まれてきました。年々、ベンチャーの資金調達額は上がっていっています。

 世界では1.8兆円規模の市場を持ち、国内では、顕在化している市場としては300億円規模です。世界ではすでにアメリカやヨーロッパを中心に700~1000社のスタートアップが取り組んでいますが、国内ではまだ10~20社にとどまります。ほかのxTech(HRTech、FinTechなど)業界と比べて企業数が少ないように思えるかもしれませんが、その理由は法律領域の参入障壁が高いためです。

リーガルテックが普及した背景(1)働き方改革の波が法律分野にも

 近年、なぜ国内でリーガルテックが注目されているか。その背景にはふたつの要因があります。

 ひとつは「働き方改革」の波です。近年、法曹界を含めた社会全体として働き方改革の需要があります。残業時間が規制され、さらに副業解禁やリモートワークの推奨もあり、国全体として「従来の働き方で本当に良いのか」と考えています。しかも、少子高齢化で現在、労働人口はどんどん減って来ている状況です。

 人に依存したビジネスが今後維持できなくなり、ITの力を使わざるを得なくなる。そこで、これまでIT化が遅れていた法律領域へのテクノロジー活用が進んでいるのです。

 たとえば契約書業務はテンプレ作業が多く、それに限られた人間の労働力を使うのはもったいないことだとは思いませんか?人間がやらなくてもいい仕事はAIにやらせることができるようになれば、生産性が上がります。近年はAIのテキストマイニングなどの技術も進歩してきて、十分に活用に値する精度を発揮できるようになっています。

リーガルテックが普及した背景(2)若手弁護士の意識の変化

 もうひとつの背景は、特に士業に限定した話で、法曹界の変化です。

 まず前提として、現在のリーガルテックベンチャーは士業出身の方がほとんどです。内訳で言えば、約9割が士業で、残り1割がテクノロジーに精通した方が起業しています。

 なぜなら、業界のインサイダーしか、その業界の問題や不満に気づかないからです。外部の参入障壁が高い領域なので、内部の人間でなければそもそもユーザーの不満がわからず、サービスのアイデアも生まれません。士業出身者が多くなるのは必然です。

 また、2000年初頭、日本では司法改革が行われ弁護士が増加したことをご存じでしょう。ところが、訴訟事件の件数は約15万件でずっと横ばいなのです。つまり、弁護士は増えたのに案件は増えない。需給のバランスが崩れ、案件の取り合いになっているのが現状です。給料が半減する事務所も中にはあり、「弁護士になるともうかる」「弁護士なら安定した人生を送れる」など従来のイメージから来るキャリアパスを、若手弁護士は描きにくくなってしまっているのです。

 そのため「本当にこのまま大手の事務所にいればいいのか?」と考える若手が増え、その中からリーガルテックベンチャーの起業や支援に回る方が増えてきました。

リーガルテックの具体的サービス(国内)

 では、ここからはリーガルテックの具体的な企業とその主なサービスについて列挙していきます。

・弁護士ドットコム
提供サービス:「弁護士ドットコム」「CLOUDSIGN」
「弁護士ドットコム」は登録弁護士数15,000人(2019年5月時点)の日本最大級の法律相談ポータルサイト。弁護士に無料で法律相談したり、地域や分野などから弁護士や法律事務所を探せる。「CLUDSIGN」はクラウド上で契約締結ができるサービス。紙や印鑑は必要なく、ファイルもクラウドで管理する。

・弁護士トーク
提供サービス:「弁護士トーク」
相談者と弁護士をマッチングするアプリ。相談者は「弁護士トーク」アプリ内のカルテに相談内容を記入し送信すれば、弁護士からアドバイスが届く(アプリ内での相談は無料)。プロフィールを見て、特定の弁護士を指名して送信することも可能。

・ココナラ
提供サービス:「ココナラ法律相談」
知識・スキル・経験を売買するCtoCフリマサイト「ココナラ」から派生したサービス。利用者は弁護士の検索および相談ができる。「そもそも弁護士に相談すべきかわからない」質問でも匿名で気軽に相談できる。

・ST Booking
提供サービス:「カケコム」
浮気や借金、交通事故などのトラブルを抱えたユーザーと弁護士とのマッチングサイト。質問フォームへの入力内容を基に、弁護士が最短30分でアサインされ、ユーザーに連絡する。

・FRONTEO
提供サービス:eディスカバリサービス、フォレンジックサービス
テキストデータ解析に特化し専門家の“暗黙知”も読み取りうる人工知能「KIBIT」を独自開発。同AIを搭載したデータ解析プラットフォーム「Lit i View」はeディスカバリにかかる時間を削減する。また、デジタル・フォレンジック支援も行う。



・リーガルテック社(AOS)
提供サービス:eディスカバリサービス、フォレンジックサービスなど
AOSグループのリーガルテック部門がスピンアウトし、2012年に設立された。フォレンジックやeディスカバリの支援を行い、2019年4月にはUSBメモリをさすだけでデジタル証拠を初動調査できる「AOS Fast Forensics」を発表した。



・サンプルテキスト
提供サービス:「Legal Script」
本社移転登記申請書類、代表取締役の住所変更登記申請書類をWeb上で作成できるサービス。ガイドにしたがって情報を入力するだけで、手続き書類が自動作成される。また、定款の再作成も可能だ。

・one visa
提供サービス:「one visa」
日本に滞在する外国人と外国人労働者を採用したい企業について、在留資格の申請・管理手続きをオンライン化するサービス。外国人・企業双方にとっても非常に煩雑でわかりにくい在留資格申請・管理のプロセスをシステムで合理化・低廉化する。



・GVA TECH
提供サービス:「AI-CON」
AIが契約書の法務リスクを自動レビューするサービス。主に中小企業やフリーランスがターゲットとなっている点で、同じくAIの自動契約書レビューサービスであるLegalforceとは異なる。近々、自動登記システムもローンチするなど、漸次サービスを拡大している。

・Holmes
提供サービス:「Holmes」
契約の作成、管理、締結のフローを一気通貫に、オンライン以上で実現する契約書マネジメントシステム。契約書のひな形が用意、契約書のバージョン管理から承認・決済の進捗(しんちょく)管理などもできるBtoBサービス。

・Hubble
提供サービス:「hubble」
Wordファイルで締結・管理される契約書をシームレスに「クラウド化」する契約書マネジメントシステム。雑になりがちなバージョン管理やGoogleドキュメント等に不慣れな士業や企業をターゲットに導入を進めている。



・LegalForce
提供サービス:「LegalForce」
主に大企業向けに、AIが契約書の法務リスクを自動レビューするBtoBサービス。契約書の各条項ごとに、自社データベース内にある修正履歴等を検索・利用することもできる。現状、約70社に導入済み。

・AI Samurai
提供サービス:「IP Samurai」
「IP Samurai」はAIを搭載した、特許審査シミュレーションシステム。検索式の条件設定をせず、簡単な操作で類似特許の調査が可能になる。発明の新規性・進歩性を高速で判断することで、ユーザーの知的財産創出を支援する。



・Cotobox
提供サービス:「Cotobox」
「人と知財を結ぶ」を理念に、商標登録をオンラインでスピーディーに廉価で実現することのできるサービス。本来なら、弁理士に高額で依頼しなくてはいけない商標登録を簡単に安くできるメリットがある。

・Toreru
提供サービス:「Toreru」
商標登録を簡単にオンラインで完結できるサービス。調査や出願申し込みはフォームに入力するだけなので、短時間で申し込みできる。独自システムにより、調査は平均2営業日以内、出願は最短で入金当日に手続きを終える。



・日本リーガルネットワーク
提供サービス:「残業証拠レコーダー」「法務メディカルセンター」
「残業証拠レコーダー」は、GPSによって自動で残業時間の証拠を確保できるアプリ。正確な残業代は自動で推計して表示され、それを示談交渉・裁判の証拠として使うこともできる。「法務メディカルセンター」は、法律事務所向けの医療画像鑑定サービス。

・ClassAction
提供サービス:「集団訴訟プラットフォームenjin」
被害者を集めることで訴訟費用をシェアし、その上で弁護士とをつないでいく集団訴訟プラットフォーム。16兆円もの被害案件が眠っている巨大なマーケットを相手とした、CtoCサービス。サービス開始一年で月間利用ユーザー数70万人、被害総額200億円を突破している。



【次ページ】海外のリーガルテックサービスと、リーガルテックの課題・見通し

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