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  • 2023/05/18 掲載

DXはやはり救世主だった、なぜ沈む日本企業の再起に「効果バツグン」と言えるのか 篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第158回)

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ナレッジ・マネジメントのSECIモデルで捉えると「暗黙知」を軸にした知識創造に秀でた日本型企業はデジタル化に非親和的だ。それ故、デジタル化が効果を生むには積極的なDXが欠かせない。確かに、国際比較からは日本企業が経営改革に消極的で、デジタル化の効果も低い様子が観察されるが、経営改革に積極的な企業群だけを抽出してみると、諸外国に引けを取らない効果も得られているようだ。今回は、筆者がかつて取り組んだ日米独韓4カ国企業に対するアンケート調査の分析結果を踏まえて、この点を考えてみよう。

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠崎彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

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日米独韓の4カ国企業に対するアンケート調査からは何が浮かび上がってくるのだろうか
(Photo/Shutterstock.com)

「無形資産」への投資とは

 生産性の向上にはデジタル化が欠かせない。ただし、デジタル化が効果を生むには欠かせない条件もある。それは、デジタル化のはるか以前に形成されたさまざまな「仕組み」を見直すという経営改革や制度改革の条件だ。

 仕組みの見直しには時間と労力と費用がかかる。具体的には、組織や経営、人材開発、業界慣行や規制など目に見えない無形資産への投資だ。こうした無形資産への投資こそがDX(デジタル・トランスフォーメーション)の本質に他ならない。

 前回解説したナレッジ・マネジメントのSECIモデルで分析すると、暗黙知を形式知へ「表出化」した上で知識の「連結化」が行われる米国型の組織に対して、日本型の組織では「内面化」された暗黙知の「共同化」で知識創造がなされる傾向にある。

 形式知による知識創造を得意とする欧米国型の「仕組み」が、もともとデジタル化に親和的だったとすれば、日本型の「仕組み」は非親和的だったことになる。それゆえ、アナログ時代に力を発揮した日本型の仕組みが優位性を取り戻すには、より一層のDXが欠かせない。

諸外国と比べて際立つ日本の「ある特徴」

 こうした問題意識に基づき、筆者がかつて取り組んだ日米独韓4カ国企業に対するアンケート調査からは、日本企業の際立った特質が浮き彫りになった(篠﨑[2010])。

 日本企業は、より一層のDXが求められるにもかかわらず、多くの項目で米独韓企業に比べて改革(=「仕組みの見直し」)の実施割合が低く、特に社外との取引も視野に入れたDXでその傾向が顕著なのだ。

 こうした日本企業の姿勢が影響するのか、デジタル化の効果を見ると、在庫の圧縮や作業効率の改善など現場レベルのコスト削減では他の3カ国に伍(ご)しているものの、上層部の意思決定など経営面の効果や新市場、新規顧客の開拓など社外に広がる価値創造の場面では各国企業に比べてかなり見劣りする。

 デジタル化で先陣を切った米国企業はさておき、ドイツや韓国の企業でも米国企業と同等かそれを上回る改革姿勢とデジタル化の効果が観察されるのに対して、日本企業の取り残された姿が際立つのだ。
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次のページ以降では、なぜDXが日本企業の再起に有効なのかを解説します
【次ページ】日本企業はDXの有無で「雲泥の差」?

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