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  • 2020/03/18

2020年の自動車販売はどうなる? 新型コロナや原油安でどこまで減少するのか?

IHSマークイット Henner Lehne氏が解説

2019年は世界の自動車販売台数が大きく減少した年だった。2020年に入ってからも新型コロナウイルスによる世界的なパンデミックといった不測の事態も発生し、さらに不透明感が増している。今後の自動車業界はどうなるのか? IHSマークイット オートモーティブのHenner Lehne氏が自動車販売の世界展望について解説した。

執筆・構成:フリーライター 井上 猛雄、ビジネス+IT編集部 松尾慎司

執筆・構成:フリーライター 井上 猛雄、ビジネス+IT編集部 松尾慎司

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IHSマークイット オートモーティブ
グローバル・ビークル・フォーキャスト バイスプレジデント
Henner Lehne氏
※本記事は2020年2月25日開催「IHS Markit Automotive Spring Client Briefing 2020 - Tokyo」の講演をもとに最新動向を交えつつ再構成したものです。今回の新型コロナウイルスの影響によりIHSマークイットの予測も一部、修正が入る可能性があります。

コロナウイルスが自動車業界に与える影響

 2019年の世界情勢を振り返ると、英国のEU離脱問題(Brexit)、米中の第3・第4弾の貿易戦争、中国の自動車不況、気候変動学校ストライキ(Friday for Future)、香港の抗議運動など、世界に影響を与える多くの出来事があった1年だった。そして2020年に入って、新型コロナウイルスの感染が広がり、世界の経済に非常に大きな影を落としていることは、ご存じのとおりだろう。


 世界のライトビークルについて、今回のWebinarの聴衆へのアンケート結果を見ても、「引き続き2020年も自動車市場の減少傾向が続く」と予想する意見が9割弱と大半を占めた。まずHenner氏は、製造業の業況感の把握に役立つ「購買担当者指数」(PMI:Purchasing Managers' Index)から、2020年の経済展望を予想した。

「購買担当者指数は横ばいを示しています。最新データによる世界成長率は約2.5%で、我々の予想とも一致しています。サービス業のPMIは、製造業の弱さに対して、回復力を示しています。ただし中国で発生した新型コロナウイルスによるインパクトは非常に大きく、サプライチェーンでの部品供給にダメージを与えるでしょう」(Henner氏)

 そのうえでHenner氏は、世界の成熟市場における経済展望について解説した。

「米国では2020年以降、財政刺激策の縮小と労働力の供給制限で、景気は冷え込むとみています。一方でユーロ圏の成長は低調ながらも安定します。しかし今後のリスクとして保護貿易への流れや、Brexit後の貿易の不透明感などが挙げられるでしょう。英国も成長が抑えられ、FTA協定は厳しい交渉に迫られそうです」(Henner氏)

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米国、EU圏、英国、日本、主要成熟市場の実質GDP成長率の推移。いずれも2019年~20年にかけて低調
(出典:IHSマークイット)

 一方、足元の日本経済もアジア向け輸出の減少により低調だ。消費行動も昨年の消費税10%への引き上げの反動が表れている。内閣府による最新発表では、昨年10月から12月までのGDPを年間換算した実質の伸び率が-7.1%に下方修正されている。

 中国、インドなどの新興市場についても、さまざまなリスクが入り交じっており、低迷状態が続く傾向にある。

「中国の成長は、新型コロナウイルスによる影響と投資抑制で減速します。米国との貿易戦争は、初期合意はポジティブな進展がありましたが、予断を許さない状況です。インドの経済成長は6年ぶりの最低水準。ブラジルの成長は上向きですが、中国への農産物輸出の影響がリスク要因です。ロシアは引き続き停滞気味で、付加価値税引上げの影響や原油下落の影響もあります」(Henner氏)

原油は供給過剰に加え、新型コロナウイルスの影響で価格が下落

 景気を上向かせるために、昨年は世界で約50の中央銀行が金融政策の緩和を実施した。

「ただ経済への伝搬にはタイムラグがあり、すぐに効果は出ません。2020年の成長へ持ち越されている状況です。持続的な低インフレ率が根底の背景にあり、各国の政策は段階的に正常化していくものと考えられます」(Henner氏)

 地政学リスクとしては、1月に起きた米国とイランの対立が原油価格に与えた影響は限定的だった。世界規模でみると、原油市場は十分すぎるほどの供給体制を維持している。2020年には非OPEC国が一日あたり220万バレルほど液体燃料を増産する見通しで、米国、カナダ、ブラジル、ノルウェー、ガイアナの生産増が市場をけん引するという予測だ。

「ただし、2020年のグローバルの液体燃料需要は1日あたり120万バレル増の見通しです。原油在庫が大幅に増加し、余剰となって価格が下落するでしょう。さらに新型コロナウイルスのインパクトによって、需要は大幅に減ります。現在の需要は年間成長率の半分と予測され、グローバル市場での供給過剰が拡がります」(Henner氏)(注1)

注1:この取材後、OPEC盟主のサウジアラビアと、ロシアなどの非OPEC国の減産合意が決裂し、原油価格が大幅急落している。

【次ページ】自動車需要の難局が続くなかで、中国の販売はどうなる?

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