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  • 2019/09/12 掲載

ジリ貧から7年で観客2倍! 横浜DeNAの「データを超えた」マーケティングの秘密

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2011年12月、新たに誕生した横浜DeNAベイスターズ。2011年以前までは観客動員数が110万人前後で、プロ野球球団の中でも5年連続で最下位というジリ貧が続いていたが、同球団は2012年以降、さまざまなマーケティング施策や改善策を実施。結果、2018年には200万人を超え、その増加率はなんと84%にも上る。放映権やグッズ類の売上も大幅に増加した。横浜DeNAベイスターズ起死回生のマーケティング術を、同社の副社長 木村 洋太氏が明かした。
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横浜DeNAベイスターズ
取締役副社長 兼 事業本部 本部長 兼 ブランド統括本部 本部長
木村 洋太氏

ジリ貧状態から黒字に反転、DeNA流奇跡のマーケティング術

 「我々は、まずコーポレートアイデンティティとして、“良質な非常識に挑戦し続ける”を社是として掲げました。ここには新しいことに挑戦する気持ちを忘れないという想いが込められています」──そう語るのは、2012年にコンサルタントから横浜DeNAベイスターズに転職した木村 洋太氏だ。

 木村氏は現在、副社長 兼 事業本部長、ブランド統括本部長を兼任し、マーケティングや横浜DeNAベイスターズの事業戦略を担当している。同社は、KPIとして主催試合での観客動員数を設定しているが、親会社が変わる2011年までは110万人前後で、プロ野球チームの中で最下位だった。

 そこから改善と工夫を重ね、ついに昨年には球団史上初となる200万人を超える観客動員を達成。スタジアムのキャパシティの97%まで埋め尽くし、わずか7年間で観客数を倍増(84%アップ)させることに成功した。その結果、チケット、放映権やスポンサー、グッズ類等、各セグメントの売上も大幅に上がったという。

「これらの関連売上は、観客動員数が倍増したことだけが要因ではありません。いかにお客さまに試合を楽しんでいただき、観戦を魅力的にするかという施策が功を奏したからです。野球というコンテンツだけでなく、さまざまな楽しみ方をご提供できた証左であると考えています」(木村氏)

 これらの施策により、2016年から黒字化し、昨年は10億円を超える収益を上げるに至った。

 横浜DeNAベイスターズの企業としてのミッションは「球団の売上・利益の最大化+安定した仕組みの取り組み」だという。野球という娯楽を守り、地元の大切なコンテンツを安定的に提供するためには、やはり利益が必要だ。

「お金を稼ぐことで、選手やスタッフだけでなく、ファンにもメリットを還元できます。魅力的な強いチームを作り、チームを支える強固な事業体制を確立していく。そういう考え方をベースに、皆さまにかけがえのない体験をしていただき、気持ちよくお金を使ってもらうことが大事だと思っています。この経営思想をベースにしながら、マーケティング活動をしています」(木村氏)

戦略ターゲットは“アクティブサラリーマン”

 続いて木村氏は、DeNA参入直後のブランド戦略と、現在の戦略の違いを説明した。経営が変わった直後から、各部署で積極的な施策が行われたという。

 ただし、それぞれの施策のテイストは一貫性がなく、個別最適化された状況だった。そこで、まずは顧客の声をつかむために、多くのアンケートなどでデータを蓄積し、それを分析して、全社での戦略ターゲットを明確化した。

 ターゲットを設定するにあたって、検討したのは「セグメントサイズ」(規模と成長率)、「地域特性」(他社球団との相違)、「球団として目指すべき姿」の3つだった。その中で同社がペルソナとして想定したのが「アクティブサラリーマン層」であった。

 20代後半から30代のホワイトカラーで、週末には家族でバーベキューやキャンプをしたり、友達とフェスに行ったり、ウィークデイには会社の同僚や学生時代の同級生などと飲みに行くような人たちだ。

「ベイスターズが大好きなコア層もいますが、彼らは自ら積極的に情報を取ってきてくれます。そこで、私たちはコア層でなく、ライト層をターゲットに様々な取り組みを実施しました。というのも、彼らのようなアクティブサラリーマンは家族やOLを間接的に誘客してくれるからです」(木村氏)

 もちろん顧客を拡大するためには、アクティブなOL層へダイレクトに訴求するというアプローチもあったが、それだと実はあまりリーチしないと判断した。OLの中には当然コアな野球ファンもいるが、彼女らは自ら周囲に野球の情報をSNSで発信するようなことは少ない。そこで同社がリーチできて、知り合いの女性を誘ってくれるアクティブサラリーマン層を起点に、コミュニティの広がりを考えたのだ。

 そして2013年から、同社ではアクティブサラリーマン層に対する各種施策を打ち始めた。すると、目に見る形で多くの成果が表れるようになったという。ここからは、その具体的な施策を見ていこう。

【次ページ】横浜DeNAが打ち出した、心底から観客が楽しめる施策とは?

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