- 2022/04/20 掲載
NTTデータ、旭化成とScope1, 2, 3を網羅した製品別CFP管理基盤を共同開発
昨今温室効果ガス排出量の管理ニーズが高まっており、工場など自社活動からのCFP(Scope1,2(注3))に加え、購入原料などに含まれる自社外のCFP(Scope3(注3))を網羅した総排出量の把握が求められ始めています。そのため、CFPの管理は工場別など自社内の管理に適した単位ではなく、会社間の管理に適した最終製品別の単位で行う必要が出てきています。さらには、把握したCFPのコスト金額を見極めて、CFPの少ない最新設備導入などの投資判断を行うことが今後必要とされています。
本基盤では、これらの課題を解消し、調達原料や外注加工のScope3を含む製造プロセス全体を網羅し、最終製品別のCFP算出を行うこと、また自社のCFPに価格を付ける「Internal Carbon Pricing(以下:ICP)」を活用してCFPを財務情報として数値化し、投資判断の指標として使うことができます。
今後、NTTデータは製造業を中心とした多岐にわたる業種に対し、本基盤の提供を含む温室効果ガス関連ビジネスで、2025年度末までに20件以上の受注を目指します。
■背景
昨今、SDGsをはじめとする社会課題解決への取り組みが重視されています。特に、近年増加する気象災害を背景に、気候変動への対応は、国際的な枠組みと合わせ、各企業は自社だけではなく業界全体を意識した取り組みが求められています。
こうした中、自動車OEMメーカーでは、サプライヤーにCFP削減目標値を提示する企業も出てきており、サプライチェーン全体でカーボンニュートラルに向けた動きが加速しています。旭化成をはじめとする素材メーカーにおいても、サプライチェーンの中で、上流メーカーから仕入れた原料に含まれるCFP(Scope3)に、自社の製造プロセスで発生したCFP(Scope1,2)を加えた累計排出量情報を、最終製品別に下流メーカーに提供する必要性が高まっています。また、下流メーカーからのCFP削減要請に応えるため、新規設備導入などの判断が迫られますが、企業がCFP削減の投資対効果を図る指標を持っていないことが多く、CFP関連の投資判断を迷うケースが出ています。
そこでNTTデータは旭化成とともに、最終製品別のCFPを管理・評価する基盤を開発し、2022年4月から旭化成の機能材料事業部で本格運用を開始しました。
注1 商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスの排出量を二酸化炭素に換算して定量的に算定したものを指します。旭化成で算定を行っているCFPはプロセス合算型データ(Cradle-to-Gate)の考え方に基づいたもので、旭化成の上流にあたる原料由来のものや輸送時に発生するもの、旭化成における製造プロセス上で発生するもの、また製造に使用される電力などのエネルギーに由来するものの合算値を指します。
注2 機能材料事業とは、旭化成のエンジニアリングプラスチックと呼ばれる機能性樹脂を中心とした製品群により構成される事業領域を指します。高耐熱性・高強度・難燃性などの高い機能を持つ樹脂製品を、自動車・電気電子部品・OA・太陽電池などのさまざまな用途に供給しています。
注3 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
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