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- 2019/10/18 掲載
【英、NZなど】世界の国会議員は日本のダイバーシティをどう見ている?
在日米国商工会議所のLGBTに関する意見書発表から1年
LLANは毎年秋にLLAN Equality Galaというイベントを開催しており、今年で4回目を迎えた。毎回法曹界の関係者、金融企業関係者、各界の有識者集まり、華やかな雰囲気なのだが、今回は違った。LLAN 共同代表及び共同創設者で、ゴールドマン・サックス証券 法務部部長の藤田直介氏は、「1週間前、9月12日に、アライ(LGBTの権利を支持するLGBT当事者ではない人々)である自民党の宮川典子先生が亡くなりました。黙祷したいと思います」と語り、参加者一同で黙祷し、イベントが始まった。
続いてLLAN理事で森・濱田松本法律事務所 パートナーの石黒徹氏は前回のEquality Gala を振り返り、「昨年は、在日米国商工会議所(ACCJ)が『婚姻の法的平等の実現は日本でのビジネスに経済的メリットをもたらす』という意見書を発表しました。婚姻の平等、同性の結婚、さらにその先のすべての人の平等と、個人の尊厳、幸福追求を促進することが重要です」と語った。
LLAN理事でGEジャパン 執行役員 ゼネラルカウンセル大島葉子氏は「ACCJの婚姻の平等に関する意見書発表から1周年となりました。我々の活動が人々の平等を求める心を強めることを祈っています」とあいさつした。
発足して4年のLLANは今年、数多くのイベントを開催してきた。中央大学などでLGBTの理解を深める講義シリーズもその1つだ。LLAN 共同創設者 アレクサンダー・ドミトレンコ氏は、今年の活動を振り返った。
「最近では、企業でのセミナーも行うようになり、1000名を超える社員の皆様にお話しをしました。企業をはじめとするみなさんの理解も深まってきているのでしょう。今年は同性婚を求める訴訟が起こされました。これもまた大きな一歩です。国連は2017年に企業のためのLGBTに関する国連行動基準を発表しました。国内では、富士通に続き、丸井グループ、野村ホールディングスが採択しました」(ドミトレンコ氏)
自民党、立憲民主党のダイバーシティ
この日、昨年に引き続き、自民党 衆議院議員 橋本岳氏も登壇した。「今年のはじめ、LGBT理解増進法(自民党性的指向・性自認に関する特命委員会が法制化を進めている法案。LGBTに関する基礎知識を広めることで国民全体の理解を促す法案)を出すと宣言し、関係省庁で調整していたのですが、話がまとまりませんでした。今後とも取り組みます。
第6回家庭動向調査によると、75.1%が『男性どうしや、女性どうしのカップルにも、なんらかの法的保障が認められるべきだ』という意見に賛成しました。29歳以下、30-39歳に限定すると、9割が賛成しています。しかし60代以上になるとこの割合は下がります。これが日本の現状です。いずれにしても理解は広がっていると思います。好きな人と暮らせる、そんなパートナーシップが可能になるよう目指していきます」(橋本氏)
同党からは衆議院議員の山田美樹氏も登壇した。
「私は国会議員になる前にさまざまな仕事をしてきました。その中で学んだのは、ダイバーシティは力になるということでした。国として国民を一定の枠にはめるのは楽といえば楽です。しかし実際に国会議員になると、それは怠慢だということがよくわかりました」(山田氏)
自民党 衆議院議員 牧島かれん氏は、ウズベキスタンへ出張のため当日参加はできなかったものの、手紙の代読という形でメッセージを発表した。
「来年にオリンピック・パラリンピックを控える中、LGBTに関するさまざまな課題について、国際社会の中の一員としての意識を持って、向き合っていかねばならないと思っています。日本は多様性を重んじる国家であると思っていますし、その為に私も政治の現場で働いて参ります。誰もが自分を偽らずに暮らせる社会であるよう、お力をお貸しいただければ幸いです」(牧島氏)
立憲民主党からは衆議院議員の尾辻かな子氏が参加した。
「私はレズビアン当事者の国会議員です。私の母は『LGBTの家族と友人をつなぐ会』で活動しています。私の母は私がパートナーを持つことを喜んでくれました。日本ではまだ同性婚できません。しかし、海外で同性婚したカップルが日本で内縁関係として認められました。これは画期的な判決です。声を上げることは重要です。誰もが平等の権利を認められる社会を作っていきたいです」(尾辻氏)
また、同党 参議院議員で日本で初めて公職に選出されたオープンゲイの議員である石川大我氏もスピーチを行った。
「私は25歳までLGBTの友達もおらず、孤立した状態でした。しかし自分の問題が人権の問題というのは14歳のときに気づきました。学校で憲法の一部を暗記する宿題が出たからです。参議院議員には6年ありますが、スピーディに、LGBTの権利課題に取り組みます」(石川氏)
職場に全人格を持ち込んでクリエイティビティを最大化
当日、数多くの登壇者が昨年発表されたACCJの意見書の重要性を語る中で、EYアドバイザリー エグゼクティブディレクターであり、ACCJ 財務理事のナンシー・ナガォ氏もこの1年を振り返った。「1年前、LLANからアプローチがあり、ほかの商工会議所と協力して同性婚を支持する意見書を発表しました。LGBTの存在を認めることは、1人ひとりの労働者がその人格すべてを職場に持ってくることができるということです。それができれば1人ひとりのクリエイティビティも上がるでしょう」(ナガォ氏)
また、日本組織内弁護士協会(JILA) 理事長 榊原美紀氏が登壇した。
「私は弁護士としては同性婚を認めないというのはありえないことだと思っています。そこで、JILAとしても、急いで同性婚に対する賛成を表明しました。組織内の弁護士は右肩上がりで増えています。日本企業が同性婚を支持しないと言うことは、採用能力が下がるということです。しかし、この1年で同性婚を支持する企業が増えました。少しの動きでこれだけ変わるんです。是非みなさんこの後の家に帰って、会社に戻って、同性婚の理解を広めてください」(榊原氏)
【次ページ】同性パートナーの死亡保険金受取人指定はライフネット生命から
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