- 2006/09/22 掲載
「今、注目しているのはmixi(ミクシィ)」ソフトブレーン元会長 宋文洲氏
【IT戦略/見える化】ITガバナンス2006 新たなる「ITの使命」~企業感度向上のために~
「ITは競争力を高める」時代は終わった
ニチレイ代表取締役 浦野氏の基調講演「新たなる顧客価値の創造とIT」の後、ソフトブレーンの代表取締役会長を退任したばかりの宋文洲氏を講師に招き「ITは競争力を高めるか」というタイトルで特別対談が行われた。聞き手は、ガートナージャパンのガートナー リサーチグループ バイス プレジデント 山野井聡氏。山野井氏は対談の狙いを2点、「ITを使う側の企業経営と業務がどう変革されていくか、ITを提供する側のIT人材をどう育てていくか」であると語った。
対談ではまず山野井氏が、プログラムに寄せられている「『ITは競争力を高める』時代はすでに終わりました」というメッセージの真意についてたずねた。宋氏は、「ITそのものを売り物にするような会社はもうほとんどない」と述べ、「ITは電話やタクシー、通常の紙やペンと同じようにごく当たり前のものになっている。他社に競争力の差をつける道具ではなく、社員の扱いや経営者のマネジメントスタイルを変えていくもの」と説明した。
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「今、注目しているのはmixi(ミクシィ)」 と語るソフトブレーン元会長 宋文洲氏 |
経験は数字化と矛盾しない
一般ユーザーが使うものとしてITが広く普及すると、見える化、標準化が求められると山野井氏は切り出し、標準化、見える化の切り口に対するアプローチをたずねる。宋氏は、「ホワイトカラーの業務においては確かに標準化を嫌う人がいる」とし、「しかしながら見える化、標準化は製造現場だけのノウハウではなく、個人的なプロセスをマネジメントする仕組み」と述べ、ホワイトカラーの生産性向上における見える化と標準化の必要性を説く。
とはいえ、国内企業には未だに暗黙知や経験を重視する風潮がある。この部分をいかに見える化できるか、宋氏は「数字化の本当の本質は経営判断、人間力につながる」と述べる。「出てきた数字は誰にでも分かるが、数字をどう判断するかが重要。マネジメントの立場では一定の基準でもってスパッと切ることが必要だが、これは理屈ではなく経験がものをいう。経験は数字化と矛盾するとは思わない」と、数字化の目的を説明する。
出てきた数字を判断する際にITをどのように活用するかという点については、「数字を判断するのにITはあまり関係ない」とキッパリ述べる。ITは数字を測るためのセンサーであり、経営者の仕事は数字を測るポイントを決めることである。もっともITがなければ判断に必要な指標が見えてこないため、「ITと経営判断は婚姻関係」にあると語った。
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