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  • 2023/10/16 掲載

ベースレジストリとは何かをわかりやすく解説、政府や自治体がデータを一元化する狙い

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政府は、 省庁や自治体がバラバラに管理している住所や登記の情報を一元化した「ベースレジストリ」を構築し、自治体など行政機関だけでなく民間事業者にも開放する方針です。ベースレジストリとはどのようなもので、なぜデータを一元化する必要があるのでしょうか。そしてビジネス面ではどのような活用が見込まれ、プライバシー侵害の懸念にはどのように対処するのでしょうか。デジタル庁への取材をもとに、ベースレジストリの基礎知識と今後の展望、そして課題ついてわかりやすく解説します。
執筆:三上 剛輝、編集:川辺 和将

執筆:三上 剛輝、編集:川辺 和将

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デジタル庁が目指す「ベースレジストリのある世界」のイメージ
(出典:デジタル庁作成資料より)

ルールが混在する「住所のカオス」

 デジタル庁によると、ベースレジストリとは「サービスの共通基盤として利活用すべき、または利活用可能なデータ群」と定義しています。

 そもそも住所や登記については現状、各役所や公的機関などで管理されています。なぜ政府は、これらの情報を一元化したスーパーデータ集のようなものを、わざわざ構築しようとしているのでしょうか。

 社会全体のデジタル化を進める上では、住所や登記に関する情報はデータ活用の重要な基盤となります。

 ただ、これまで手作業で管理してきた住所や登記は役所ごと、制度ごとの縦割り的な管理体制のためにデータの不揃いが目立ち、そのままの形で活用することは難しいのが現状です。

 まず、住所の情報管理の効率化やデジタル化を妨げている元凶とされているのが、住所の表記揺れです。

 住所の表記揺れの原因は、おおまかに2つ挙げられます。1つは、送り仮名の有無や仮名づかい、新旧の漢字の選び方の違いなどに起因する文字表記の揺れです。

文字表記揺れの例
  • 霞が関、霞ヶ関、霞ケ関 (送り仮名)
  • 四谷、四ツ谷 (送り仮名の有無)
  • 旅籠町、旅篭町 (異体字)

 表記の揺れが起きるもう1つの理由として、そもそも住所の書き方に複数のルールが混在しているという事情があります。

 たとえば、「〇番地×」といった住所は、不動産登記法に基づく地番表記にあたります。一方、「△番□号」は、街区符号・住居番号です。地番は法務省が管理し、街区符号・住居番号については各市町村が附番しています。

画像
「住居表示」の有無によっても住所表記ルールが異なる
(出典:デジタル庁作成資料より)

 同じ場所であっても、この2種類の表記のどちらを取るかによって、住所の書き方が違います。

 たとえば東京・大手町にある官民人材交流センターの住所は、「東京都千代田区大手町1丁目7番地29」(地番)と「東京都千代田区大手町1丁目3番3号」(街区符号・住居番号)という2とおりの書き方があります。

 初めて訪れる人が2つの住所を見くらべて、同一の場所を示していると気づくことは難しいでしょう。

マスターデータが存在しない登記の世界

 ビジネス上の手続きに欠かせない登記情報についても、その仕組みは複雑です。

 ひと口に登記といっても、2つの種類があります。国民の権利保全を目的とした不動産登記と、会社などの信用の維持を目的とした商業登記です。実はどちらも、統一されたデータベースが存在しません。

 商業登記については、法務省が商号や本店所在地などを管理しています。ただ、たとえば本店の住所変更をする場合、法務省に加え、法人が所属する業界団体においても変更の手続きが必要となります。制度ごとに作業の負担があり、少なくとも年間525万件の手続き処理が発生しているといいます。

 不動産登記も法務省が管理していますが、住所については各自治体が管理しています。住所、所在地、建物情報や地図情報などをまとめたマスターデータが存在しないため、行政機関や民間企業がそれぞれ独自に整備しているのです。

 また、農地についても自治体や農業関係機関など各機関が、現地調査で使用する似たような地図を別々に作成しており、情報管理の非効率さが課題となっています。 【次ページ】デジ庁が明かした制度設計の中身とは
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