• 2022/03/23 掲載

オードリー・タン氏も語る、デジタルによる「限界費用ゼロ」の超重要性(2/2)

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 例を挙げましょう。私は生まれながらにして心臓病を患っていました。10代の頃に手術をして完治していますが、私が幼い頃は、病気になった人にはお金の心配がつきまとう時代でした。腕の良い医者と悪い医者、品質の高い薬と低い薬、入院する病院の環境など、受けられる医療レベルがお金によって左右されてしまいます。また、経済的な負担が大きいために病気になっても病院にかかろうとしない人が大勢いました。私の両親も、私の心臓病のために多くの医療費を費やしていました。

 ですが1995年から台湾は「国民健康保険制度」を採用し始めました。実質的に始まったのは1990年代のことでしたが、2000年初頭に多くの医療項目がこの制度の中に組み込まれるようになりました。世界のほとんどの国では組み込まれていない歯科医療などの医療も範囲内に収められ、お金の心配をせずに歯の治療が受けられるようになりました。今では海外で暮らす台湾国籍の人々が歯の治療のために台湾に戻ってくるほどです。当時、一人の歯科医として歯科医療を制度の対象範囲内にしようと提唱し、重要な役割を果たしてくれた現・衛生福利部の陳時中部長には感謝しなければなりません。

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『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』
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 〈限界費用〉がゼロのものであれば、私たちはごく自然にシェアし合う習慣ができつつあります。ゼロではないものは、信頼している人やごく親しい人とだけシェアします。これは誰もがそうで、私たちもいきなり路上で見知らぬ人々に飲み物をご馳走したりはしませんよね?  一方で、何かしらの概念や考え方であれば、ハッシュタグ「#」を用いてどこまででもシェアすることができます。〈限界費用〉はゼロですね。ですから私は〈限界費用ゼロ社会(限界費用がゼロあるいは限りなくゼロに近づくことで出現する社会)〉の概念は十分成立し得ると思っています。

 ですが、急いですべてのことにそれを当てはめようとしてはなりません。人は、「自分たちが慣れ親しんでいるモノやサービスの〈限界費用〉がゼロであり、それをシェアしても自分に損失がない」とわかりきっているからこそシェアしようとしてくれるのですから、他人に「これは〈限界費用〉がゼロだから」と、無理強いしてはなりません。相手にとっては実際のところ〈限界費用〉が発生していることもあるわけで、その場合は相手を追い詰めることになってしまいます。

 〈限界費用〉がゼロであるのか、ただ限りなくゼロに近いだけなのか、その見方は両方成立するのです。
※本記事は『まだ誰も見たことのない「未来」の話をしよう』を再構成したものです。

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