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- 2021/01/28 掲載
年間300人分の作業量を削減、オリックスが10年以上「生産性向上」し続けられる訳
オリックスグループの生産性向上のカギを握るOBCO
1964年にリース事業から始まり、その隣接分野に進出してきたオリックスグループ。法人金融や産業/ICT機器、環境エネルギー、自動車関連、不動産関連、事業投資・コンセッション、銀行、生命保険などのセグメントで多角的に事業を展開し、今や世界34カ国・地域に拠点を構える(2020年9月末時点)。グループ企業の1社として1999年11月に創設されたオリックス・ビジネスセンター沖縄(以下、OBCO)は20年以上、同グループのバックオフィス業務を集約するシェアードサービスを手掛けてきた。
現在、同社は沖縄県内に3拠点を構えており、グループ全体で13社、36種類の業務を受託している。従業員数は816人(2020年4月時点)で、男女構成比は女性9割、男性1割。女性従業員の約半数が小学生以下の子供がいるという。
OBCOの取締役社長である小林 健太氏は「リーマンショックを契機として、2009年ごろから業務の見える化に着手し、そこから地道にPDCAサイクルを重ねてきたことで、生産性向上や業務改善などを実現しています」と語る。
「業務の見える化」から始まった業務改善によって、同社ではほぼすべてのチームが定時に帰れるようになったという。その後も業務の標準化や効率化を進めてきた結果、「現在ではグループ全体の生産性と品質を向上させるという大変重要な役割を担っています」と小林氏は説明する。
なぜグループ他社に先駆けて業務改善できたのか
OBCOでは2009年に開始した生産性向上の施策を土台として、さまざまな改革を進めることで、業務量の増加に対して最小の人員増で対応できる体制を確立している。まず、同社は2009年に業務時間や内容を計測して業務の可視化を行い、そのデータをExcelで管理し始めた。その後、2014年に自社開発による生産性管理システム「ECOまるアーツ」を導入。
「働き方改革」という言葉が出始めた2015年には、BPMN(Business Process Model Notation:ビジネスプロセスモデリング表記法)を使った業務フローで、社内におけるすべてのプロセスを統一した。在宅勤務制度や1時間単位での有給休暇制度、フレックス勤務制度などを採用し、働き方の多様化に取り組んだ。
さらに2016年からRPAの活用、フリーランスなどの外部委託を活用する仕組みを構築して「働き手の多様化」を進めた。こうした取り組みとその成果が評価されたことで、2018年からグループのバックオフィス改革を主導する役割を担うようになった。
OBCOでは生産性の向上に役立てるため、業務の「可視化」から「計測」「分析」「改善」という一連のサイクルを「ECOまる活動」と名付けて10年以上継続している。ここからは、小林氏の解説とともに、ECOまる活動の具体的な内容についてステップごとに掘り下げて紹介する。
【次ページ】可視化:独自のプロセスレベルを定義
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