• 2019/12/13 掲載

職場のLGBT支援、当事者が相談したいのは「人事部門」だけなのか?(2/2)

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 そこでは、性のあり方(性的指向、性自認など)に関連した差別的言動や困りごとがあった際の、相談先ごとの相談しやすさについて、「“当事者の友人”“職場外の相談窓口”が相談しやすい」と要約されていて、職場においてはまだまだ相談しにくいことが示されています。

 このことはきちんと受け止めねばなりませんが、私としては、「職場の人事部門・相談窓口・保健センター」と、「職場の上司」「職場の同僚・部下」との間に、相談しやすさについてほとんど差がない点にも注目すべきだと思います。


 つまり、このデータからは、現状でも、LGBT当事者が現に働いている職場で近くにいる上司・同僚・部下が、人事部門や相談窓口と同じ程度に相談相手として期待されている、ということが読み取れるのではないでしょうか。

 そうだとすれば、企業のLGBT支援において人事部門が重要な役割を担うことに疑いはないものの、人事部門にいっさいを任せておけばよいものではなく、すべての働く仲間が自分ごととして考えなければならないことだと、人事部門以外で働く皆様もお気づきになるのではないでしょうか。

ハードの整備とソフトの充実は車の両輪

 企業におけるLGBT施策の目的は、LGBTの従業員を優遇することでも、特権を与えることでもありません(谷口洋幸編著『LGBTをめぐる法と社会』)。しかし、そのことを全従業員に理解させないままに、冒頭で紹介したような人事制度改定を行っていくならば、職場に誤った不公平感や無用な軋轢を生み出しかねません。

 従って人事部門は制度改定と並行して、研修などにより従業員の理解度向上を図らねばなりません。しかし、各職場のカルチャーを形成するのに大きな影響力を持っているのは、やはり直接の評価権を持つ部長・支店長・課長といった組織の長でしょう。

 そうした人事部門以外の各職場の管理職が先頭に立って理解を深め、アライであることを表明し、職場から差別的な言動を撲滅するなどして、LGBT当事者がその職場を自分の居場所と感じられるように、カルチャーを醸成していく必要があります。

 言い換えますと、企業のLGBT支援においては、人事制度という「ハード」の整備と、人々の心によって形作られる職場カルチャーという「ソフト」の充実が、車の両輪のように並行して進められなければならないということです。そして特に後者については、人事部門以外で働く皆様も等しくその担い手であると自覚することが重要です。

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