• 2021/07/13 掲載

理研・国立情報学研・NICTなど、「富岳」を使ったゲリラ豪雨予報の実証実験を開始

理研、国立情報学研、NICT、阪大、エムティーアイ

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 理化学研究所(理研)計算科学研究センター データ同化研究チームの三好建正チームリーダー、雨宮新特別研究員、運用技術部門システム運転技術ユニットの宇野篤也ユニットリーダー、情報・システム研究機構 国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系の石川裕教授、情報通信研究機構 電磁波研究所電磁波伝搬研究センター リモートセンシング研究室の佐藤晋介総括研究員、大阪大学大学院工学研究科の牛尾知雄教授、株式会社エムティーアイライフ事業部気象サービス部の小池佳奈部長らの共同研究グループ(※)は、2021年7月20日から8月8日までと8月24日から9月5日までの期間、スーパーコンピュータ「富岳」[1]を使い、首都圏において30秒ごとに更新する30分後までの超高速高性能降水予報のリアルタイム実証実験を行います。

 本研究は、近年増大する突発的なゲリラ豪雨[2]などの降水リスクに対して、「富岳」上の仮想世界と現実世界をリアルタイムにリンクさせることで、「富岳」の高度な利用可能性を切り拓き、超スマート社会 Society 5.0[3]の実現に貢献するものと期待できます。

 共同研究グループは2020年に、さいたま市に設置されている情報通信研究機構が運用する最新鋭のマルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MPPAWR)[4]による30秒ごとの雨雲の詳細な観測データと、筑波大学と東京大学が共同で運営する最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC)のスーパーコンピュータOakforest-PACS[5]を用いて、首都圏において30秒ごとに新しいデータを取り込んで更新し、30分後までを予測する実証実験を行いました。

 今回は、2021年3月に共用を開始した「富岳」を使うことで、前年よりも20倍大きな1,000通りのアンサンブル計算[6]を行います。また、システム全体を改良し、30秒ごとに更新する解像度500mの気象予測をリアルタイムで行います。このリアルタイム予報は世界唯一の取り組みで、研究に着手した2013年10月以降のさまざまな成果の集大成です。さらに、「富岳」のリアルタイム利用は初めての試みで、超スマート社会 Society 5.0の実現に向け、「富岳」の新しい活用方法を切り拓きます。

 実証実験で得る予報データは、気象業務法に基づく予報業務許可のもと、理研の天気予報研究のウェブページ( https://weather.riken.jp/)および株式会社エムティーアイのスマートフォンアプリ「3D雨雲ウォッチ」( https://pawr.liferanger.jp/)で7月20日正午から公開します。

 ただし、この予報は試験的に行うものであり、実用に供する気象予報に十分な精度や安定した配信環境が保証されたものではなく、利用者の安全や利益に関わる意思決定のための利用には適したものではありません。

1.スーパーコンピュータ「富岳」
スーパーコンピュータ「京」の後継機。2020年代に社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAIの加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータとして2021年3月に共用を開始した。

2.ゲリラ豪雨
予測が困難で、不意を突いて急に局地的に降る大雨を比喩して、「ゲリラ豪雨」と呼ぶ。学術用語ではないため、定量的・客観的な定義はない。

3.超スマート社会Society 5.0
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱された。

4.マルチパラメータ・フェーズドアレイ気象レーダ(MP-PAWR)
内閣府のSIP「レジリエントな防災・減災機能の強化」の施策として、情報通信研究機構をはじめとする研究グループが世界で初めて開発した。MPレーダの高い観測精度とフェーズドアレイ気象レーダの高速(およそ30秒)で3次元観測性能を併せ持ち、長期にわたる降雨の連続観測も可能である。

5.スーパーコンピュータOakforest-PACS
筑波大学計算科学研究センターと東京大学情報基盤センターが共同運営する、最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC:Joint Center for Advanced High Performance Computing)の共同利用スーパーコンピュータシステム。米国Intel Corporationによる超高性能メニーコア型プロセッサである次世代インテル Xeon Phi プロセッサと、インテル Omni-Path アーキテクチャを搭載した計算ノードを、8,208台搭載した国内最大規模の超並列クラスタ型スーパーコンピュータ。

6.アンサンブル計算
アンサンブル計算では、誤差の範囲内にある複数のシミュレーションを実行して、同等に確からしい「パラレルワールド」を作り、ばらつき(不確実性)を表現する。例えば、1,000個のアンサンブル計算では、1,000個の独立なシミュレーションを並行して実行する。アンサンブルとは、フランス語で「一緒に」「一揃い、全体」の意味。

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