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  • 2022/05/13 掲載

【独占】樋口真嗣監督に聞く、庵野秀明氏とシン・ウルトラマンで目指す「断絶の解消」

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日本中の映画ファンを熱狂させた『シン・ゴジラ』から6年。庵野秀明氏とタッグを組んで新作『シン・ウルトラマン』を完成させた樋口真嗣監督。樋口監督といえば特撮映画の牽引者として知られているが、本作の制作を通じて「どれだけCG技術が向上してクオリティーが上がったとしてもそれだけではダメだ」と身にしみて感じたと語る。国民的キャラクター「ウルトラマン」をリブートするにあたって、庵野氏と樋口監督がたどり着いた表現とは。いよいよ全国公開を迎えた『シン・ウルトラマン』の制作の裏側と狙いについて樋口監督がビジネス+ITの単独インタビューに答えた。

企画:林 裕人、聞き手・執筆:川原田剛、聞き手:松尾慎司、写真:大参久人

企画:林 裕人、聞き手・執筆:川原田剛、聞き手:松尾慎司、写真:大参久人

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映画監督 樋口真嗣(ひぐち・しんじ)氏
1965年生まれ。東京都出身。高校卒業後、『ゴジラ』(1984年)で特殊造形に関わったことがきっかけで映画業界に入る。その後、庵野秀明氏らが設立したガイナックスに参加。95年公開の『ガメラ 大怪獣空中決戦』などの“平成ガメラ三部作”で特殊監督を務め、2005年に『ローレライ』で監督デビュー。以降、『日本沈没』(06年)、『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(08年)、『のぼうの城』(12年)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(15年)などの話題作で監督を務め、『シン・ゴジラ』(16年)では日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞

ウルトラマンをきっかけに出会った「庵野秀明」

 庵野さんは学生時代に自ら演じたウルトラマンの自主制作の8ミリ映画『DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン』(1983年)の監督をし、全国各地の自主映画上映会で上映していました。僕は制作には関わっていませんが、東京でも上映会をするという話を聞きつけ、その時にお客さんの1人として見に行き、庵野さんと初めて出会いました。

 それから長い月日が流れ、2人で『シン・ウルトラマン』の制作に携わることになりました。もちろん、純粋にうれしい気持ちはありますが、僕らがやらせていただける時期になったのかという感慨深い思いが強いです。

 もし自分たちがもっと前にウルトラマンの映画をつくりたいと言ったとしても、おそらく今回のような規模でつくらせてもらえないので、実現しなかったと思います。

 前回、2人で『シン・ゴジラ』(2016年)を制作しましたが、自分たちが年齢とキャリアを重ね、円谷プロダクションさんから「じゃあ、やってみましょう」と言っていただけるだけの機が熟したということだと思います。

 『シン・ウルトラマン』では庵野さんが企画・脚本・総監修、僕が監督として制作現場を担当しました。庵野さんはウルトラマンを始めとするキャラクターやメカなどのデザインコンセプトなどはこうしたいというビジョンがあるので、彼のアイデアを取り入れる形で制作を進めていました。

 庵野さんのほうが僕よりも5年も早く生まれていますし、初代ウルトラマンの本放送(1966年7月から1967年4月までTBS系列で放送)をリアルタイムで見て、それが記憶に刷り込まれています。ウルトラマンに対する愛情は深いし、ウルトラマンについてもより深く理解していますから、そこは正直、追いつけない部分があります。

 僕は世代的には『帰ってきたウルトラマン』(1971年4月から1972年3月にTBS系で放送)なので、庵野さんのウルトラマンに対する愛の深さを素直に映画に取り入れています。

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ウルトラマンの美しさも『シン・ウルトラマン』の見どころ。こだわり抜いたという表現については後述する

初代版と現代人の“断絶”を解消することが自分の役割

 ただ、当時のウルトラマンをそのまま見せても、今を生きている子どもたちや、初見の人たちにとっては、初代ウルトラマンは過去の物語なんです。僕らが子どもの頃に見ていた時は未来の話でしたが、現代は初代の舞台となった未来を追い越してしまっています。

 たとえば情報の伝わり方にしても、初代では科学特捜隊のバッジのアンテナを伸ばすと通話ができるのですが、今はそれを超えるガジェットが現実社会に浸透しています。初代は昭和の人たちが創作した未来の話になっていて、そこで現代との間にどうしても断絶が生まれてしまう。それは『シン・ゴジラ』をつくった時にも同じように感じました。

 僕たちは初めてウルトラマンをテレビで見た時にとても影響を受けました。しかし、今の人たちにも同じような気持ちになってほしいと思っても、なかなかうまくいきません。そういうもどかしい気持ちがずっとあって、それを解決するためには今の人たちの感覚に合うようにつくるのが一番良かったのかなと、最近感じています。

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ウルトラマンを初めて見た時、心を動かされたと振り返る樋口監督

【次ページ】最新技術も使って試行錯誤した結果、たどり着いた表現

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