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  • 2022/02/07 掲載

医師にビジネスは無理なのか? 起業家になるための「“who”から“why”への転換」

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「産学連携」という言葉もあるようにアカデミズムの知見をビジネスに取り入れる手法は古くから注目されている。しかし、この2つの本質は異なるものであり、成功させることは決して容易ではない。だが、この困難を医療の現場で成功させているのが、CureApp(キュアアップ)だ。同社が開発した治療用アプリ「治療アプリ」は薬事承認や保険適用されるなど、従来の医療を変えうる事業を展開している。アカデミズムはいかにしてビジネスで大きな価値を残せるのか。医学の道を歩みながらも、現在CureAppの最高経営責任者(CEO)を務める佐竹晃太氏に聞いた。
執筆:編集者・ライター 鈴木俊之

執筆:編集者・ライター 鈴木俊之

1985年福島県いわき市生まれ。2012年法政大学卒業、出版社入社。月刊誌編集部を経て15年独立。ビジネス紙を中心に執筆。専門分野は起業、不動産、自動車、美容など。

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CureApp
最高経営責任者(CEO)
佐竹晃太氏
(写真:CureApp提供)

※本記事は『DXスタートアップ革命 (日経ムック) 』に掲載した企業のキーパーソンに改めてインタビューをしています

アカデミズムはビジネスに活用できるのか?

 佐竹氏は慶應義塾大学医学部を卒業後、日本赤十字社医療センターなどで臨床業務に従事し、呼吸器内科医として勤務したあと、2012年より中国上海中欧国際工商学院、米国ジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院に留学。帰国後、キュア・アップ(現CureApp)を創業した。

 また、現在も週に1度、医師としての仕事もしているという。いったい、どういった経緯でアカデミズムからビジネスの世界に進出したのか。

「きっかけは2013年に米国の大学院に留学した時に偶然読んだ論文です。この論文は臨床現場でのデジタル療法の可能性を示したものでした。初めて読んだときは衝撃が走りました」

 現在CureAppは、治療用アプリを筆頭に医療の現場に従来はなかったテクノロジーを導入している。現在同社が開発している治療用アプリは、すべて佐竹氏が米国の大学院時代がルーツとなっているそうだ。

「日本に帰国して『米国で読んだ論文のような先進医療を日本で実現したい』と思い、2014年に創業しました」

診察できない「空白時間」に目をつけた治療用アプリ

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佐竹氏は現役の医師でもある
(写真:CureApp提供)
 こうして治療用アプリの開発を始めた佐竹氏だが、すぐに困難に直面した。

「医薬品は使用される前に治験と言われる臨床試験を行い有効性を証明し厚生労働省から承認を受けます。世の中に数多あるヘルスケアアプリは治験などをすることなくリリースされていますが、医療機関でアプリによる治療が当たり前となるには、医薬品と同様にしっかりと有効性を証明するための治験を行い医療機器として薬事承認を受けることが必須だと考えました。そこで、国内では前例のなかったアプリの治験を実施することにしたのです」

 こうして同社は、治療用アプリでの治験を日本で初めて実施した。アプリの治験は、慶應義塾大学医学部内科学教室(呼吸器内科)と共同で実施したという。

「現在、治療用アプリは質の高い医学的エビデンスを取得しています。最初にローンチしたニコチン依存症治療アプリは2019年12月に治験を終え、従来の禁煙治療よりも禁煙成功率が13%以上高いなどのポジティブな結果を得ることができました」

 キュア・アップが開発するのは、日々の患者の行動データ、生体データから、個々人に合わせたオーダーメイドの治療法を提案できるアプリだ。

「現在展開しているニコチン依存症向け治療用アプリや高血圧症向け治療用アプリで言いますと、通院と通院の間の治療空白を埋めることができる点が大きなメリットです。従来の治療では患者さんは病院以外の時間では支援のない孤独な戦いを強いられます」

 対して、この治療空白が治療用アプリでは対応可能だというのだ。

「患者さんに心理的に寄り添ったり、具体的な対処方法の提案を24時間できます。そのため、診察できない『空白時間』が生まれません。しかも、個々人のデータ解析することで、それぞれに最適な形でサポートを実施できます」

 今後、行動変容で治療できる病気すべてに対応できれば、より一層治療用アプリが医療のインフラとして機能していくという。

【次ページ】Whoを意識するアカデミズム、whyを徹底するビジネス

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