- 2022/02/03 掲載
ローム、電源ICの応答性能を追求できる電源技術「QuiCur(クイッカー)」を確立
ローム株式会社(本社:京都市)は、DC/DCコンバータICをはじめ、各種電源ICの負荷応答特性(*1)(以降、応答性能。後段回路が動作した際の応答速度と電圧安定度)を向上させる新しい電源技術「QuiCur(TM)(クイッカー)」を確立しました。
電源ICは、安定した電源機能を実現するために常に出力電圧を監視しており、IC内部の基準電圧と比較することで出力電圧を微調整する回路(以降、帰還回路)が搭載されています。この帰還回路が、より素早く応答できれば、入力電圧や負荷電流(*1)などの変動に伴って発生する出力電圧の変化を短い時間で元に戻すことが可能になります。一方で、あまりに早く応答させようとすると回路動作が不安定になり出力電圧が発振するうえ、出力コンデンサの静電容量(以降、出力コンデンサ容量)によっても応答速度に影響を受けるため、狙い通りの応答性能を実現するのは困難でした。
今回開発した高速負荷応答技術「QuiCur(TM)」を電源ICに搭載すれば、電源ICの帰還回路において、不安定にならない極限までの応答性能を狙い通りに実現することができます。電源ICに必要な出力コンデンサに対して、静電容量を最小限に抑えて部品点数や基板実装面積を削減可能にするだけでなく、静電容量と出力電圧変動の線形(定数が負の比例関係)な調整を可能にしたことで、仕様変更に伴う静電容量増大時でも簡単に期待する安定動作を実現可能です。このため、部品点数と安定動作の両面から、電源回路設計工数の大幅削減に貢献します。
現在、この「QuiCur(TM)」技術を搭載した電源ICの製品化を進めており、2022年4月にDC/DCコンバータIC、2022年7月にリニアレギュレータのサンプル出荷を開始する予定です。
<背景>
近年、あらゆるアプリケーションの電子化が進んでおり、電子部品搭載数の増加に伴って、アプリケーションの設計工数も増大しています。そのなかで、電子回路の安定化など、非常に多くの場面で活用されるコンデンサの使用数を低減したいという要望が増えています。また、電源回路においては、仕様変更時の設計工数を削減するために、応答性能に優れ、期待する安定動作を実現できる高品質の電源ICが求められるようになっています。
ロームは、電源ICへの基本要求と言えるこれらの課題を解決するために、電源ICの応答性能を極限まで追求可能にする高速負荷応答技術「QuiCur(TM)」を確立しました。
*1)負荷応答特性(負荷過渡応答特性)、負荷電流
電源ICから見ると、マイコンやセンサなど後段の電子回路はすべて「負荷」と考えることができる。この負荷が動作した際に電流(負荷電流)が変動して、電源ICの出力電圧をドロップさせてしまう。負荷応答特性は、負荷電流の変動によりドロップした電圧を元に戻すまでの応答時間および電源としての安定度をさす。
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