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  • 2020/04/21 掲載

Microsoft EdgeがChromiumベースに、更新サイクルの頻度はどう変わるのか

山市良のマイクロソフトEYE

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マイクロソフトは2020年1月15日(太平洋時間、PT)にオープンソースプロジェクト「Chromium」ベースのエンジンを搭載した新しいMicrosoft Edgeの安定版(Stable)リリースを一般公開しました。これに基づき、4月17日以降は段階的に従来のMicrosoft EdgeをChromiumベースの新しいMicrosoft Edgeに置き換えていくことになります。置き換えられることでさまざまなことが変わってきますが、今回は更新サイクルがどう変わるのかに注目したいと思います。

執筆:フリーライター 山市 良

執筆:フリーライター 山市 良

IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など

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Chromiumベースの新しいMicrosoft Edgeのダウンロード画面

Microsoft Edgeは段階的にEdgeHTMLからChromiumベースに入れ替え

 Windows 10にはレガシブラウザーとして「Internet Explorer 11(IE 11)」が、モダンブラウザーとして「Microsoft Edge」が標準搭載されています。これまでのMicrosoft Edgeはマイクロソフトの独自のエンジンである「EdgeHTML」を採用したブラウザーでした。

 新しいMicrosoft Edgeは、オープンソース「Chromium」プロジェクトのエンジンを採用したオープンソースのモダンブラウザーであり、Windows(64ビット、32ビット、ARM64)およびmacOS(64ビット)のクロスプラットフォーム対応で共通のバージョンを利用できます(画面1、画面2、画面3)。

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画面1:Chromiumベースの新しいMicrosoft Edgeは、従来のMicrosoft Edgeを完全に置き換える(アイコンも変わる)
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画面2:新しいMicrosoft Edgeは、同じくChromiumベースのGoogle Chromeと同じエンジンを搭載(chrome://version、edge://versionのユーザーエージェントで判断できる)。このバージョンは3月初め頃のもの
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画面3:macOS版のMicrosoft Edge。バージョンの確認と最新バージョンへの更新は、「・・・」から「?ヘルプとフィードバック」-「Microsoft Edgeについて」を選択するか、アドレスバーに「edge://settings/help」と入力する(WindowsとmacOSで共通)

 Android向けにも新しいMicrosoft Edgeは提供されていますが、少し古いバージョン(2020年3月末時点で77.0.3865.116)になります。

 各プラットフォーム向けのChromiumエンジンのリリース状況、および新しいMicrosoft Edgeのセキュリティ更新のリリース状況については、以下のサイトで確認することができます。

Chromium Dash Microsoft Edge Stableチャネルのリリースノート Microsoft Edgeセキュリティ更新プログラムのリリースノート

 新しいMicrosoft Edgeは、Windowsの場合はWindows 7以降のクライアント、およびWindows Serverにインストールして利用できます。従来のMicrosoft Edgeは「ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)」アプリ(ストアアプリ、モダンアプリとも呼ばれます)でしたが、新しいMicrosoft EdgeはUWPアプリではなく、デスクトップアプリケーション(Win32アプリ、%ProgramFiles%または%ProgramFiles(x86)%\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe)です。

 Windows 10に新しいMicrosoft Edgeをインストールした場合、従来のEdgeHTMLベースのMicrosoft Edgeは利用できなくなり、ChromiumベースのMicrosoft Edgeに置き換わります。新旧Microsoft Edgeを併用する構成も可能ですがそれは移行期向けのオプションであり一般向けではありません。

 マイクロソフトはWindows 10のMicrosoft Edgeを、段階的に新しいMicrosoft Edgeに置き換えていくことになります。コンシューマーユーザー向けには、Windows Updateを通じて新しいMicrosoft Edgeが段階的に配布され、従来のMicrosoft Edgeを置き換えていく予定です(画面4)。

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画面4:コンシューマー向けにはWindows Update経由で新しいMicrosoft Edgeが置き換わる(画面はWindows InsiderのRelease Previewリング向けに先行的に配布された様子)

 日本では確定申告のシステムとの互換性の関係で、Windows Updateを通じた配布開始は2020年4月17日(延長された申告期限の翌日)以降に遅延されました。Windows Updateで自動更新が有効(既定は有効)になっている場合は、今後数か月の間に新しいMicrosoft Edgeに入れ替わることになります。

新しいMicrosoft Edgeへのアップグレード(Windows Blogs) 新しいMicrosoft Edgeをダウンロード(一般向け) ビジネス向けMicrosoft Edgeのダウンロード(企業向け)

 現時点では、管理者が何かしらアクションを行わない限り、企業や教育機関のWindows 10クライアント(EnterpriseおよびEducationエディション)に新しいMicrosoft Edgeが配布されることはありません。

 現時点で利用可能な企業向けの展開オプションとしては、「Microsoft Endpoint Configuration Manager(旧称、System Center Configuration Manager)」や「Microsoft Intune」による展開と更新が可能です。「Windows Server Update Services(WSUS)」単体で配布するオプションは用意されていません。Windowsインストーラーパッケージ(.msi)としてダウンロード提供されているため、Active Directoryのグループポリシーの「ソフトウェアインストール」機能を利用して配布することは可能です。

新しいMicrosoft Edgeへの更新はいつ行われるのか

 従来のMicrosoft Edgeは、Windows 10の機能更新プログラムに含まれる形で新しいバージョンに置き換わりました。また、品質更新プログラムで更新されることもあります。

 たとえば、Windows 10バージョン1903の場合、Windows 10バージョン1903の一般公開時には「Microsoft Edge 44.18362.1.0(EdgeHTML 18.18362)」が組み込まれていましたが、2019年10月後半にリリースされた累積更新プログラムで「Microsoft Edge 44.18362.449.0(EdgeHTML 18.18362)」に更新されました。

 OSのコア部分が共通のWindows 10バージョン1909には、後者と同じ更新レベルである「Microsoft Edge 44.18363.449.0(EdgeHTML 18.18363)」が搭載され出荷されました。

 このように、従来のMicrosoft Edgeのバージョンは機能更新プログラムと連動しており、セキュリティ更新やバグ修正は毎月の品質更新プログラムで行われていました(Microsoft Edgeのバージョン番号は変更されない形で)。

【次ページ】新しいMicrosoft Edgeはブラウザー自身が更新機能を備える

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