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  • 2020/03/27 掲載

「世界中いつでも働ける」「デザインで本質課題を解決」Webデザイナーが魅力的なワケ

「書店員さんが選んだコンピュータ書 第1位」著者に聞く

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多くの企業で、課題解決や新たなビジネスモデルの創出に、デザイン思考やプロトタイピングなどの手法を採り入れるケースが増えてきた。これまでデザイナー固有のものと考えられてきた「デザイン」に対するリテラシーは、今やビジネス活動のベースをなしているといっても過言ではない。Web制作のTIPSを紹介するサイトとして人気の「Webクリエイターボックス」を運営し、近著『1冊ですべて身につくHTML & CSSとWebデザイン入門講座』がCPU大賞(書店員さんが選んだコンピュータ書 第1位)を受賞、異例の売り上げを記録しているWebデザイナーのManaさんにWebデザイナーとしての仕事や、これからのデザイナーの働き方について聞いた。
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Webデザイナーに求められる役割は増している
(Photo/Getty Images)

グラフィックデザイナーからWebデザイナーを志す

 Webデザイナーになる前は、もともと日本でグラフィックデザイナーとして約3年間勤務していました。そこでチラシやポスターなど、紙面のデザインを中心にPhotoshopやIllustratorの基礎を学びました。

 その後、10数年前になりますが、カナダのバンクーバーでWebデザインを学びました。そうしようと思ったのは、仕事自体は好きだったものの、同じ職場の先輩の話を聞いたりしながら「海外に行く選択肢もある」ことを知り、あまり深く考えずに海外に行ってみようと考えたのがきっかけです。

 当初はもともとやっていたグラフィックデザインを学ぶつもりでしたが、すでにグラフィックデザインの仕事は徐々に少なくなっていました。代わりにWebデザイナーの求人が増えていたので、当地のWeb制作学校に入学しました。

 1年半のコースで、そのうち約9カ月が座学、残りの半分くらいが実際にインターンとして働きながらWeb制作の実務を学ぶというコースでした。

 授業内容は、PhotoshopやIllustratorなどのグラフィックツールの使い方や、HTML、CSSの基礎、それからJavaScriptやPHPなどのプログラミングも学びました。日本ではWeb「デザイナー」というとHTMLすら書かない人が含まれるケースもありますが、私が学んだ場所ではプログラミングの基本的な知識も求められました。

 特徴的だったのは、インターンシップが始まる前の座学の段階から、3カ月に1回はクライアントワークとして、実際に企業のWebサイトを制作する授業があったことです。お客さまのニーズをヒアリングしてサイトマップを作り、1つのサイトを完成させるという実践的な内容でした。

 英語もままならないうちに英語でヒアリングして手を動かしてサイトをつくるというのは、相当苦労しましたが、実際の仕事をしながらでなければ十分とは言えないということだと思います。

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日本では狭義の意味で使われがちだが、Webデザイナーに求められる役割は幅広い
(Photo/Getty Images)

Webデザイナーは幅広い領域を学ぶ必要がある

 Webデザイナーとして最初に携わったのは、語学学校のサイトやダンスの団体、NPOのイベントサイトなど、地域に根ざしたクライアントのWebサイトが多くありました。

 当時は、Webデザインという仕事が浸透し、急成長していく段階で、多くのデザイナーがグラフィック中心からコーディングを含めたWebデザインに移行しているときでした。当時の求人も「グラフィックデザイン(Webもできたら優遇)」というのが多く、もうデザイナーはWebから逃れられないと感じていました。

 当時は自社サイトを持っていない企業も多く、私はWeb制作学校で課題を制作する傍ら、アルバイトのようにサイト制作に携わることもありました。お小遣い稼ぎのような感覚でサイトを制作して、生活費の足しにしたこともあります。

 カナダを含む北米は、Webデザイナーの担当範囲が相当広く、グラフィックとコーディングは当たり前で、JavaScriptのプログラミングもできないと仕事ができない。特に、フリーランスで活動する人は、そのあたりの「守備範囲の広さ」をアピールしないと仕事が請けられない状況がありました。そうした背景もあって、私の通った学校も「フルスタック」なデザイナーを育てるカリキュラムだったのだと思います。

 私もApacheなどのWebサーバーやデータベース、PHPなどの環境設定から学びました。Web制作者として、総合的なスキルを学ぶことの大事さは、日本よりも海外の方が進んでいると思いますし、こうした経験は、今のフリーランスという働き方に大きな影響を与えていると思います。

働き方の「選択肢の広さ」がデザイナーの仕事の魅力

 デザイナーの仕事の魅力は、グラフィックであれ、コーディングであれ、世界のどこにいても通用するという点が挙げられます。

 私は20代のほとんどを海外で過ごしましたが、Webデザイナーということで、どの国でも仕事を見つけることができました。どの国でもコード自体は変わらないので、何を書いているか、どんなスキルがあるかが、コードを見れば相手に伝わる。その意味では、スムーズに仕事が見つかったと思います。

 Webデザイナーという仕事は、日本だけでしかできない仕事ではないので、今、注目が高まっているリモートワークのような、柔軟な働き方も可能です。そうした点からも「選択肢の広さ」が魅力ですね。

 私が「Webクリエイターボックス」というブログを立ち上げたのは、たしかインターンシップの期間でした。もともとは、自分向けの備忘録というか、コーディングの検索用に立ち上げた側面がありましたが、今では仕事をしながら学び、学んだ内容をアウトプットしていく場になっています。

 日本語でのブログではありますが、それなりにアクセス数があるブログを運営しているということで、一応、海外のクライアントの方にもアピールする材料になっています。

 柔軟な働き方ができるという点で、最近、デザイナーを志向する学生や主婦の方も増えていますね。Webサイトがなくなることは今後もないと思いますので、長く継続できる仕事の1つという点からも魅力があると思います。

【次ページ】デザインが優れているのは「文字にしなくても伝わること」
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