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  • 2022/07/07

ローコード開発による「悪夢の再来」、ベンダー・ロックインや技術的負債にどう対応?

年を追うごとに利用が広がるローコード開発。ただし、そこにはリスクも存在する。その開発手法から、ベンダー・ロックインの状況に陥りやすいこともその1つ。また、いわゆる技術的負債の問題に直面しやすいことなどもある。Gartner Distinguished VP AnalystのJason Wong氏が、ローコード開発による「悪夢の再来」とその回避方法を解説する。

執筆:フリーライター 岡崎勝己

執筆:フリーライター 岡崎勝己

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ローコード開発でかつての悪夢が再来する
(Photo/Getty Images)

ローコード開発で「悪夢が再来」するか

 アプリ開発における近年のトレンドの1つが、GUIによる作業で開発工数と期間を格段に削減でき、多様な現場の知見を取り込んだ市民開発も促進させるローコード開発の採用だ。競争が激化する中でのITによる新たな価値創出策として、今ではDXと一体として語られることも少なくなくなった。


 「ただし、キャリアの長いIT担当者であれば、悪夢の再来を予感している方も多いことでしょう」と語るのは、Gartner Distinguished VP AnalystのJason Wong氏だ。ローコード開発はここにきて急に生まれたものではなく、「高速アプリ開発」などの名称で、かつてから試行が繰り返されてきたものであることは周知のとおり。

「それらの“弊害”は決して小さくありませんでした。多くがベンダー・ロックインに陥り、改修の困難さから何年もそのままの継続利用を余儀なくされ、イノベーション創出も阻まれました。これらを理解していれば、ローコード開発にも同様の不安を覚えるのは当然のことです」(Wong氏)

 Wong氏によると、ローコード開発にはいまだ3つのリスクが残されているのだという。「ベンダー・ロックイン」「技術的な負債」「セキュリティ」がそれだ。

 まず、ベンダー・ロックインに関してWong氏は次のように解説する。

 ベンダーの多くは現状、自社のローコード開発基盤について、ベンダー・ロックインが生じないと謳っている。根拠は(1)主にクラウド環境のローコード開発基盤上のアプリが、他のテクノロジやアプリとAPIを介して容易に連携できること、(2)ローコード開発基盤がJavaやC#などの標準ベースの言語やオープンソースのコンポーネントで構成されていること、(3)コンテナ技術の採用を通じ、オンプレミスやクラウドなどの稼働場所を選ばないこと、の3つだ

複雑化回避のためカスタマイズはアプリ外で

 だが、「現実問題として、成果物であるビジネスロジックやUI、さらに利用で生じたデータの移行は、現状でも決して簡単ではありません。リライトやプラットフォームの再構築を余儀なくされ、少なからぬ手間とコストを要します」とWong氏は指摘する。

 また、構築済みのアプリについて、多くの開発基盤ではライセンス料の支払いをやめた後も継続利用こそ可能だが、改修は当然行えないこともベンダー・ロックインを招いているという。

 これらを踏まえ、Wong氏がベンダー・ロックインの問題回避に向け必要性を訴えるのが次のような取り組みだ(図1)。

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図1:ベンダー・ロックインを回避するには、ライセンスモデルの確認や別のDBの用意、アプリ外のカスタマイズがポイントになる
(出典:Gartner(2022年6月))

 まずは、できる限りの継続利用に向けた、ライセンス・モデルの開発規模や使用頻度の観点からの確認だ。開発を予定するアプリに不釣り合いであれば当然、採用を取りやめ別のツールを検討する。

 また、アプリ開発時にはローコード開発基盤に用意されているものとは別のDBを利用することだ。これにより開発基盤の変更にも、それだけ容易に対応できるようになる。

 そのうえで、開発基盤上での大規模なカスタマイズをできる限り避けることも大切だという。

「運用の過程でアプリの改修は必ず生じます。そこでのシステムの複雑化により、移行が困難な状況に陥ることを回避するためにも、カスタマイズ時はシステム統合やフロントエンドのカスタム開発をサポートするAPIなどの拡張機能を使用し、アプリの外で対応を図るべきです。別の基盤上で開発したアプリと個別に連携させるのも1つの手です」(Wong氏)

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