• 会員限定
  • 2022/07/07 掲載

緊急事態宣言後でも「テイクアウトで1カ月2,500万円達成」、某焼肉店は何を仕掛けた?

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
コロナ禍以降、大きく減速した飲食店もあれば、コロナ前の売上を超えるほどのV字回復を果たした飲食店もあります。両社の差はどこにあるのでしょうか。今回は、緊急事態宣言直後にも関わらず、コロナ前の売上超えを達成したある焼肉店の事例をもとに、飲食店が取り組むべきマーケティングについて解説します。

執筆:スリーウェルマネジメント 代表 三ツ井創太郎

執筆:スリーウェルマネジメント 代表 三ツ井創太郎

日本フードビジネス経営協会代表理事。飲食企業で店長、SV、事業統括の経験を経た後、2011年に東証一部上場のコンサル会社である船井総合研究所に入社。飲食コンサルティング部門のリーダーとして数多くの飲食店支援を行う。2016年飲食店特化のコンサルティング会社、スリーウェルマネジメントを設立。「飲食店オーナー様に徹底的に親身なサポートを!」を理念に、個人店から大手チェーンまで日本全国の飲食店へ支援を行う傍ら、テレビのコメンテーターや行政、金融機関と一体となった飲食店支援も行う。著書「V字回復を実現する! あたらしい飲食店経営35の繁盛法則 」はアマゾンの外食本ランキングで1位を獲得。

photo
緊急事態宣言直後にも関わらず、コロナ前の売上超えを達成したある焼肉店の事例をもとに、飲食店が取り組むべきマーケティングの手法について解説します
(Photo/Getty Images)

倒産リスクが高すぎる江戸時代の「経営立て直し方法」

 江戸時代は火事が非常に多く、2~3年に一度大火事に見舞われる地域もありました。商人たちは、火事が起きると高額な商品よりも「顧客台帳」を優先して持って逃げたそうです。そして、火事が納まった後に顧客台帳を見ながら「馴染み客」の自宅を訪ねて自身の無事と営業再開の挨拶をしていきました。

 こうした挨拶の中で馴染みの顧客が来店や購買を増やしてくれ、少しずつ商売を復興させていったそうです。また、江戸時代には2~3年ごとに大火を繰り返していた地域もあり、せっかく火事から復興してもまた2年後に店が全焼することも珍しくありませんでした。繰り返す“経営危機下”において「顧客台帳」を持っていない店舗は次々と廃業に追い込まれていったようです。

 現代の飲食店経営においても「江戸の大火」の教訓は役に立つと考えています。商売において最も重要なのは「馴染みの顧客」です。そして「馴染みの顧客」に対して、「自店のコンテンツ」を“迅速”かつ“ダイレクト”に届けるために必要になるのが“顧客台帳”というわけです。

 現代における顧客台帳とは、当然ながら江戸時代のような紙の台帳ではなく、デジタルデータによる顧客台帳になるでしょう。私はこれらを総称して「デジタルアドレス」と呼んでいます。

画像
江戸時代から変わらない? 不景気を乗り越えるために「顧客台帳」が超重要なワケ
(Photo/Getty Images)

小規模事業者にもマーケティングが必須と言えるワケ

 中小企業でも有効活用ができるデジタルアドレスの例としては、(1)LINE公式アカウント(旧LINE@)、(2)メールアドレス、(3)SNS(Instagram、Twitter、Facebookなど)、(4)顧客の住所・氏名・電話番号などが挙げられます。

 もちろん個人情報保護法などには留意した上での取り組みとなりますが、これからはデジタルアドレスをフル活用したマーケティングに力を入れていくことが重要です。こうした戦略は何も大手企業だけの戦略ではありません。

 実際に、デジタルマーケティングを活用したことで、コロナ禍でも前年売上を超えている飲食店はいくつもあります。さらに言うと、江戸時代に顧客台帳を持っていないお店が次々と廃業をしていったように、これからの時代においても顧客のデジタルアドレスを保有・蓄積していない飲食店はかなり集客に苦戦することになるでしょう。

 「うちのお店はデジタルを活用した集客は必要ない!」と考える飲食店経営者の方もいるかと思いますが、大切なのは皆さんがどうしたいということだけではなく、「顧客がどうやって自身の店舗を探すのか」という視点で考えることです。それは、顧客の飲食店選定におけるデジタル化が進んでいく中では、どうしてもデジタルマーケティングを実施している店舗に顧客をとられてしまうことになるからです。

 ここからは、デジタルアドレスを活用した情報発信によって、緊急事態宣言下でも高い売上を達成した焼肉店の事例を解説します。

【次ページ】焼肉店の事例:緊急事態宣言直後でも2,500万円達成の秘密

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

ECサイトのSEO戦略 - CMS別の特徴も解説 -

今回のセミナーは、『ECのSEO』がテーマです。 24年6月より、国内EC大手の楽天市場が基本出店料を値上げするニュースが話題となるなど、自社ECの強化による収益性の改善に取り組みたいと考えている事業者様も多いのではないでしょうか。 また、Web 広告における重要なデータ サードパーティーcookie も24年内に主要ブラウザで廃止が予定されており、Web広告の効率の悪化も懸念されています。 「アプリやECなどの自社への会員登録をECサイトで増やし、マーケティングを強化したい」という事業者様も多いかと思います。 このようなお悩みを抱えている方において、主要ウェブチャネルである検索エンジンとの接続や、顕在的な顧客の獲得においてSEOは有力な解決手段となり得ます。ただし、ECのSEOは適切な戦略を見定めることが非常に重要となります。 「検索回数が多い、ユーザーがよく検索するワードで上位獲得したい」と思っても、超大手ECサイト・ナショナルブランドECサイトが立ちはだかり、簡単には上位獲得できないケースが多いです。 また、「ブランドイメージを壊さない範囲でしか実装ができない」といった制約により、対策方法が定まらず、前に進めないケースも多いです。 自社ECでは、このようにキーワード戦略やターゲティングの設定、および実行力の部分が他業界のSEOよりも高難易度となります。 今回は、SEO観点でサイトのタイプを定義した上で、それぞれのパターンにて陥りがちな問題や、それらを解消する有効なSEOの方針を解説します。 また実際に上記の戦略や制約に沿って実装した施策や、アプリとの接続性などの観点で近年、お問い合わせが増えているCMSについても、簡単に解説します。 ご参加いただいた方には、ユーザー目線のサイト作りをサポートする「インデックス率チェックシート」をご用意していますので、ぜひご参加ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます