- 2022/01/07 掲載
NEDO、「燃料アンモニアのサプライチェーン構築」に着手
1.グリーンイノベーション基金事業について
日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする目標を掲げました。この目標は従来の政府方針を大幅に前倒しするものであり、実現するにはエネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションなど現行の取り組みを大きく加速させる必要があります。このため、経済産業省は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に総額2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業などを研究開発・実証から社会実装まで10年間継続して支援するグリーンイノベーション基金事業を立ち上げました。
なお、NEDOは本基金事業の取り組みや関連技術の動向などをわかりやすく伝えていくことを目指し、「グリーンイノベーション基金事業 特設サイト(※1)」を公開しています。
2.本プロジェクトの背景
本基金事業はグリーン成長戦略(※2)で実行計画を策定した重点分野を支援対象としており、その一つとして「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」が挙げられています。アンモニアは水素と同様に燃焼時にCO2を排出しないことから、カーボンニュートラルの実現に向け発電や船舶などに用いる脱炭素燃料として期待されています。特に発電用途では従来の化石燃料をアンモニアに代替し、火力発電の脱炭素化を進める効果が見込まれています。またアンモニアは水素を含むことから水素キャリアとしても利用可能であり、既存のインフラを活用して安価に製造・輸送できる特長があります。このため燃料としてのアンモニアへの注目は世界的に高まっており、今後はアジアを中心に需要が急拡大していくと予測されています。
しかし、アンモニアを燃料として活用するには製造・供給の高効率化や低コスト化だけでなく、供給の安定化や利用拡大に向けた技術的な課題を解決していく必要があります。また、発電利用においては、アンモニア着火・燃焼の安定性、NOx及び未燃アンモニア対策などの課題がありました。これらを踏まえNEDOは、経済産業省が策定した研究開発・社会実装計画(※3)に基づき、このたび「燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト(※4)」の公募を行い、5テーマを採択しました。
※1 グリーンイノベーション基金事業 特設サイト(https://green-innovation.nedo.go.jp/)
※2 グリーン成長戦略:日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦を、経済と環境の好循環につなげるための産業政策として、2021年6月18日に経済産業省が関係省庁と連携して「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しました。
※3 研究開発・社会実装計画:グリーンイノベーション基金の適切かつ効率的な執行に向けて、経済産業省においてグリーンイノベーション基金で実施する「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」プロジェクトの内容を「研究開発・社会実装計画」として策定しました。(https://www.meti.go.jp/press/2021/09/20210914003/20210914003.html)
※4 燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクト:プロジェクト概要(https://green-innovation.nedo.go.jp/project/building-fuel-ammonia-supply-chain/)
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