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  • 2022/03/17 掲載

グーグルは難民支援でオフィス開放、欧米テックコミュニティで広がるウクライナ支援

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長期化の様相を呈するウクライナ情勢、同国から海外に避難する人々の数は日々増えている。こうした状況下、グーグル、エアビー、ウーバーなどテック大手は、難民支援の取り組みを強化している。一方、欧州テックコミュニティの間でも、ウクライナの難民やテック人材を救おうという動きが活発化し、さまざまなイニシアチブが立ち上がっている。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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ウクライナを支援しようとグーグルなどテック大手が動き出した
(Photo/Getty Images)

グーグルはポーランドオフィスをウクライナ難民支援に開放

 長期化の様相を呈するウクライナ情勢、同国から周辺国に避難する人々は日々増加している。

 BBCが伝えた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の3月9日時点の情報によると、ウクライナ国民が最も多く避難しているのはポーランドで、難民数は141万人以上に上る。このほかハンガリーに21万人、スロバキアに16万人、ロシアに9万7098人、ルーマニアに8万4671人、モルドバに8万2762人が避難している状況だ。

 141万人以上のウクライナ人が避難しているポーランドでは、企業やNGO(非政府組織)など民間組織による難民支援活動が拡大している。

 ポーランド国内3カ所に拠点を構えるグーグルはこのほど、同国内に有するオフィススペースやリソースを難民支援に活用することを発表

 まずポーランド首都ワルシャワにある同社スタートアップ・キャンパスを地元NGOに提供するという。グーグルはすでに、ポーランドを含め、スロバキア、ルーマニア、ハンガリーのNGOの難民支援資金として1000万ドル(約11億円)を寄付することを発表している。今後も状況に応じて、支援を行っていくという。

 一方グーグルは3月7日、ワルシャワのオフィス拡張に7億ドル(約817億円)を投じる計画を発表。現在、ポーランド国内のグーグル社員は1000人ほどだが、オフィス拡張により最大2500人を雇用できるようになる。グーグルの中東欧地域における投資としては、最大規模になる。

 ウクライナではこの数年、テクノロジーセクターの成長に期待が寄せられ、テック人材も多く誕生していた。今回のロシア侵攻により、その多くがポーランドに避難したものとみられている。今後のウクライナ経済の復興では、ポーランドとの連携が重要になると考えられるが、グーグルのポーランド投資もそれに寄与することになるかもしれない。

 ちなみにポーランドの人口は約3800万人、1人あたりGDPは1万5000ドル以上。世界銀行は、ポーランドの産業は多様化しており、EUの中で最も強靭な経済を持つ国の1つだと評価している

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ウクライナとロシアの戦争は長期化の様相を見せている
(Photo/Getty Images)

エアビーやウーバーも難民支援へ

 グーグルだけでなく他のテック企業やテックコミュニティによるウクライナ支援は日々拡大中だ。

 民泊プラットフォーム「エアビーアンドビー」は2月28日、ウクライナから国外に避難する人々に対し、短期宿泊支援の提供を発表。同社経営陣らは、ポーランド、ドイツ、ハンガリー、ルーマニアの政府に対し、同社が各国で宿泊支援を提供する準備があるとの書簡を送付したという。

 エアビーに関しては、同社主導の支援だけでなく、プラットフォームを介したユーザー主導による支援も広がりを見せている。ユーザーらは、ウクライナ国内の民泊提供者に対し、予約と支払いだけを行い、資金援助を行っているのだ。CNAが伝えたAFPによる3月8日時点の情報によると、2月末週の2日間だけで、6万1000泊分の予約がなされ、計190万ドル(約2億2179万円)が支払われた。

 一方、配車大手ウーバーは、避難民に対しウクライナ・ポーランド国境からポーランド各都市への無料送迎支援を発表したとCNBCが報じた。フレベンネやドウホビチュフなどポーランド側の国境沿いにある町から、最寄りの主要都市ルブリンやジェシュフまでの送迎を提供するという。これら国境沿いの町からルブリンやジェシュフまでのルートは100キロを超える距離。たとえば、ドウホビチュフからルブリンまでの距離は145キロに及ぶ。

【次ページ】エストニアのスタートアップアクセラレーターによるウクライナ支援

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