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  • 2020/05/19

タスク管理ツールも活用せよ、テレワークの次のステップ「生産性向上」図る3つの技法

テレワークの導入時期は、Web会議やオンラインストレージといった、自宅からの業務を可能にするツールが話題の中心だった。その後、テレワークが当たり前となり、多くの企業でその利点と課題が明確になるに従って、生産性の向上にフォーカスが移ってきている。テレワーク環境であっても、チーム内のコミュニケーションを促進し、メンバーのモチベーションを維持・向上する施策が求められるようになったわけだ。本記事ではメンバーが自律的に動けるよう、タスク管理ツールを使って仕事の「見える化」を促進し、生産性を向上させる方法について議論する。

在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

在スペイン コンサルタント 佐藤 隆之

Mint Labs製品開発部長。1981年栃木県生まれ。2006年東京大学大学院工学系研究科修了。日本アイ・ビー・エムにてITコンサルタント及びソフトウェア開発者として勤務した後、ESADE Business SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は、スペイン・バルセロナにある医療系ベンチャー企業の経営管理・製品開発を行うとともに、IT・経営・社会貢献にまたがる課題に係るコンサルティング活動を実施。Twitterアカウントは@takayukisato624。ビジネスモデルや海外での働き方に関するブログ「CTO for good」を運営。

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テレワーク環境では各人のタスクの「見える化」が重要になる
(Photo/Getty Image)

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テレワークは生産性の向上が課題に

 コロナ禍でテレワークの普及が急速に進んできた。オフィスや通勤時の感染リスクを軽減しながら事業を継続し、自宅から仕事ができるように環境の変革が進んでいる。

 テレワーク導入開始時に注目が集まったのは、ZoomによるWeb会議の導入や、紙を伴う業務プロセスの変更だ。たとえば政府や経団連会長、IT企業トップが「脱・ハンコ」の方針を示すなど、テレワークを滞りなく実施するための動きが日本中で盛んになった。

 一方で、テレワークを導入しただけでは、必ずしも生産性が向上しない点を指摘する声もある。Uniposが2020年4月に、全国の上場企業に勤める管理職333人と、20~59歳の一般社員553人を対象に実施した調査では、テレワークにより「チームの生産性が上がった」と回答したのはわずか7.6%に留まった。「変わらない」が最多で47.7%、「やや低くなった」および「低くなった」が合わせて44.1%となっている。テレワークの課題としては、コミュニケーションや社内連携の難しさ、ならびにモチベーション管理が指摘された。

 また、マツリカが2020年4月に、企業の経営者層、 営業部門の管理職・マネージャー、営業担当者など233名を対象に実施した調査によれば、営業活動をリモートワークで行う中で、 76.7%の人が「生産性が上がったとはいえない」と回答した。

 同様の結果は他社の調査でも表れており、テレワーク自体は非常に前向きに受け止められているものの、さまざまな課題が指摘されており、中でも「生産性」をどう改善していくのかが次のテーマとなっている。

守りのテレワークから攻めのテレワークへ

 テレワークは、事業継続性を維持して業務上の不便を解消するための「守りのテレワーク」と、生産性を向上して従業員のモチベーションを向上させる「攻めのテレワーク」に分けるのがよいと筆者は考えている。Web会議やチャットツールを導入して守りを固めた企業は、従業員が力を発揮できる環境整備やマネジメント手法へと意識が向けていくステージに入った。

 組織のモチベーションを説明する上で、米国の心理学者ハーズバーグは二要因理論を紹介したい。従業員満足度は、満足に関わる動機付け要因と、不満足に関係する衛生要因によって構成されるという理論だ。動機付け要因には達成・承認・成長などが含まれ、衛生要因には労働環境・人事評価・対人関係などが含まれる。動機付け要因と衛生要因は独立しており、たとえば衛生要因だけを満たしただけでは、不満足が解消されただけで、満足感が抱けないということになる。

 これまでのテレワークの導入は主に、コロナ禍でも労働可能とする「不満足の解消」に関係している。ただし、社内コミュニケーションの不足により、新たな不満足が生まれる部分もある。また、テレワークを前提とした仕事環境における動機付け、つまり、成果の承認や「やりがい」については、手つかずになっている会社が多い。

 「攻めのテレワーク」を推進するため、成果の見える化を促進させ、社内のコミュニケーションを円滑にし、生産性を向上する新しい働き方が求められている。

アジャイル技法でテレワークの生産性を向上させる

 テレワークを通した生産性向上の方法については、コロナ禍以前からテレワークを実施している企業が蓄積してきたノウハウが参考になる。実際、先進的なIT企業では、多くの従業員にテレワークを許可し、生産性向上や多様な人材の確保により競争力を高めてきた。

 たとえば、近年のIT企業では「アジャイル」と呼ばれる手法が主流となっている。アジャイルでは、変化する環境へ柔軟に対応するため、各メンバーが自律的に行動し、メンバー間の情報交換が十分に行えるよう支援する。ソフトウェア開発の分野で発展した技法であるが、マーケティングやバックオフィスなど、他の職種にも適用可能だ。やるべき仕事を見える化し、その成果を測る方法論は、テレワークを前提とした環境における生産性向上に寄与する。

 アジャイルには思想・プロセスの両面から幅広い議論がなされているが、本記事では、ソフトウェア開発以外の領域でテレワークを実施するチームが生産性を向上させるために応用できる3つのアジャイル技法を示す。

(1)「カンバン」による仕事の見える化・見せる化

 チームで仕事の状況を可視化するため、タスク管理ツールの利用が欠かせない。コラボレーションツールに付属しているものもあるが、Trello(トレロ)やAsana(アサナ)などの専用ツールも用いられることが多い。Trelloでは、各メンバーに割り当てられた仕事を、ポストイットのような形式で画面上に配置する。「カンバン」と呼ばれるボード上で、未着手・作業中・レビュー中・完了といった進捗によりタスクを分類すると、誰がどの仕事を行っているかがひと目で分かるようになっている。

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カンバンによるタスク管理。これにより情報の「見せる化」も可能になる
(出典:筆者作成)

 各タスクには「資料を作成する」といった具体的な仕事が入るが、どの粒度で管理するかはチームごとに異なる。一般的には数時間~数日で完了できる程度にすると、管理が煩雑にならず、また、進捗が見えやすいという利点がある。

【次ページ】テレワークを前提とした新しい働き方の確立へ

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