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- 2017/12/19 掲載
経費精算、調達・購買業務は「宝の山」、間接コストの削減に効く次世代BPOの全貌
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IBMが実践して絶大な効果! 真の改善に向けた先進的BPOサービス
この度開催された「間接業務の大幅なコスト削減を実現する IBM BPO/RPAセミナー」では、現在のBPOの潮流に加え、日東電工がグローバル経営インフラの礎をBPOで構築した理由なども解説された。まず日本アイ・ビー・エム GBS事業 コグニティブ・プロセス変革 アソシエイト・パートナー 購買リーダー 毛利光博氏が、IBM自身の例を挙げながら、経費精算、調達・購買業務の「真の改善」に向けたBPOサービスの概要について語った。
かつてIBMも購買の間接業務・間接材の統合はまったく進んでおらず、事業や地域、国ごとにバラバラの運用で、各拠点に個別の機能があった。そこで統合化を進め、IBM社内分約200億ドルの間接材を単一購買組織に集約、スケールメリットとBuying Powerをもって交渉できるようになった。 そのノウハウを活用し、現在ではBPO分も含めると世界トップクラスの約8兆円(714億ドル)の調達を実践中という。
「購買部門では300以上もあった拠点をわずか4つに統合し、世界標準の購買プロセスを導入しました。経理財務は、40%のオペレーションをオフショアに移管できました」(毛利氏)
この変革の過程で、IBMは自社の経験とノウハウを踏まえ、世界各国にBPOサービスのためのシェアード・サービス・センターを確立した。現在のところ、日本に関しては中国の大連と、フィリピンのマニラで業務支援が任されているという。
IBMがサポートする新たな「BPaaS」=BPO+SaaSとは何か?
伝統的なBPOはオフショアに業務を移管し、コスト削減と業務を標準化するものだったが、昨今の技術革新によりBPOそのものが変容している。アセットレスのクラウドはもちろん、付加価値を提供するコグニティブ/AIや、さらなるコスト削減を実現するRPA(Robotic Process Automation)などが登場したからだ。BPOの対象となるのは、ルール化やマニュアル化が可能で、交渉や承認行為、現物取引(現金、証跡書類など)がない業務が中心だ。また外部移管するため、業務を実行する際に必要なITシステムにアクセスできる環境も求められる。こう考えるとBPO化できる業務は少ないと感じるかもしれないが、実は購買(間接材)や経理財務、人事において、かなりの部分がアウトソーシングできる。
「IBMでは、購買分野は75~90%、経理も精算や売掛管理で95%、難しい決算関連も50%ほどBPO化しました。人事も含め、すべての領域でBPOを、“BPaaS”(Business Process as a Service)モデルとして提供予定です」(毛利氏)
BPaaSとは、基本的にはBPOとSaaS(Software as a Service)を一緒に提供する仕組みのこと。システム導入が業務オペレーションとセットになり、稼働と同時にユーザー業務をIBMで引き受ける。ユーザー側で分散していた業務が一気にIBMに集約され、スピーディに改革を進められる。
アナリティクスやコグニティブで洞察まで発見する購買変革モデル
さらに毛利氏は、同社が提唱する購買変革モデルについても解説した。まず、しっかりした購買システムを確立し、データを可視化する。そのうえで強力な戦略ソーシングと効率的な購買オペレーションを用いる。可視化したデータを使い、アナリティクスやコグニティブにより、新たな洞察を見つけて差別化に至るという流れだ。ここで重要となるのが「システム」「オペレーション」「ソーシング」「アナリティクス」という4つの要素だ。これらすべての要素はどれが欠けてもダメで、セットで用意する必要がある。特にシステムとオペレーションというBPaaSに当たる部分は、セットにしないと効率が悪くなるという。また重要な要件は「発注業務の可視化」「資材通過100%」「社内統制の実行」の3点とした。
たとえば強いソーシングやアナリティクス機能があっても、前段階でしっかり視覚化ができなければ効果は期待できない。そういう点で発注業務の可視化を担うインフラ(システム)は重要だ。ただしインフラが構築できても、面倒だから経費で購入して処理するなど、抜け道があるとデータの可視性は向上しない。
かつてIBMではインフラをスクラッチで構築していたが、いまはBPaaSで提供するSAP Aribaなどを利用することにより最短5ヵ月で導入できるようになったという。
BPaaSを支える経費精算の「Concur」と、調達・購買の「SAP Ariba」
経理財務分野では、現状運用をベースにBPOで業務体制を構築し、時間をかけて業務の標準化を実施するアプローチを採用することが多い。事業によって上流業務が異なり、会計システムの変更も難しいため標準化には時間がかかり、継続的な業務改善が求められるためだ。
一方、経理でも経費精算については事業特性に影響がなく標準化がしやすい。そこでクラウドを導入しながら、そのシステムに合ったTo-Beの業務を設計し、迅速に移管が進められるという。
BPaaSでは、経費精算のSaaSとして「Concur」を活用する。ただし単にConcurを導入してBPOを実施するという話ではない。「BPaaS with Concurでは、法人カードや旅行代理店、規程といった要素を含め、出張手配から経費精算まで最適化します。そこで蓄積したデータを活用し、ソーシングを通じて旅費交通費を削減し、不正検知によるコンプライアンス強化を図ることがゴールです」(真藤氏)
具体的には経費の事前申請から出張手配、経費精算の申請・承認といった一連の処理をConcurのワークフローで実施。スマホで領収書を撮影し、経費精算を申請できるほか、法人カードやICカードとのデータ連携により、経費精算の入力項目の簡素化も可能だ。
「BPOサービスでは、こういった経費精算の申請を受けて、標準化された観点から精算内容をチェックして承認します。その後の経費分析や、問い合わせ対応のヘルプデスクなども、BPO側で対応できます」(真藤氏)
「SAP Aribaは、調達・購買の機能を網羅しています。ソーシングから契約管理、サプライヤーの評価、カタログでの物品購買、購買申請・承認・発注、受入検収、会計システムへの指示、実績分析まで、すべてをカバーしています。大きな特徴は“Ariba Network”があることです」(松本氏)
このAriba Networkは、巨大なサプライヤーの企業ネットワークで、すでに日本国内では約2万社のサプライヤーが加入している。そのため、自社では集められなかったサプライヤーとのつながりを手に入れられるのだ。
RPAとWatsonを組み合わせた、BPOへの先端テクノロジー活用とは?
続いて、BPOへの先端テクノロジーの活用については、毛利氏が解説した。まずは「RPA」と「IBM Watson」という2つのオートメーションついてだ。「RPAはルールベースの自動化ですが、従来の自動化と異なり、複数のアプリにまたがって適用できます。一方、IBM Watson機能を活用したコグニティブ・オートメーションは、蓄積された経験に基づき、自律的に判断して自動化します。この2つの自動化を組み合わせ、業務の高度化を図っています」(毛利氏)
たとえばIBMで効果を上げたのが「Analytics for Fraud Detection」だ。経費精算データをリスク・シナリオに基づいて時系列で分析し、不正兆候のあるデータを抽出する。ここで見つけた異常値を内部監査でダブルチェックし、精度の高い監査が可能になった。
RPAの活用では、サントリービジネスエキスパートによる伝票入力の事例がある。大連デリバリー・センターでの業務フローに、OCRなどを連携させたRPAを導入し、入力伝票を自動化。これによりBPO現場のオペレーターの工数を最大20%まで削減した。
またWatsonとRPAを組み合わせたヘルプデスクの事例も有用という。チャットでユーザーがWatsonと対話し、背後のERPで動くRPAが何がしかの操作により、ユーザー宛に確認メールが自動送信される仕組みだ。
さらに便利な「Watson Buying Assistant」の事例もある。これは問い合わせ窓口やカタログの有り方、発注オペレーションそのものを変革してしまうものだ。
「たとえば取引先担当者が、会議で急にプロジェクターが必要になったとします。Watsonに問い合わせると、必要な機種を絞り込むための質問を返します。コネクタのインターフェースの写真を送ると、それも理解します。Watsonが最適な1台を選択するだけでなく、シッピングの確認や発注までこなします」(毛利氏)
【次ページ】日東電工がグローバル経営インフラの礎をBPaaSで構築した理由
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