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  • 2024/01/11 掲載

Betterleapとはいかなる企業か?生成AIで大注目のHRテックの可能性

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多くても数百万ドルといわれるシードラウンドで、HRテックスタートアップBetterleap(ベターリープ)が1,300万ドル(約19億円)を調達したとして注目を浴びている。2020年に設立され、これまで特に話題になることもなかった企業だが、生成AIを同社のプラットフォームに統合したことで、注目を集めるようになった。Betterleapとはどのような企業なのか、注目される理由を探ってみたい。

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

執筆:細谷 元、構成:ビジネス+IT編集部

バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

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HRテックで注目のBetterleapとは?
(Photo/Shutterstock.com)

シードラウンドで1,300万ドル調達のBetterleap

 企業における生成AI利用は、ビジネス機能に特化した形で広がりつつある。

 ヒューマンリソース(HR)領域では、既存のHRテックに生成AIを統合する動きが増えており、投資家の注目も高まっている。

 シリコンバレー発のBetterleapは、その中でも特に注目される存在だ。創業者は2人。1人は、エジプト出身で現CEOのカレイド・フセイン氏。もう1人は、ロシア出身のアンナ・メラノ氏だ。

 フセイン氏は、エジプトの理系大学Arab Academy for Science, Technology and Maritime Transportでコンピュータサイエンスを専攻、2005年に卒業した後に渡米し、バージニア工科大学でコンピュータサイエンス修士課程に入学した。修士課程に入る前の2004年には、エジプトでオフショア開発企業RiadaSoftを創業し、2006年まで運営を続けた。

 2007年にバージニア工科大学で修士号を取得した後、米クラウド企業Rackspaceに入社し、同社ID管理製品のプロダクトマネジャーとして4年間勤務。2011年には、ジェームス・ベシャラ氏とともに、ソーシャルペイメントのスタートアップTiltを創業している。

 Tiltは2015年頃に、シリコンバレーの投資家の間で注目を集める存在となり、一時的に同社の評価額は3億7,500万ドルに達した。しかし、利用者が大きく伸びる一方で、収益化がうまくいかず、最終的には2017年に最大評価額から95%以上低い1,200万ドルで、Airbnbに買収される結果となった。

 フセイン氏は、Tiltが買収された後、Airbnbの支払いプロダクトリードとして1年半ほど在籍し、同社を退職。その後、投資家の道に進んだが、2020年にBetterleapを創業、起業家として復帰する格好となった。

 創業期から2022年頃まではそれほど注目される存在ではなかったが、2023年9月にシードラウンドで主要ベンチャーキャピタルから1,300万ドルを調達したことで一気に注目度が高まった。シードラウンドは通常、多くても数百万ドルほどが相場といわれているからだ。

 社員数も10~25人ほどと推定されており、現時点でのチーム規模は非常に小さなものだ。

 フセイン氏が以前立ち上げたTiltは、収益源のほとんどを手数料に依存するビジネスモデルであり、失敗したという経験から、BetterleapではSaaS型のサブスクリプションモデルを採用。個人ユーザーは月額200ドルから利用することが可能だ(執筆時点)。またエンタープライズ版も用意している。

 Betterleapは調達した資金で、チームを拡張し、セールス部門を強化しつつ、研究開発を促進する見込み。研究開発では、機械学習エンジニアやデータインフラの専門家を雇い、検索効率の改善などを急ぐ方針だ。

画像
HRテック市場の推移
(出典:Imarc Group調べ)

Betterleapの強み

 Betterleapのシードラウンド調達額は、投資家の期待値が非常に大きなものであることを示している。では投資家は、Betterleapの何に価値を見出したのか。

 それは、Betterleapが持つ巨大な人材データベースと、そのデータベースを活用して採用プロセスを自動化する生成AIシステムだ。

 Betterleapは、リンクトイン、Indeed、GitHub、StackOverflowなどのさまざまなソースから、10億人を超える人材データベースを構築した。さらにこのデータベースから、インサイトを得て、検索を効率化するために生成AIを統合、人材エージェントや採用担当者の作業プロセスを大幅に短縮するプラットフォームを開発したのだ。

 データベースの構築自体は、Betterleapの創業期から進められてきたようだが、生成AIを統合したことで、同社のプラットフォームに対する期待が大きく高まったものと思われる。

 この生成AIで用いられているエンジンは、OpenAIの主力モデルであるGPT-4だといわれている。

 Betterleapは、GPT-4を活用して、CoPilot(副操縦士)という機能を作成(マイクロソフトのCopilotとは異なるもの)。この機能を使用することで、採用担当者は、自然言語でデータベースとのやり取りが可能となり、生産性を高めることができる。

 たとえば、検索時にどのような基準で人材を探すのか、について質問し、検索の精度とスピードを上げることが可能だ。このほか、検索済みの人材候補に対して、どのようなアプローチが最適なのかを質問したり、メールを送付するタイミングやキーワードの選定など、生成AIを通じてブラッシュアップすることができるという。

 また、GPT-4は、候補者へのアプローチをパーソナライズする際にも活用される。リンクトインなどでは、人材エージェントや採用担当者から頻繁にダイレクトメッセージが送られてくるが、その多くはパーソナライズされたものではなく、エンゲージメントを高めることは非常に困難だ。生成AIを活用することで、候補者の情報や背景を考慮した形でパーソナライズされたメール文を生成でき、候補者へアプローチする時のエンゲージメント(レスポンス率)を高めることができる。 【次ページ】増えるHRテック領域における生成AIの活用

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