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  • 2020/02/13 掲載

【231社に調査】DXが進まない理由、7割は「構想」「体制」に課題

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一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会(以下、日本BPM協会)は、2019年8月から9月にかけて「業務改革実態調査」を実施した。今回の調査の目的は、国内企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)と業務プロセス改革の実態を明らかにすることだ。同協会で理事を務める横川 省三氏は「第14回 BPMフォーラム 2019」で実態調査の結果を報告し、DXに対応する企業の動きと働き方改革への取り組み、業務改革やBPMへの取り組みを成功に導くための条件について解説した。

執筆:レッドオウル 西山 毅

執筆:レッドオウル 西山 毅

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

photo
一般社団法人日本ビジネスプロセス・マネジメント協会理事の横川省三氏

DXの推進は自社だけでは困難

 今回の調査対象は、東証1部・2部およびJASDAQなど新興市場の上場企業を中心とする2329社で、経営企画・人事・働き方改革・業務改革・情報システム部門などの部門長クラス。回答は記名式で、調査票は郵送で配布・回収し、有効回答数は231社。有効回答率は9.9%だった。

 回答者の業種内訳は製造業がトップで40.7%、従業員規模では1000人以上の企業が62.3%を占めた。また回答者の所属部門は、情報システム部門が40.7%で約半数を占め、次いで経営企画部門16.7%、業務改革部門10.7%と続いた。なお、「DX部門」という回答も、業務改革部門に次いで6.4%あった。

 次にDXへの取り組み状況については、「特定の組織のみ、取り組みや具体的な検討を進めている」と答えた企業がトップで48.7%。次いで「経営会議など、上層部での重要な経営課題だと認識している」と回答した企業が29.4%に上った。しかし3位には、「話題にはのぼっているが、具体的な取り組みや検討は行っていない」という回答(20.6%)が続き、5位には、「必要性は感じるが、今のところ話題にのぼることはない」という回答(12.7%)が入った。

 この結果について横川氏は、「具体的な取り組みになっていない企業はまだまだ多い。やっと議論が始まったばかりというのが実情のようだ」と指摘した。

 DXが経営にどのような影響を及ぼすかについて聞いた問いでは、「製品・サービスのライフサイクルが短期化するという認識を持っている」がトップで29.5%。しかし2位には「自社の事業に与える影響が想定できない」という回答が26.9%で続いた。横川氏は「多くの日本企業が“DXはよくわからない”という不安感を抱えている表れだ」としている。

 DXの推進に必要な体制は、「トップが主導で関与する」と答えた企業が55.0%、「デジタル専門の部署を設置する」と答えた企業が39.0%だった。一方、「社外と共同して推進する」と答えた企業が35.9%、「外部の専門機関との連携する」と答えた企業も19.5%あった。

画像
DX推進に必要な体制
(出典:2019 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会)

RPAのメリットはプレッシャーからの解放

 次にDXの成果としての期待について聞いたところ、「業務プロセスを変革し、生産性を向上する」という回答が圧倒的なトップで82.7%。2位には、「自社のビジネスモデルを変革する(48.9%)」。そして3位に、「既存の製品・サービスの差別化/高付加価値化を実現する(47.6%)」が入った。

「残念ながらデジタル技術は、まだ生産性の向上という観点での活用に留まっていると感じる。新しい製品やサービスを創出するという回答も半数近く(45.5%:4位)見られたが、“顧客の視座から価値をどう作っていくか”という観点でDXを捉えている企業は、まだまだ少ないというのが見える」(横川氏)

 デジタル技術の導入状況については、RPAが「すでに済み(60.2%)」でトップとなった。導入検討中の上位テクノロジーには、「AIによる数値分析(46.3%)」「ビッグデータ(42.9%)」「AIによる画像認識(42.9%)」「IoT(44.6%)」「AIによる音声認識(36.4%)」「BPMS(35.9%)」だった。

 AIに対する期待でも最も多かったのは、「経験と勘に頼っていた判断や予測の精度が高まる(67.9%)」だ。一方、RPAに対する期待は「業務処理時間の短縮(91.3%)」がトップで、「作業ミスがなくなり業務品質が向上すること(72.3%)」と続いた。

 この結果について横川氏は、「特にRPAへの期待成果は、生産性の向上や効率化よりも、オペレーショナルリスクに潜むヒューマンエラーの削減というメリットへの関心が高いことがわかる。RPAは従業員の精神的な圧力を軽減するもので、ミス撲滅の観点からRPAは非常によい解決策となるものだ。また顧客満足度を高める、顧客サービスを向上するためにRPAを活用するという考え方も、これからは有効だと考えている」と総括した。

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AIとRPAの期待成果
(出典:2019 日本ビジネスプロセス・マネジメント協会)

【次ページ】業務改革の効果は限定的

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