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  • 2020/11/02 掲載

いよいよGAFAが「携帯事業参入」か、筆者が「Google Fi」で大満足のワケ

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日本では菅政権による携帯料金引き下げの動きが始まっている。「日本の携帯料金は果たして本当に高いのか」「引き下げによってサービスが低下するのでは」など、疑問の声もある一方で、大手の料金引き下げにより競争が激化することも予想される。では米国では携帯料金はどのような状況なのか、そしてグーグルが参入したことで噂されるGAFAによる本格的な通信事業参入はありえるのか、その影響を考えてみよう。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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GAFAの携帯電話事業参入が期待を集めているのには理由がある
(Photo/Getty Images)

世界の携帯料金はどうなっているのか?

 まず、日本の携帯料金は本当に高いのかについては、ICT総研が2020年7月に発表した調査結果がある。それによると日米独仏英韓の6か国の月額を比較したところ、「最も料金が安い国はフランスでデータ容量2GBが2,010円、5GBが2,010円、20GBが2,322円。最も料金の高い国は、データ容量2GBが米国で6,188円、5GB/20GBは韓国の6,787円/8,388円となった」という。

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各国主要携帯電話事業者の料金プラン平均
(出典:ICT総研『2020年 スマートフォン料金と通信品質の海外比較に関する調査』)

 これに対して「日本はデータ容量2GBが4,021円、5GBが5,121円、20GBが7,135円」とのことで、欧州より高く、米国・韓国よりも安い水準。おおむね中位レベルとなったという。5GBでは日本が5,121円に対し米国は6,749円、20GBでは日本が7,135円に対し米国は7,684円だ。

 また料金と通信速度を比較すると、ICT総研では「ダウンロード通信速度」と「料金」をグラフ化すると、各国のダウンロード通信速度は速い順に韓国が59.0Mbps、日本が49.3Mbps、ドイツが28.7Mbps、フランスが28.6Mbps、米国が26.7Mbps、英国が22.9Mbpsだった。

 日本は料金が中位レベルなのに対し通信速度は2位となり、これも「料金と比較して通信品質が高いといえる」としている。

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各国主要携帯電話事業者のダウンロード通信速度と料金の関係性
(出典:ICT総研『2020年 スマートフォン料金と通信品質の海外比較に関する調査』)


4社で寡占、通信速度が遅く、料金が高い米国

 このデータで見る限り、少なくとも米国は通信速度が遅く、料金は高いということになる。

 もちろん、これには国土の広さも関係するのだが、米国在住の筆者の感覚としてこれは概ね正しい。そもそも米国では大都市周辺部を離れると通信がなくなる場所が非常に多いのだ。

 その一方で通信事業はビッグ4と呼ばれる企業がほぼ独占しており、料金もほぼ横並びだ。ビッグ4とはベライゾン、AT&T、Tモバイル、スプリント(Tモバイルに併合予定)である。

 シェアで見るとこの4社だけで8割近くを占め、MVNOは1割程度となっている。

 ストラテジー・アナリスティックス社のグラフで見ると「その他」が1%程度になっているが、これは新しい携帯事業社が現れてもすぐにビッグ4に買収統合されてしまうためだ。現在も継続している独立事業社はUSセルラーのみで、シェアはわずか1.2%に過ぎない。

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米国の携帯電話事業者のマーケットシェア
(出典:ストラテジー・アナリスティックス)

 料金を見ると、1回線契約の場合、ベライゾンが4G LTEで70ドルから、5Gが含まれると80ドルからとなる。AT&Tではキャンペーンを適用すると5G込みで65ドルから、50GBまでのプレミアムデータプランが75ドル、100GBで85ドル。

 Tモバイル―スプリントは月額が60ドルから85ドルで、70ドル以上のプランにはネットフリックスとQuibi(クイビ)が無料で提供される。またどのキャリアも4回線以上を申し込むとかなり格安となるのが特徴だ。

 こうして見ると、トップの3社の料金はそれぞれに特徴はあるものの、ほぼ横並びになっていることが分かる。

コロナで露呈したネット格差、格安キャリアも横並び

 一方で格安キャリアと呼ばれる会社は、代表的なものがメトロPCSだが、こちらは月額40-60ドルではあるものの、40ドルのプランはデータ10GBまででホットスポット利用なし、60ドルのものでホットスポット15GBまで、アマゾンプライムが付く。格安キャリアも現在はほぼ横並びの料金となっている。

 日本の場合、UQ、ライン、Yモバイルなど料金が3,000円以下の格安キャリアが充実しており、この点でも米国と比べると割高とはいえない。

 米国の携帯料金は2018年にフィンランドのRewheel社が行った調査で「4MNOで比較した場合、GBあたりの料金が先進国の中で最も高い」とされており、それによると1GBの価格は米国が6.2ユーロ、EU28か国平均が2ユーロ、フィンランドはわずか0.1ユーロとなっている。同様に家庭用ブロードバンド価格も米国は世界一高いという。

 米国のような国で携帯料金に独占禁止法違反の声が上がらないのも不思議な話だが、ともかく国民には選択肢がないというのが実情だ。

 特に今年はコロナによる学校閉鎖などでリモート授業が行われる中、ネット格差が大きな社会問題となった。各自治体は家庭にブロードバンド環境がない児童のためにネット接続を支援する、タブレットやミニPCを配布するなどの対応に追われた。

【次ページ】期待を集めるGAFAによる携帯事業への参入

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