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  • 2022/01/24

出光興産CDO 三枝幸夫氏に聞く「DX組織」の作り方、どのようにデジタルを浸透させるのか

三枝幸夫氏は、2020年の初めにブリヂストンの最高デジタル責任者(CDO)から出光興産CDO・デジタル変革室長へ移籍した。目指すのは、現場が自ら社会課題やニーズをキャッチしビジネスにつなげられるDXネイティブ組織だ。社外からの参入ということもあり、現場との軋轢(あつれき)も想定される中で、どのような戦略を描いているのか、三枝氏に話を聞いた。

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:畑邊康浩

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出光興産
デジタル・DTK推進部 執行役員 CDO・CIO情報システム管掌 デジタル・DTK推進部長
三枝 幸夫氏


システムとビジネスプロセス統合を終え、「未来」へ取り組む

──2020年に出光興産へ移籍されてCDOになり、2021年7月からはCIOとデジタル・DTK推進部長も兼務されることになりました。改めてお聞きしますが、どのような役割を担っていらっしゃるのですか。

三枝氏:現在のメインミッションは2019年に経営統合した旧昭和シェルとのシステム統合にあります。インフラ面やセキュリティなど、コスト削減や効率化を重視するSystem of Record(SoR)の領域に関してはSaaSやパッケージを活用して効率を上げながら、より柔軟性や俊敏性が求められるSystem of Engagement(SoE)の方へ注力していく考えです。

 また、より新しいビジネスと直結してトップラインを伸ばしていくような役割も、DTK推進部が担っていく形です。DTKについても解説すると、2019年4月に昭和シェルと経営統合した後、「違う仕事のやり方をしてきた人たちが一緒になったのだから話し合って一番いい方法を見つけよう、変化に適応しよう」という意志を込めたのが「だったら(DT)こう(K)しよう。」というフレーズです。社内でそれをそのまま「DTK活動」と名付けました。一般的な言い方ですとBPR(Business Process Re-engineering)を進める部署だとも言えます。

 システムに関しても業務プロセスに関しても2社の統合は概ね終わりが見えており、これからは前向きの方向へ注力していこうという経営陣の意図があります。したがって、前向きの業務効率を上げていく、そして新しいビジネスを伸ばしていくことが私のミッションです。

啓蒙、共創を経てDXネイティブ組織を目指す

──以前はブリヂストンに長く勤められて、生産技術畑からCDOになられてバリューチェーンの変革をけん引されました。2020年1月に出光興産に移ってから、特に意識したのはどのようなことでしたか。

三枝幸夫氏(以下、三枝氏):ブリヂストンで取り組みを進めてきた中で、DX推進には3つ大切なことがあると思いました。1つ目は、経営トップが変革に対する「本気の意思表示」をすること。2つ目は、その経営者を支える優秀な人材。そして何より必要なのは3つ目で、会社全体を「チャレンジを推進する企業風土」に変えていくことです。これらを全部、せっかく出光興産に移ったのでやってみようということで、トライしているところです。

 日本の会社の共通点として、これはブリヂストンも出光興産もそうなのですが、「うちは現場が優秀なんだ」「現場が非常に高いクオリティーで競争力を生み出しているんだ」という認識が強いですね。だから、マネジメントが「こうしよう」と言っても、現場の皆さんは口では「はい」と言うものの、心の底からマネジメントの言った通りにやろうとは思っていないことが多い。「部長はああ言っているけれども、俺のやり方がある」と思っている人たちをいうかに変えて行くか、そのことを特に意識しています。

──DXのよさを体感してもらうという話がありましたが、そこから現場の人が「じゃあやろう」とすんなり思うほど簡単ではないようにも思いました。

三枝氏:そうですね、やはりいきなり外から来た人間が何を言っても、現場の人にはあまり信じてもらいにくい部分はあります。でも、現場の人の「DXチームの人たちが来て、すごく便利になったよ」という話が1つでも多くできれば、話が草の根レベルで伝わっていって、受け入れられるようになります。

 ですから、DXチームが現場にしっかり入り込んで、最初のうちはすべて手取り足取りやってあげて、「DXはよいものでしょう?」と体験してもらう。次は、よいものは自分たちでできたほうがいい、ということで「一緒にやりましょう」と共創型にして、DXのスキルを現場に移管する。そして最終的には事業部が自走できるようなDXネイティブ組織にしていく。そのように段階を踏んだ進め方をしています。

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推進する中での気付きと進め方
(出典:出光興産)

 また、私が入社したすぐ後にコロナ禍に突入してしまい、対面で話すことが難しかったため、代替手段として、DXの啓蒙活動として社内向けに「事業変革を生み出すデジタルシフト」と題したWebセミナーを開催しました。そこで、1000人を超える方に参加していただきました。その後、有識者の方をお招きしてお話いただいたり、プラント保全のデジタル改革を実際に担った現場の社員を呼んで話してもらったりと、定期的にWebセミナーを開催しています。

 また、現場が自走できるようにという意味で、3つの「塾」を社内に立ち上げました。1つは、先にご紹介した、新しい時代の「よろずや」を立ち上げていく「スマートよろずや塾」。それからカーボンニュートラルを進めるメンバーを育てる「カーボンニュートラルセンター塾」。そして、ビジネスそのものを変えていく「ビジネスデザイン塾」。この3つの「塾」を通じて、DXリテラシーと起業家マインドを醸成していく活動をスタートしたところです。

【次ページ】CDOに求められるのは「強い心と前向きな精神力」

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