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  • 2022/09/07 掲載

ダイソーとラウンドワンが米国で大人気のワケ、共通する「3つの成功ポイント」とは

連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤

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大手100円ショップチェーンのダイソーが7月にニューヨーク市マンハッタンで初の店舗をオープンし、行列ができたことが米国や日本のメディアで話題となった。ほかにも、ボウリングやアミューズメントなど複合レジャー施設を運営するラウンドワンは2010年に1号店をオープンし、現在では米国で46店舗を構えるなど、好調な事業として規模拡大を続けている。日本市場の成長が頭打ちとなる中で積極的な米国進出が成功した両社の共通点とは何なのか。両社の米国における堅調さから学べる要素をまとめてみた。

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

執筆:在米ジャーナリスト 岩田 太郎

米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

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ダイソーとラウンドワンはなぜ米国で受け入れられたのか。米国進出に成功した両社の共通点とは何かを探る
(写真:西村尚己/アフロ)

米国版100円ショップが人気沸騰、その「2つの理由」とは

 米国のインフレはガソリン価格の急落でやや落ち着きを見せ始めたものの、消費財や食品の値段が高止まりし、全体的には歴史的な水準にある。そうした中、ダラーゼネラルやダラーツリー、ファミリーダラーなど、米国版100円ショップの「ダラーストア」の人気が高まっている。

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米国のインフレが歴史的な水準で推移する中、米国版100円ショップの「ダラーストア」の人気が高まっている
(Photo/Getty Images)

 米調査企業GlobalDataのニール・ソーンダース専務は8月11日付の小売業界サイト「リテールワイヤー」で、「中間層の買い物客は、多くの消費をダラーストアに移している。理由は2つあり、1つは支出を切り詰められること。もう1つはダラーストアが市街地あるいは過疎地に出店しており、買い出しのガソリン代が節約できることだ。ウォルマートなど郊外に立地するスーパーマーケットでの買い物は、燃料費が高くつく」と解説している。

 米CNNビジネスも6月8日付の記事で、「リーマン不況以来、米3大ダラーストアは、そのほかのどの小売業者よりも早く成長し、店舗数を伸ばしてきた。また、品ぞろえを拡充することで、一般のスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニから客を奪ってきた」と指摘した。

 ダラーゼネラルにおける2022年4~6月期の売上高は前年同期比9%の上昇。さらには、ダラーツリーが6.7%伸びた。

 この背景には、インフレによる消費者の「下方移動」現象がある。たとえば、低所得層の顧客が多い米ウォルマートのジョン・レイニー最高財務責任者は8月16日のアナリスト向け会見で、「4~6月期には、より高収入の消費者が(インフレの影響で)弊社の店舗において買い物をするようになった」と語っている。そして、同様の理由により、一部のウォルマート顧客がダラーストアに流出しているようだ。

 インフレが高進する中で、各ダラーストアはコスト高騰を理由に値上げを実施したが、それでも売上は減るどころか伸びている。時代が、ダラーストアに有利な環境を作り出したと言えるだろう。

 このような消費者の下方移動が進む米国だが、米政府の新型コロナウイルス給付金が終了して1年以上が経過している。ダラーストア訪問の目的が「自由に使える支出」から「少しでも安い食品や消費財の購入」に変化してきたと、米経済専門局のCNBCが報じた。

 物価上昇のペースが賃金の伸び率を上回り、多くの労働者で実質上の収入が減少する中、「ショッピングを楽しむ余裕」がなくなってきたように見える。

破産した「無印良品」と年15店舗超オープンする「ダイソー」の違いとは

 こうした中、ダイソーを運営する大創産業は、7月末現在で米国に83店舗を展開。2006年に始まった米国事業を統括するDaiso Californiaの高尾 智洋社長は、日本貿易振興機構(JETRO)の7月のインタビューに「当社は売り上げ増を維持できている」と答え、米国事業の好調さをアピールした。今後も西海岸や東海岸を中心に年間15店舗以上のオープンを目指しており、さらなる成長が期待できそうだ。

 ダイソーが米国で好調であるのは、インフレによるダラーストアへの追い風はもちろんのこと、家計を切り詰める米国人の心にうるおいを与える付加価値の提供が背景にあると思われる。つまり、予算の制約を受ける消費者にアピールする大きな魅力があるということだ。

 事実、米ブルームバーグは、ダイソーのマンハッタン1号店のオープンを伝えた7月21日付の記事で、「今までは無印良品で買い物をしていたが、安いのでこれからはダイソーに乗り換える」とのニューヨークっ子のコメントを報じた。

 大手雑貨・アパレルショップの「無印良品」を展開する良品計画の米国子会社MUJI U.S.A.はコロナ禍で行き詰まり、2020年7月に連邦破産法第11条(日本の民事再生に相当)の適用を申請。ハリウッドの旗艦店などカリフォルニア州の全店舗を閉鎖し、現在は規模を縮小してニューヨーク、ボストン、ポートランドなどでほそぼそと営業を継続している。しかし、現地の消費者からは、値付けが依然として高いとの声が上がる。

 その点においてダイソーは、クオリティーにこだわる無印良品へのアンチテーゼだ。米企業向けの日本市場に関するコンサルティングを提供するJapanConsumingのロイ・クラーク共同創業者は同記事で、「人々がダイソーで買い物をするのは、品質へのこだわりがないからだ」と看破する。

 ブルームバーグの記事はさらに、「ダイソーの商品は無印良品と比較するとはるかに安く、消費財や文具、化粧品、スナック菓子の基本価格は1ドル99セント(約270円)からと、ダラーストアに似ている」と指摘する。

【次ページ】ダイソーとラウンドワンの「3つの共通点」

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