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  • 2022/10/07 掲載

史上初の減収…大ピンチ「メタ」が描く逆転戦略、カギは“対TikTok機能”と“AI活用”

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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Facebookを運営する米メタ・プラットフォームズが、2004年の創業以来最大の危機に陥っている。2022年4~6月期の売上高は四半期ベースで初の減収となった上、中国バイトダンスが運営するTikTokなどのライバル企業と比べても人心離れが目立つ。こうした中でメタは、InstagramにTikTokライクな機能「Reels(リール)」を追加したり、メタバースサービスの「Horizon Worlds」を新展開している。メタは、こうした苦境にどのような逆転戦略を持って対処しようとしているのか。

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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TikTokなどのライバルと比べても人心離れが目立つメタは初めて減収となった。どのような戦略を持ってこの苦境に立ち向かうのか
(写真:ロイター/アフロ)

IT業界と投資家が注視する「2つの関心」と「その答え」

 メタは、四半期ベースにおいて、同社史上初の前年同期比の売上減少を記録した。こうした今、米IT業界や投資家の関心は、「前身のフェイスブック時代を含め、驚異的な成長を遂げてきたメタは、この先10年間も成長を続けられるのか」「そのために同社が打つ手は的確なのか」という2点に集中している。

 これらの問いに答えるためには、メタが何をする会社であるかを明確にしておく必要がある。同社は近年、改名後の社名の由来となったメタバースに傾注しており、「ソーシャルネットワーキング企業から別形態に脱皮しつつある」との認識が広まっている。

 だが、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)が7月27日のアナリスト向けカンファレンスで明言したように、メタのアイデンティティーは人や企業をつなげるSNSプラットフォームであり、その主な収益源は広告だ。この基本構造は、主戦場がソーシャルメディアからメタバースに移行しても、変わらない。

 メタが手掛けるメタバース「Horizon Worlds」は、同社が運営するソーシャル空間であり、ユーザーの好み・習慣・交友ネットワークなどの豊富なデータが、参加者同士の交流から得られる。そのHorizon Worldsでクリックされる広告収入はメタに入る。メタバースは、新たなソーシャルメディアの一形態にすぎない、というのがメタの解釈だ。

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メタが手掛けるメタバースのHorizon Worlds。ユーザーの好みや習慣といった豊富なデータを得られる
(出典:メタ プレスリリース

 それゆえに、同社のこれからの成長を占うポイントは、その新旧SNSの将来性と収益性となる。

TikTokにも抵抗できず? 成長鈍化で苦境のメタ

 だが、最近のメタには暗いニュースが多い。まず、各傘下ブランドにおけるユーザー数の増加は続いているものの、その伸びの鈍化が定着している。さらに、同社の旗艦プラットフォームであるFacebookやInstagramでは、ユーザーの高齢化が報告されている。

 一方、動画投稿アプリの「TikTok」を運営する中国バイトダンスは若年層の心をつかみ、2020年の総売上高が前年比2倍超、2021年は70%増を記録するなど躍進を遂げた。しかし、2020年にトランプ元大統領がTikTok規制の大統領令を発し、2022年6月には米連邦通信委員会(FCC)がアップルとグーグルに対してTikTokをアプリストアから削除するよう要請するなど、TikTokへの逆風の影響を受け始めていることが指摘されている。

 SNS企業による競争が激化する中でも、メタはTikTokに対する効果的な対抗サービスを確立できていない。究極のソーシャルな空間としてメタが開発をリードするメタバースも、いまだ草創期にある。こうした中でメタの広告売上の成長は減速している。ではメタはこの先どのような成長戦略を描いているのか。

【次ページ】数千億ドル級の売上に? 「対TikTok機能」と「AI活用」の打開策

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