- 2022/04/27 掲載
NTTコムとNTTデータ、データ主権を保護できるデータ流通プラットフォームを共同開発
データ流通に課題を持つ業界団体や企業とも共創し、カーボンニュートラルの達成、資源循環社会の実現、電力の安定供給などの実現に必要となるデータ流通の推進に取り組んでいきます。
■背景
カーボンニュートラルの達成や資源循環社会の実現などの課題解決が持続可能な社会をめざす上で広く求められています。その際に必要となるのが、企業や組織間で安全にデータを流通するための仕組みです。例えば、カーボンニュートラルの達成において、グローバルバリューチェーンのCO2排出量を算出するには、データが改ざんされることなく、信頼性が保証され、組織間で相互に排出量データを流通できる仕組みが必要となります。しかし、特定の国や地域のポリシーを反映したデータ流通プラットフォームを構築した場合、各国や地域の商習慣や法規制が異なるため、一部の国や地域での利用に限られ、相互にデータを流通させることが困難となることが想定されます。その解決策としてさまざまな企業や団体と連携し、相互にデータを流通できる仕組みの検討を進めています。
■注目される取り組みと課題
企業や組織間における安全なデータ流通を実現するために注目されているのが、欧州のデータ流通構想をまとめた「Gaia-X」です。ドイツの自動車メーカーやIT企業は、「Gaia-X」で提唱される主要な技術の1つである「IDS」(注5)を用いて、「Catena-X」をドイツ国内に構築しています。自動車業界の企業1,000社が相互かつ安全にデータを流通することが可能なプラットフォームであり、今夏にサービス提供を開始する予定です。
今後、ドイツの自動車関連企業と取引する日本企業も、「Catena-X」を利用したデータ流通を求められることが想定されます。しかし、日本企業が「Catena-X」でデータを流通する場合、欧州のポリシーでデータが管理されることになり、日本のポリシーでデータを保護することが困難になります。そのため、欧州のデータスペース(注6)と相互接続でき、日本のポリシーで安全にデータを管理できる仕組み(以下 本仕組み)を実現することが課題となります。
※1:「Gaia-X」とは、2019年10月にドイツ政府・フランス政府が発表した、セキュリティとデータ主権を保護しつつ、データ流通を支援するためのデータ流通構想です。NTT Comは「Gaia-X」の推進団体「Gaia-X European Association for Data and Cloud AISBL」に2021年より参加しています。
※2:これまでの取り組みについては、以下の報道発表をご参照ください。
・欧州「GAIA-X」のコア技術「IDSコネクター」と「DATA TrustR 」を具現化した「SDPF」を連携させるデータ流通の実証実験を開始(2020年9月)(https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2020/0928.html)
・欧州「GAIA-X」のコア技術「IDSコネクター」との相互接続を実現するプラットフォームを試作CO2排出量の算出を想定した製造ラインデータの国際間流通に成功(2021年4月)(https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2021/0408.html)
・欧州「GAIA-X」に対応し企業間の安全なデータ流通を実現する国際データ流通プラットフォームの日欧連携共同トライアルを開始(2021年10月)(https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2021/1014.html)
※3:「Catena-X」とは、ドイツの自動車メーカーやサプライヤーなどが運営し、部品情報などのデータを関係する企業間で安全に流通するプラットフォームです。NTT Comは、「Catena-X」の開発を推進する団体「Catena-X Automotive Network e.V.」に2022年3月より参加しています。
※4:ハードウェア暗号化技術(TEE)とは、CPUに備えられた暗号化機能で計算処理中のメモリの内容も含めて暗号化することによって、データ処理中の機密情報が他者から参照されることを防止する技術です。
※5:「IDS」とは、International Data Spaces Association(IDSA)が定めている技術仕様の体系です。
※6:データスペースとは、単一のポリシーで管理されるデータ空間です。
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