- 会員限定
- 2021/04/15 掲載
Windows Server 2022プレビューの評価は?次期サーバーOSの行方はわかるのか
山市良のマイクロソフトEYE
IT 専門誌、Web 媒体を中心に執筆活動を行っているテクニカルライター。システムインテグレーター、IT 専門誌の編集者、地方の中堅企業のシステム管理者を経て、2008年にフリーランスに。雑誌やWebメディアに多数の記事を寄稿するほか、ITベンダー数社の技術文書 (ホワイトペーパー) の制作やユーザー事例取材なども行う。2008年10月よりMicrosoft MVP - Cloud and Datacenter Management(旧カテゴリ:Hyper-V)を毎年受賞。岩手県花巻市在住。
主な著書・訳書
『インサイドWindows 第7版 上』(訳書、日経BP社、2018年)
『Windows Sysinternals徹底解説 改定新版』(訳書、日経BP社、2017年)
『Windows Server 2016テクノロジ入門 完全版』(日経BP社、2016年)
『Windows Server 2012 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2014年)
『Windows Server 2012テクノロジ入門』(日経BP社、2012年)
『Windows Server仮想化テクノロジ入門』(日経BP社、2011年)
『Windows Server 2008 R2テクノロジ入門』(日経BP社、2009年)
など
バージョン2022がメインストリームの近未来、想像するもワクワクしない?
マイクロソフトは2021年3月2日(米国時間)、Windows Serverの次期LTSCバージョンである「Windows Server 2022」を発表し、新機能の概要とともにプレビュー版(Windows Server Insider Preview)が利用可能であることを発表しました。同時に、Windows Server 2022のプレビュー版をMicrosoft Azureの仮想マシンで評価できるように「Microsoft Server Operating Systems Preview」オファーの提供を開始しました(画面1)。同一ビルドのWindows 10と一貫性のあるバージョンは「21H2」であり、2021年下半期の正式リリースが予定されています。Windows Server 2022は、Windows Server 2019をベースに、これまでのWindows Server史で最速で構築されたサーバーOSと表現され、以下の3つの新機能/強化点について解説されています。
- 先進の多層セキュリティ ・・・ TPM 2.0、システムガード(旧称、デバイスガード)、資格情報ガード、ハイパーバイザーで保護されたコード整合性(HVCI)、TLS 1.3が既定で有効、SMB暗号化における256ビット暗号化のサポートなど
- Azureとのハイブリッド機能 ・・・ Azure Arc、ストレージ移行サービス(Windows Server 2019からの機能)、Windows Admin Center(WAC)の強化など
- フレキシブルなアプリケーションプラットフォーム ・・・ Windowsコンテナーのイメージサイズの削減、KubernetesでのWindowsコンテナーのエクスペリエンス向上、グループの管理されたサービスアカウントによるAzure Active Directory依存のアプリのサポート、IPv6のサポートなど
現時点で見えている新機能とは?
どの機能も機能の差はあれ、Windows Server 2019、あるいはその前のWindows Server 2016から実装されているもので目新しいものではありません。まったく新しいものがあるとすれば、HTTPSの既定のセキュリティプロトコルが「TLS 1.3」になることと、SMB暗号化で256ビット暗号化(AES-256、現在は128ビット暗号化)をサポートすることくらいです。
Windowsコンテナーのイメージサイズの削減は、Windows Server半期チャネル(Semi-Annual Channel、SAC)で継続して行われてきました。それがLTSCバージョンで実現されるということには大きな意味があるでしょう。
現在、「Azure Kuberenetes Service(AKS)」では、Windows Server 2019のLTSCイメージが、プロセス分離モードでのみサポートされています。
また、アナウンスの中で「Azure Arc」や最新の「Windows Admin Center(WAC)バージョン2103」に言及していますが、これも現行のWindows Server 2019やWindows Server 2016にも適用される現在でも利用可能な機能であり、Windows Server 2022ならではの新機能というわけではありません。Azure Arcについては本連載でも紹介しました。
先ほどの3つの強化点のキーワードは「より一層(MORE)」ということなのだと思います。プレビュー段階の今は、バージョン情報こそ「Windows Server 2022」ですが、Windows Server 2019との違いを見つけるほうが難しいかもしれません。
【次ページ】評価するには速すぎる、新プレビュービルドは毎週リリース
関連タグ
PR
PR
PR