• 2025/12/10 掲載

NEC、警察・消防の指令室支援に向け「Agentic AI」活用の次世代システムを開発

緊急通報からの聞き取り → 状況把握 → 判断 → 指令発出をAIが自律支援

ビジネス+IT

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NECは、警察・消防などの緊急通報を受ける指令室業務において、通話内容のリアルタイム解析から状況判断、行動提案までを支援する「Agentic AI」技術を開発したと発表した。これにより、熟練オペレーター不足や応答品質のばらつきなどの課題に対応する狙いである。
この技術の核となるのは、同社が開発した「Agentic AI」と呼ばれるエージェント型AIの仕組みである。Agentic AIは単なる音声の文字起こしやキーワード抽出にとどまらず、通報者との会話内容をリアルタイムで解析し、文脈を深く理解。通報内容から事故や事件の種類、緊急度、必要な対応などを判断し、「次にとるべき行動」を提案する。これにより、人間の熟練オペレーターが通常行う「聞き取り → 状況把握 → 判断 → 指令発出」という一連の流れをAIが支援可能とする。



特に、緊迫した通報や混乱した状況下でも、誤情報の混入や会話の途中変化に対応しながら、安定した精度で内容把握できる点が強調されている。これにより、オペレーターの精神的・知識的負荷を軽減し、応答の速度と正確性を両立することが期待される。

加えて、この技術はマルチ言語対応およびグローバルでの展開を視野に設計されており、EU AI法 等の各国の規制や基準への適合が可能なアーキテクチャが採用されている。したがって、日本国内だけでなく国際的な緊急通報対応やコンタクトセンターなど、幅広いユースケースへの適用が見込まれている。



NECは本技術について、指令室のオペレーター育成に要する時間やコスト、熟練人材の確保といった構造的な課題の解消につながると説明。さらに用途に応じてAgentic AIを選択・チューニングできるため、将来的には企業のカスタマーサービス窓口やコンタクトセンターでの応用も可能とした。

また、今回の発表の場となったNEC Innovation Day 2025 では、Agentic AIを含む最新技術やソリューションが展示され、緊急通報指令室支援のデモンストレーションも行われた。

このように、NECのAgentic AIによる次世代指令室支援技術は、通報から行動決定までの一連の流れをAIが支援することで、オペレーターの負担軽減、応答品質の安定化、国際展開の柔軟性などを目指すものであり、今後の警察・消防業務、さらにはカスタマーセンター業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)における重要な技術基盤となる可能性がある。

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